そんな難しさがあってもテレビ局が生放送を行うのは、前述した臨場感が「配信や録画ではなくリアルタイムで見なければいけない理由となり、視聴率獲得につながるから」にほかならない。

昭和・平成時代のように裏番組だけを意識すればよかった時代は終了。ネット上に無料で見られるコンテンツがあふれ、質の高い有料動画も増える一方の今、選んで見てもらうことの難しさが格段に増している。だからこそ前述したライブの臨場感やSNSで盛り上がれることの2点はネットコンテンツではめったに見られないテレビの強みとして印象付けておきたいところだろう。

ちなみにネットコンテンツの生配信にも「多くの中から選んでもらうために行う」という同じ背景があるが、その内容はテレビ番組とは異なる。

テレビ番組はファン以外を含む多くの人々に向けて生放送されるのに対して、ネットコンテンツはコアなファン向けのクローズドな生配信という意味合いが強い。「重大発表」以外の生配信はその多くがファンサービスであり、ファン以外の人はあまり楽しめないものが多いという段階に留まっている。

コンテンツを選んで見る側の立場から考えると、自分の好きなものを好きな時間に選んで見ることができるようになった反面、「1人で見る」という孤独な視聴習慣が定着。SNSで誰かと一緒に見て盛り上がるためには生放送・生配信を選ぶ必要性がある。

特に今年は2月のミラノ・コルティナ冬季五輪、6~7月のサッカーワールドカップ、9~10月のアジア大会などのスポーツイベントが連続して行われ、生放送で多くの人々が一緒に見ることの楽しさが実感されている。一方で3月のWBCは地上波の無料放送がなく有料配信のみだったことで、盛り上がりは今一歩という感があった。

そのようなスポーツの国際試合だけでなく、お笑い賞レースや季節ごとの音楽特番なども含め、「ビッグイベントのみ生放送で見る」という“にわか”が多い日本人気質も見逃せないポイントの1つだろう。

「長時間生放送ならTBS」という印象

TBSに話を戻すと、17日にも『お笑いの日2026』を8時間生放送するが、もともと『音楽の日』『報道の日』などの『○○の日』シリーズを筆頭に長時間生放送番組が得意なテレビ局だった。

とりわけ音楽は1993年から放送されている長寿番組の『CDTV』シリーズを『CDTVライブ!ライブ!』と生放送をフィーチャーした番組に変更。同番組は24年春に放送時間を倍増するなど他局より生放送を重視した戦略を見せていた。

さらに今秋は『オールスター感謝祭』と『オールスター後夜祭』に加えて前夜にも『超タッグ祭』という“前夜祭”に該当するゴールデン特番を生放送するなど、ここにきて一段階ギアを上げた感がある。

TBSは今後も1日まるごと『生放送の日』を編成していくのか。もし続けていくのなら、構成・演出は視聴率やネット上の反響をベースにブラッシュアップされていくのかもしれない。さらに、出演者とスタッフ、スタジオと控え室、セットや機材の配置とフォロー、リスク対策や安全管理なども回数を重ねるたびに進歩していくのではないか。

視聴者に「長時間生放送ならTBS」という印象が根付き、「TBSなら何か面白いことをやってくれるのではないか」という期待感が得られたら、レギュラー番組の視聴率や配信再生数アップにもつながるだろう。