民放キー5局(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)の10月改編情報が17日、出そろった。
春にタイムテーブルを大きく動かした局もあった中、この秋は大幅な枠移動や新番組の大量投入を控え、既存番組を生かす“小幅改編”が目立つ。一方、個々のコンテンツに目を向けると大規模ロケや国際共同制作、海外展開など、1本に大きく投資する動きも。各局の説明会から、秋の改編の動向をまとめた。
視聴率の数字は、ビデオリサーチ調べ・関東地区。
TBSはG帯改編率「0%」“変えない”秋
日本テレビのGP帯改編がドラマを除き水曜19時台『THE FLOOR』のみとなるなど、各局が小幅改編にとどめる中で、象徴的なのが、TBSのゴールデン帯改編率「0%」。同局が確認できた1989年以降、春・秋を通じて初めてだという。その理由の一つは、7月にスタートした日曜劇場『VIVANT』が異例の2クール放送で、そのまま秋も走り続けること。加えて、既存のバラエティやドラマが数字を積み上げていることも大きい。
寺田淳史コンテンツ戦略部企画プロデュース室長は「変えずにこのまま攻めていけば(重点指標の4~59歳で)1位を狙えるのではないか」と説明。番組から次の番組へ視聴者をつなぐ“縦流れ”と曜日ごとの特性を意識してきた戦略に手応えを得ているからこその判断だ。
テレビ朝日も、2025年の年間・年度視聴率で個人全体の全日・ゴールデン・プライム3冠を獲得した流れを「より一層強化」する方針。寺田伸也取締役コンテンツ編成局長は「あらゆる世代のニーズに応えるタイムテーブルを追求してまいりたい」と話しており、新ドラマ枠の設置や火曜の再編など、ポイントでは手を入れながら好調なタイムテーブルの骨格を維持する。
フジテレビは、春に過去10年で最大規模となるGP帯改編率約40%というタイムテーブルの大幅刷新を実施したばかり。4月クールのゴールデン帯個人全体視聴率で、テレビ東京に0.1ポイントと猛追を受けているが、加藤正臣コンテンツ戦略センター室長は「4月期の改編番組をしっかり盛り上げていきたい」「大きく変えたものを引き続き成長を加速していきたい」とした。
テレビ東京の近藤貞治コンテンツ戦略局次長兼コンテンツ戦略推進部長は、26年度の先週までのゴールデン帯が前年同期比0.1ポイント減の2.7%となっていることを説明。「ここからなんとか3%を獲得したい」と目標を掲げ、他曜日に比べて数字が低い木曜の20時台を『一流が目撃! スポーツ衝撃の瞬間ランキング』に改編、現在金曜20時台で放送22年目を迎える『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!』を前に30分拡大する。
「史上初の規模感」「連ドラ史上最大規模」
タイムテーブルの変更幅は小さい一方で、今秋は“大スケール”の番組が各局で投入される。
日本テレビで象徴的なのが、池井戸潤氏原作のドラマ『俺たちの箱根駅伝』だ。藤澤季世子プロデューサーは「日本テレビとしてかつてない、史上初と言っていいぐらいの規模感と期間をかけて挑戦している作品」と説明。岡山と広島だけでエキストラ応募が2万人に達し、1回の撮影で500~1,000人規模を集める場面もあるという。
正月には、櫻井翔を3代目MCに迎え『アメリカ横断ウルトラクイズ』が復活。「世界で最も制作費のかかったクイズ番組」としてギネス世界記録にもなった同番組が、従来のアメリカ横断から、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカを巡る“地球一周規模”へとスケールアップするが、大井秀一総合編成センター部長は「やっぱり今、“お祭り”が必要だと思うんです。テレビを見なくなっているお客様が増えている中、“この瞬間だけは一緒に楽しみたい”と思えるものを、しっかり生み出していきたい」と、復活させる意義を強調した。
また、日テレは水曜19時の新クイズバラエティ『THE FLOOR』も、巨大なLEDフロアが32マスに分割されるというスタジオセットを組み、通常の番組より制作費がかかっているそうだ。
フジテレビは、坂口健太郎主演のドラマ『kiDnap GAME』を大型国際共同制作として投入する。日本、香港、韓国のパートナー企業が参加し、昨年11月から約半年にわたり、東京、ソウル、香港、台北、バンコク、シンガポール、マニラ、那覇などでロケを敢行。世界28の国と地域で放送・配信が決まっており、保原賢一郎エグゼクティブプロデューサーは「フジテレビの連続ドラマ史上、おそらく最大規模の予算とスケールでお届けする国際ビッグプロジェクト」と述べた。
テレビ朝日は、金曜23時台のドラマ枠「金曜ナイトドラマ」を、10月期は「金曜ナイトドラマプレミアム」と銘打ち、Snow Man・岩本照主演『真田十勇士 SHADOWS OF THE NINJA』を投入する。横地郁英ゼネラルプロデューサーは、京都での大規模ロケに加え、AI、VFX技術を駆使して制作していると紹介。寺田局長は「非常にスケールが大きい作品」であることを示すため、枠名に“プレミアム”を加えたとし、Netflixでの世界配信も決まっている。
TBSでは、『VIVANT』がその役割を担う。アゼルバイジャンやタイでロケを行い、撮影期間は約1年。制作だけではなく、プロモーションを含め各部門が連携する“会社ごと”のプロジェクトとして進め、地上波連続ドラマでは異例となる2クール放送に踏み切った。飯田和孝プロデューサーは「各所の準備だったり、スタッフ、この全体の連携という部分でもスケールアップさせていただいています」と強調した。
この『VIVANT』のように、ヒット番組は局全体のブランドイメージ向上にも寄与する。制作費が削減傾向にある近年において、投資の“選択と集中”がより鮮明になってきた。
