2018年の6月15日の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行により、全国的に民泊が解禁され、民泊はますます身近な存在になると予想されます。特に副業や兼業として民泊を検討されている方々が失敗を未然に防げるよう、今回は民泊への投資に関する失敗例をご紹介します。

  • 民泊への投資に関する失敗事例をまとめた

    民泊への投資に関する失敗事例をまとめた

失敗例その1 物件を「借りた」場合

民泊投資がブームとなった2~3年前から「民泊許可物件」を標榜する民泊投資の勧誘がインターネット上で盛んに広告されるようになりました。投資勧誘が行われた「民泊許可物件」の多くは、単にオーナーからの転貸承諾を得た賃借物件にすぎず、旅館業法の許可を受けた物件ではありませんでした。

このような「民泊許可物件」を巡る失敗例として、東京都内で「民泊許可物件」を借りて民泊を始めたAさんのケースがあります。Aさんは、発覚することはないと思い無許可で民泊を始めましたが、営業開始間もなく、保健所から営業を中止するよう指導されました。

急いで旅館業の許可を取ろうとしたものの、物件所在地の制約などから、旅館業の許可は取れないことが判明。また、その物件では前の賃借人も無許可で民泊を営み、保健所の指導で営業を中止していたこともわかりました。

結局、Aさんは民泊営業の停止を決断し、開業に要した資金に加え、家具・家電の処分費用までをも失いました。物件を紹介した不動産業者に対する損害賠償請求も検討しましたが、弁護士費用の負担などを考えて請求は諦めたとのことです。

失敗例その2 物件を「買った」場合

借りる以上に慎重な判断が必要となるのが、物件を買うケースです。不動産取り引きは1件あたりの金額が大きいため、例えば、旅館業の許可取得を目的として買った物件で許可が下りなければ、買い主は大きな損失を被ってしまいます。

不許可のリスクを避けるために有効な手段の一つが、既に旅館業の許可を受けた「旅館業許可物件」を購入することです。しかし、現に旅館業の許可を受けているからといって、その物件での許可取得が保証されているわけではありません。

「旅館業許可物件」を巡る失敗例として、京都市内で、現に旅館業の許可を受けた物件を購入したBさんのケースがあります。Bさんは物件購入後、保健所に新たに旅館業の許可を申請しようとしたところ、その物件が建築基準法に適合していない違法建築物であることが判明し、申請にストップがかかりました。

従前では、「建築確認申請」と呼ばれる手続きが不要な小規模物件では、建築基準法令の確認なしでも旅館業の許可を受けられることが一般的でした。ただ、近年になって審査が厳しくなり、小規模物件であっても明らかに旅館・ホテルとして建築基準法令に違反している物件(例: 接道義務を満たしていない物件や木造3階建ての物件など)では許可が出ないようになっていました。

Aさん、Bさんに共通する失敗原因は、旅館業の許可取得について、十分なリサーチが足りなかったことです。旅館業の許可取得を目的とする不動産取り引きには大きなリスクが伴いますので、物件購入の際には必ず事前調査(デューデリジェンス)を専門家に依頼するようにしましょう。