肩こりは“日本の国民病”とも呼ばれ、性別や年齢を問わず多くの人を悩ませている存在です。その症状を訴える人は年々増え続け、低年齢化も進んでいます。血流が悪くなっていることが肩こりの原因でもあるので、マッサージをしたり、こっている部分を温めたりすることが肩こりの解消には効果的です。しかし、それだけでは根本的な解決にならない場合もあります。そこで今回は、肩こり改善に効果があると言われている栄養素と、それを含む食べ物を紹介します。

ビタミンB群

ビタミンB群は、筋肉の疲労回復に効果が。ビタミンB1は、豚肉や大豆、ゴマ、鮭などに豊富に含まれ、タマネギと一緒に摂取するとより吸収しやすくなるとされています。ビタミンB2は、レバーや卵、牛乳、納豆など、ビタミンB6は、カツオやマグロ、ニンニクなどに多く含まれています。

  • ビタミンB1が不足すると、食欲がなくなる、疲れやすいなど、夏バテのような症状が出る場合も

ビタミンE

ビタミンEは血行を良くすることにより、肩こりの改善にも効果が期待できます。ビタミンEが多く含まれる食材は、アボカドやナッツ類、ホウレンソウ、うなぎなど。油に溶けやすいので、油と一緒に摂取すると吸収率が高まります。

  • ビタミンEは、体内の脂質の酸化を防ぐ働きも持ち合わせています

クエン酸

クエン酸には、肩こりの原因となる疲労物質・乳酸を分解する機能があります。梅干しやイチゴ、レモンなどの柑橘類に多く含まれており、ビタミンB群と一緒に摂ると効果的です。

  • クエン酸は、酸っぱいと感じる酸味の成分です。白色または無色で、水に溶けやすく熱にも強いため、清涼飲料水やお菓子などの酸味料にも使用されています

EPA

エイコサペンタエン酸の略称であるEPAは、血液をサラサラにする効果があります。イワシやアジ、サバなどの青魚やマグロのトロなど、脂分の多い魚に多く含有。人間の身体ではほとんど作ることができない必須脂肪酸であるため、積極的に摂取しましょう。

  • 脂が乗った旬の魚には、より多くのEPAが含まれています

これら栄養素を意識して摂ることはもちろん大事なのですが、栄養だけではなく口にするものの温度にも気を配ってみましょう。1年中冷たい食べ物や飲み物を摂取している人は、単純にそれだけ身体を冷やしてしまっていることになります。例えば、普段は冷えたビールばかり飲んでいるところを熱燗にしてみるなど、細かなところから少しずつ変えてみてはいかがでしょうか。

我々の身体をつくっているのは、日々の食生活で体内に取り入れている栄養素たちです。外側からのケアと同時に内側も見直し、肩こりを根本から和らげていきましょう。

監修者

福田千晶 (ふくだちあき)

医学博士・健康アドバイザー
日本体力医学会健康科学アドバイザー・日本医師会健康スポーツ医・日本人間ドック健診情報管理指導士・日本リハビリテーション医学会専門医・日本人間ドック学会専門医。健康科学アドバイザーとして講演や執筆、テレビ・ラジオ番組への出演などで活躍。