消費税率が8%から10%に変わる日まであと約3カ月となりました。少しでも家計への負担を抑えようと、駆け込みであれこれ買い始めた人もいるのではないでしょうか。しかし、軽減税率ポイント還元制度などのさまざまな政府の増税対策を考えると、モノに対する消費を急ぐよりも、コトに関する消費を今のうちにしておくのもいいのではないでしょうか。

  • 消費増税前にやっておくといいこととは?

    消費増税前にやっておくといいこととは?

体験するコトにも消費税はかかっている

消費税は日本国内で事業者が事業として対価を得て行うモノやサービスなどの取り引きにかかる税金。形のあるモノだけではなく、体験するコトにも消費税がかかります。たとえば、旅行やレジャー、スポーツ、習いごとやエステなどにも消費税がかかっており、2019年10月からは税率が10%に上がります。

これまでやりたいと思っていながら、なかなか踏み切れずにいた人は、増税後はますます行動に移せなくなるかもしれません。もしも「やっぱりやりたい!」と思うなら、増税前の今のうちに行動を起こしてみてはいかがでしょうか。

増税前にやっておくといいこと

・資格スクールやカルチャースクール、習いごと

大人の通学・通信講座や子どもの学習塾やお稽古などは、増税前に始めたいことの一つです。入会金はもちろん、授業料や月謝を一括でまとめて払える場合は増税前に払っておくほうがお得です。習うことの種類によっては教材や道具、衣装などを買う必要もありますから、これも8%のときに買っておくほうがいいですね。

増税後は収入が上がらなければ家庭の可処分所得は下がってしまいます。資格を取ったり、スキルアップしたりすることで収入アップも目指してみるのがいいでしょう。

・健康診断や人間ドック

会社で健康診断がある人はいいですが、自営業やフリーランスで自分で受けなければならない人は、増税前に受けておきたいものです。健康保険適用外の健康診断や人間ドックは、コースにもよりますが費用は高めです。一定額以上の医薬品類を購入したときに所得控除を受けられるセルフメディケーション税制は、健康診断などを受けていることが条件のひとつです。受診するなら税率が低いときにしておきたいですね。

・オーラルケア

年齢を重ねるにつれ、口腔内のトラブルに悩む人は多いようです。虫歯や歯周病、口臭などの原因となる細菌の状況を歯科医に確認してもらい、ケアするオーラルケアも健康保険がきかない自費診療のひとつです。歯科医やケアの内容によっても相場は異なりますが、1回のケアで1万~1万5000円程度のところが多いようです。高めの費用に気が引けていた人は多いのではないでしょうか。

オーラルケアは定期的に行うことが大切ですが、まずは増税前に試してみるのもありでしょう。後々、虫歯や歯周病で歯科医に通い、高い医療費がかかることを考えても、定期的なケアを行っておくほうが生涯費用は少なくなるかもしれません。

・歯科矯正

歯科矯正もオーラルケアと同じく自費診療。矯正を考えている人は、増税前にしておくのがおすすめです。歯科医や歯並びの状態によっても異なりますが、子どもの場合で4~50万円、大人の場合で100万円近くかかるところが多いようです。費用が50万円だとすると、増税前後で1万円の差がありますから、できれば8%のうちに矯正治療に取りかかりたいですね。

ただし、そもそも高価なものです。1万円前後の差額のために一気に貯金を使って、後でお金が必要になったという事態になっては困ります。中長期的なマネープランも考えながら実行するかどうか検討するようにしましょう。

・旅行

増税までの3カ月程度の間に旅行を楽しむのもいいでしょう。旅行に行くと航空券代や列車代などのほかに、ホテル代や食事、買い物費用など、さまざまな費用がかかります。それぞれに消費税がかかりますから、8%と10%ではトータルで支払う金額が大きく変わってきます。今年の夏休みや9月の連休などに税率8%最後の旅を楽しんでみるのもいいかもしれませんね。

海外旅行の場合は、行くのが増税後だとしても航空券だけを9月30日までに購入しておくのもおすすです。日本で買う航空券には日本の消費税がかかるため8%のうちに買っておくのがいいですが、海外旅行先の宿泊施設や買い物などには日本の消費税はそもそも関係ありません。国内旅行の場合のように、増税前に慌てて出かけることはありません。ただし、行き先によっては現地での消費税や宿泊税などがかかる場合があることには注意が必要です。

増税前のお得感だけで行動するのは要注意!

これらのほかにも、やりたいけどやれなかったコトがある人は、消費税が10%になる前にやっておくといいですね。

ただし、体験型のコト消費には、時間も適性も必要だということを忘れないでください。たとえば、「語学スクールに申し込んだはいいけど、仕事が忙しくて通えない」「ヨガ教室に行き始めた後に自分には向いていないとわかってやめる」など……。お得になると思って行動するのはいいですが、結局お金のムダに終わっては、2%の節約も意味がなくなります。

今一度、本当にやりたいことなのか、自分にとって9月30日までにやるのがいいことなのかなど、しっかり考えてから実行するようにしてください。

■ 筆者プロフィール: 續恵美子

女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター。ファイナンシャルプランナー(CFP)
生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。