現在放送中の連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)で柳井嵩役を演じている北村匠海にインタビュー。嵩役を演じるにあたって体重を増減させ、戦争パートでは飢えを表現するために絶食したという壮絶な役作りについて話を聞いた。

  • 連続テレビ小説『あんぱん』柳井嵩役の北村匠海

    連続テレビ小説『あんぱん』柳井嵩役の北村匠海

112作目の朝ドラとなる『あんぱん』は、漫画家・やなせたかしさんと妻・暢さん夫婦をモデルに、何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描く愛と勇気の物語。小松暢さんがモデルのヒロイン・朝田のぶ役を今田美桜、やなせたかしさんがモデルの柳井嵩を北村匠海が演じ、脚本は中園ミホ氏が手掛けている。

軍服を着て戦争シーンに挑んだ北村は、「戦争は悪だなと思いました」と抱いた思いを明かす。

「変わらず『あんぱん』の現場は温かいし、軍事所作指導の方もすごく丁寧にいろんなことを教えてくださいましたが、シーン自体がすべて大変なので、演じている僕ら全員につらさがリアルに漂っていました」

それまでのシーンとは芝居も大きく変わったという。

「ずっと感情を殺さないといけない芝居で、声量も姿勢も、個性というものが何一つなくなるんです。今、日本を自衛するために働いている方がたくさんいる中で、尊敬の念も抱きましたし、嵩としてはすごく窮屈に感じる部分もありました」

嵩を演じるにあたって体重を増減させ、戦争シーンにおいては、飢えをリアルに表現するため大幅に減量したという。

「高知での学生時代は、嵩の骨の細さを見せたくて痩せている。東京の美術学校時代は、のぶたちがネガティブな思いが多くなっていくのと対比で、嵩は新しい出会いやカフェでワイワイするシーンがあるので、体重を増やして、顔に悲壮感ではなく充実感が出るように。おいしいものを食べている感じが出るといいなと思って少し肥えていました。そこからの戦争で、体重は量っていませんが体重を落としました」

そして、「走って、風呂に入って、汗をかいて、乾パンが1個しかないというシーンに挑む。そんな毎日を過ごしていました」「絶食して挑んだ期間もあります」「最終的には水も抜きました」などとストイックな役作りを明かし、「みんなもついてきてくれる感じで、足並みをそろえてやりました」とキャストが一丸となって飢えた状態をリアルに作り出したという。

戦争シーンは状況によってさまざまであることも難しかったと振り返る。

「最初は食料があって訓練もしているので、骨太な感じというか、強さが必要で、そこから少しずつ食料がなくなって、乾パンが3つになり、1つになり、最終的にはたんぽぽの根っこを食べるように」

1日の撮影の中でも、痩せたシーンと、その前の元気な状態のシーンが混在していたため、短時間で見た目を激変させる必要もあった。

「1日の中で、ここは(体重が)減っているけど、ここは前の元気な状態で、またここで減るというのがあるので、一気に減らしてから、瞬間的に炭水化物を摂って目に活力を宿して。無理やりですが、そういう風にしていました」