きょう2日夜、民放キー局の“夏フェス特番”の先陣を切って『2025 FNS歌謡祭 夏』(フジテレビ系)が放送される。

今夏は3日後の5日に『THE MUSIC DAY 2025』(日本テレビ系)、翌週の9日に『テレ東音楽祭2025~夏~』(テレビ東京系)、翌々週の18日に『ミュージックステーション SUPER SUMMER FES 2025』(テレビ朝日系)と19日に『音楽の日 2025』(TBS系)が放送される。

主要5局がそろい踏みして音楽特番ラッシュとなる年末でも、これほど短期間に集中放送されるのは珍しく、音楽好きにとってはたまらない日々が続くだろう。では、その内容にはどんな特色や違いがあるのか。また、それぞれにどんな課題や難しさがあるのか。テレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。

  • 民放キー局5社

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フジ「コラボ」と日テレ「テーマ」

まず2日の『2025 FNS歌謡祭 夏』は4時間半の生放送が予定されている。

“FNS”の代名詞と言えるコラボは、郷ひろみ×香取慎吾、こっちのけんと×中島健人、渋谷龍太×Superfly、倖田來未×NiziU、ORANGE RANGE×INIなどを予定。“リスペクトカバー”のコーナーでも、アイナ・ジ・エンド×ELAIZAがAIの「Story」、氷川きよし×倖田來未が中森明菜の「TATTOO」をコラボするなど、先陣を切るからこそいつも以上に「コラボならFNS」を強調するような構成に見える。

その他のポイントは、「草なぎ剛が10年ぶりにFNS歌謡祭凱旋」、「TOBE所属CLASS SEVENの音楽番組初パフォーマンス」、「映画『パリピ孔明』エンディング曲を上白石萌歌、詩羽、幾田りらが歌唱」あたりか。

一連の騒動で春は放送がかなわなかった上に今夏は先陣を切るなど話題性は高い。ただ、日ごろ音楽番組を放送していない水曜ゴールデンの難しさと、日テレやTBSと比べた放送時間の短さをどのような構成・演出で補うのか。また、“FNS”と言えば、他局以上にゴージャスなムードがあるだけに、予算面の苦しさによる影響はあるのか。図らずも番宣CMは十分すぎるほど放送されているが、それが奏功するのかも注目の1つ。

次に5日の『THE MUSIC DAY 2025』は8時間の生放送。放送時間の長さは『音楽の日』と並び最大級のスケールだが、裏を返せば、それだけ飽きさせない構成・演出が求められる。

制作サイドは今夏のテーマを「わたしの歌」に設定。その上で「歌おう!私の青春バンドソング」、「みんなで一緒に踊りたくなるメドレー」、「タイムスリップメドレー」などと微妙に切り口を変えたコーナーでテーマを深堀りしていく。

その他では、定番のSTARTOアイドルによる「シャッフルメドレー」、Snow Man・宮舘涼太らが参加する『ディズニー・オン・アイス』のショー、パリ在住の杏が現地から日本の名曲を歌唱するコーナーなどを予定。「土曜午後から夜にかけた時間帯に合わせて企画と出演アーティストを選んでいく」という視聴率獲得を第一に踏まえたプロデュースは日テレらしく、お祭り騒ぎの夏フェスというより、テレビらしい長時間の歌番組というムードになるか。

もう1つの焦点は、当特番が放送される土曜夜は『with MUSIC』のレギュラー放送が始まって1年が過ぎただけに、「アーティストや視聴者との信頼関係がどれだけ築かれたのか」の試金石となること。制作陣の構成・演出に積み上げが見られるのか。他局の夏フェス特番も強力なだけに自局内外での評価が気になるところ。