10日、TBSが見たことのないような番組編成で業界内を驚かせた。

まず7時30分から『サタプラ』(MBS制作)を通常通り9時30分まで生放送。次に9時30分からの『王様のブランチ』は「豪華俳優が大集結! 秋の8時間生放送SP」と題して通常の14時で終了せず、17時30分まで延長して生放送した。

そして、この日のメインとなる『オールスター感謝祭’26秋』を17時30分から23時50分まで史上最長となる6時間超の生放送。さらに日をまたいだ24時から24時28分までスポーツ番組の『S☆1』を生放送したほか、24時58分から26時58分まで『オールスター後夜祭’26秋』を生放送した。

朝7時30分から深夜26時58分までの19時間半で生放送番組でなかったのは、アイドルバラエティの『IMP.の「できません」は言いません』(24時28分~24時58分)と5~10分のミニ番組のみ。この日の生放送は約19時間に及び、日本テレビの『24時間テレビ 愛は地球を救う』や、フジテレビの『FNS27時間テレビ』という単独番組とは違うものの、「リレー形式の1日まるごと生放送」という前代未聞の編成だった。

なぜTBSはこれほどの思い切った編成をしたのか。生放送のメリットとデメリット、放送と配信の違い、今後の行方などをテレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。

  • TBS放送センター=東京・赤坂

    TBS放送センター=東京・赤坂

「名探偵津田」に生放送の醍醐味

まず生放送のメリットをあげると、視聴者にとって「何が起きるかわからない」という臨場感に尽きるだろう。

たとえば今秋の『オールスター感謝祭』では生放送中に『水曜日のダウンタウン』の人気企画「名探偵津田」が突然はじまり、ネット上は騒然。さらに深夜の『オールスター後夜祭』でも津田が現れて解答者席のみなみかわを連れて行くというシーンにつなげて沸かせた。

その他でも「『赤坂5丁目ミニマラソン』で事実上の女性芸能人初優勝なるか」「ドラマ『VIVANT』のドラムはうっかりしゃべるのか」「あのがクイズ猛者たちを破って優勝なるか」などの臨場感あるシーンが続出。SNSに書き込みたくなる、X(Twitter)のトレンドランキングが気になるような制作サイドの仕掛けが満載だった。

また、長時間の生放送には、ドラマの初回放送日に朝から夕方まで報道・情報番組で行う電波ジャックのように「自局の番組に主演クラスの出演者を連続出演させやすい」というメリットもある。実際、今秋のTBSはドラマ主演・準主演クラスの俳優を『王様のブランチ』から『オールスター感謝祭』にリレー出演。あまりバラエティ出演しない人気者たちを連続起用した長時間の番宣に成功した。

さらに生放送は入念な準備と緊急対応こそ必要だが、編集の過程を省略するなどの効率化が可能。出演者にとっても収録と比べて半分以下の拘束時間で終了するなどのメリットがある。

一方で生放送のデメリットは編集ができないことによる密度の低さ。よほどトークや笑いの実力者でなければ編集したほうが面白くなるのはテレビ番組もネット動画も同じであり、特にバラエティはその傾向が強い。

収録なら「間延びした時間を詰める」「カメラワークとカット割りで感情を誘導する」「テロップや画像でフォローする」などの編集によって数秒に一度レベルで見どころを作ることが可能。そもそも収録した番組ですらザッピングされやすい上に、タイパを気にする人が増えた現代では、生放送の番組を飽きさせずに見せ切ることのハードルは上がっている。

それは今春にスタートした2時間生放送のバラエティ『超調査チューズデイ~気になる答え今夜出します~』(フジテレビ系)の大半が「収録したVTRを見る」という構成であることからもわかるのではないか。出演者にとって失言などのリスクがあることも含め、生放送のバラエティが少ないのは当然と言っていいかもしれない。