――いろんな演者さんと仕事をしてきて、忘れられない方を挙げるとどなたになりますか?

2人いるのですが、1人は亀梨和也さんです。『カネ梨和也』(※)という番組を1クールやらせていただいたのですが、2回目の収録のゲストがオードリーの春日(俊彰)さんで、春日さんが住んでたむつみ荘で異国の食材でヤミ鍋をやるという企画だったんです。この収録がすごく押してしまって、最後のブロックをショートバージョンにしたのですが、終わった後に亀梨さんとすごく長い時間話し合うことになって。「せっかく春日さんが来てくれて、(現在のむつみ荘住人の)シイナの三浦(一馬)くんも協力してくれてるんだから、俺のスケジュール気にしなくていいから、面白くなるまで撮ろうよ。ホストとしてゲストをもてなしたいし、撮れ高もしっかり作りたい」と、雨の中1時間くらい外で熱く語ってくれたんです。

(※)…亀梨和也が「カネ梨和也」として扮装して街中に溶け込み、お金がなくても楽しく過ごせる日常を人気芸人と一緒に挑戦しながら、視聴者に様々な情報を届ける番組

――自らの冠番組への妥協なき姿勢が伝わってきます。

それ以降、亀梨さんにはちょっとしたことも相談しにいくことにしていて、毎週日曜に『Going! Sports&News』でいらっしゃるので会いに行って、企画やロケの相談をさせてもらいました。自分が中学・高校の頃からの大スターなので、感激しますね。

もう1人は、さらば青春の光の森田(哲矢)さんです。僕、結婚して、結婚式の司会をさらばさんにお願いしていたんですけど、式の1週間前に離婚することになって(笑)。本当に申し訳ないことをしたと思ったんですけど、(さらばの所属事務所の)ザ・森東の皆さんは面白がってくれて、マネージャーのヤマネさんは「気にしないでいいから! 俺らの企画いっぱい出してくれよ」と言ってくれたので、それ以降、さらばさんとは、いろいろ番組をやらせてもらうようになりました。ゲストで来ていただくことが多かったのですが、初めて冠でMCをやってもらったのが、『さらば森田・見取り図盛山のハイツ東五反田201』(※)です。

この番組に関しては、森田さんも盛山(晋太郎)さんも企画考案の段階から参加してくださっていて、ロケ直前になると夜中の2~3時まで打ち合わせをさせていただくこともありました。森田さんって、一般的にはゴシップやスケベなことが好きだったりする印象が強いかもしれないですが、あれだけ上質のコントネタを作っていたり、毎週YouTubeで見たことないワクワクする企画をしていることもあって企画脳というところ関しては妥協がないんです。その上にディレクター目線も持っていて、「これやったらゴールがふわっとしそう」とか、細かいところまで詰めてくれます。その後、『スギるヤツ』というコント番組をやらせてもらった時も、自分が背負っているネタに関してはリハーサルでも指揮を執っていたり、クリエイティブとの向き合い方に尊敬しかないです。

(※)…大阪府堺市の出身で実家が近所、大阪で苦楽を共にした同期芸人で異常に仲が良いさらば青春の光・森田哲矢と、見取り図・盛山晋太郎が、東京・東五反田に借りた秘密基地を舞台に自分たちが考えた“大人のバカ“を本気で遊ぶバラエティ。

――ものづくりに関して妥協がないところは、亀梨さんと一緒ですね。

出演者でありながらそこまでクリエイティブに対して妥協なき精神を見せてくれるこの2人との出会いは、僕の中でもターニングポイントかもしれないです。

――演者さんとは企画から密にやり取りされるタイプなんでね。

日本テレビではその手のタイプ、少ないかもしれないです。でも、せっかくなら一緒に作りたいんです。制作、作家、演者が三位一体となって作るのが番組だと思っているので、すごく距離を詰めますし、なるべくコミュニケーションを取るようにしています。

異例の制作手法で「かっこいいバラエティに挑戦したい」

――めちゃくちゃ企画書を出す中で方法は様々だと思うのですが、どんな発想の仕方をされているのですか?

幼少期の原体験から、日常や世間と隔絶した空間を作るのが好きなんです。そこから発想したものが、秘密基地や閉鎖的空間という形になっていくのですが、秘密基地は『ハイツ東五反田』ですね。ここに、僕は『ズッコケ三人組』とか、『こち亀』の「トンチンカン」とか、『ろくでなしBLUES』の大尊・勝嗣・米示とか、男の友情ものが好きで、森田さんと仲良しの盛山さんが組んだらどんな世界が見えるのかなと思って作りました。『timeleszファミリア』で11月にやらせていただく「タイムレスハウス」もそういう発想です。

閉鎖的空間で考えたのは、『100顔』(※)です。同い年の雨宮裕也という作家とセクシービデオで体の一部が壁から出てて、自分の奥さんを探していくっていうやつで、あれが顔だったら面白いなと。最初は一面の壁に並んでるという案もあったんですけど、やっぱり360度囲まれている空間の方が面白いと思って四方を囲うことにしました。映画レーベルの「A24」みたいな世界観で表現したいなと。

『闇プロモーター粗品』(※)という番組は、粗品さんと一緒にお仕事したくて。アンダーグラウンドなアジトっぽい世界の中であえてくだらないことをテーマにしたギャンブルゲームをしてみたかった。そんな感じで世界観から企画を考えることが多いですね。

(※)『100顔』…四方の壁から100人の顔が出てきて、人生のエピソードからそれに当てはまる顔を探す番組。

(※)…『闇プロモーター粗品』賭け事に取り憑かれた男・粗品(霜降り明星)が主宰を務める合法スレスレの賭場で、各界の勝負師たちが様々なジャンルの勝負にBETしていく番組

  • 『100顔』(Huluで配信中)

    『100顔』(Huluで配信中)

――日テレの若手制作者が新たな企画で競う『クリエイタードラゴン』で、廣瀬さんが制作のこだわりで「ダサいは一切取り入れない」と言っていたのが印象的でした。その原点にあるのは何ですか?

あれはすごくイキった表現ですごく恥ずかしいですが(笑)、やっぱり昔見ていたフジテレビの番組が、バラエティ番組なのにとにかくカッコ良くて、それに影響を受けているんだと思います。『ウタフクヤマ』とか『ヨルタモリ』とか、木月(洋介)さんがやっていた番組が好みで。『久保みねヒャダ』もポップでありながらおしゃれなんですよね。

あと、テレビ朝日で『東京上級デート』という深夜にやっていたミニ枠の番組がとても好きで。若手タレントやモデルの方と主観目線で東京のいろんなスポットでデートしていく番組があったのですが、画撮りや映像の質感がすごく良くて、徹底的に世界観が作り込まれていて。そういう番組が好みで影響を受けているんだと思います。あとは、中学生の頃からの藤原ヒロシさんなどの影響もあると思います。

――テレビの画面が「ダサい」ように見えるというのは、大衆に向けたメディアとして「分かりやすさ」を追求した結果だと思うのですが、そことのせめぎ合いですよね。

たしかに、万人の方がファストファッションを好むのと一緒で、テレビも明るいスタジオ、ポップなテロップのほうが面白く見えてウケるのかなと思います。それは分かった上でカッコ良いバラエティに挑戦したくて。森田さんと盛山さんの『ハイツ東五反田』という番組は、友人の映画監督を呼んでバラエティでは珍しいシネマカメラを使って、ドラマや映画のようにカラーグレーディングという色彩の調整もやって、質感ある映像に仕上げています。

――『ハイツ東五反田』や『100顔』では、いわゆるスタッフ笑いも入れずに洗練したパッケージにされているなと思いました。

そうすることで、もしかしたら笑いを冷めさせてしまう可能性があるかもしれないけど、あえて画面に映っている人以外を介在させない世界でバラエティを作ることに挑戦してみたいと思ったんです。僕はこの方法に鉱脈がないかと思って、まだ探っている段階なんですけど。