会社で働く女性の悩みの種の一つに「冷え」がある。冬場もさることながら、冷房が効きすぎている夏場にも「オフィスの冷え問題」が発生。職場を涼しくすべく室温がかなり低めに設定されていると、その寒さに耐えきれずにひざかけなどを使用しながら仕事をしている女性社員の姿も珍しくない。

このように度々起きる「職場の冷え」にはどのような対策をすればよいのだろうか。今回は漢方による治療も行っている内科医の大塚静英医師に話をうかがった。

  • 夏場のオフィス内では、冷えに悩む女性が少なくない

    夏場のオフィス内では、冷えに悩む女性が少なくない

そもそも、冷えという温度感覚はあくまでも外部の刺激に対する一種の自覚的な生体反応に過ぎない。そのとらえ方にも個人差があり、他の人が触れても全く冷たくない、冷えていない場合もある。またその逆に、他の人が触れると冷たいのに、冷えを感じていない場合もある。

ただ、この冷えが招く諸症状は実に多岐にわたる。具体的には「頭痛」「不眠」「耳鳴り」「めまい」「イライラ」「肩こり」「腰痛」「食欲不振」「腹満(おなかが張る)」「便秘」「下痢」「頻尿」「夜間尿」「膀胱炎」「月経不順」「月経困難症(月経痛の増強)」「手足の冷え」「しもやけ」「ほてり」「寒冷蕁麻疹」「関節や筋肉の痛み」「こむら返り」「免疫力の低下」などが挙げられるという。

「冷えが多くの慢性疾患や慢性症状の原因となったり、増悪させていたりするケースが多くあります。最近は冷房によって体調を崩し、月経異常や月経困難症を訴える方が多くなりました。寒さによるストレスは、ストレスホルモンを産生している副腎皮質を介して下垂体や卵巣系に影響し、月経異常を来すことが考えられます。月経異常はその後の不妊につながる可能性があります」

近年は男性や若年層にも「冷え人口」が増えているそうだが、一般的には「冷え=女性がなりやすいもの」とのイメージが強いはずだ。冷えが男性よりも女性に多いとされている理由は、大きく3つある。

(1)筋肉量が少ない

女性の身体は男性より筋肉量が少なく、その運動量も少なくなりがち。筋肉は熱を作り出して血液を温め、その温められた血液が全身をめぐり、身体を温めている。そのため、筋肉量と運動量の少ない女性は必然的に熱が作り出されず、身体が温まりにくくなってしまう。

(2)冷えを起こしやすい服装

男性が襟や袖のついたスーツやジャケット、シャツに靴下、革靴などを着ているのに比べ、女性の服装は身体の露出が多いと言える。デコルテの開いたシャツやブラウス、脚が綺麗に見えるスカート、短いパンツ、パンプスなどでは、冷やすと特に体温が下がりやすい部位の首や手首、足首が露出しやすくなってしまい、冷えを起こしやすいとのこと。

(3)自律神経の乱れ

女性には月経があり、一生を通じてホルモンが月単位、さらに年単位で大きく変化する。ホルモンの大きな変化によって自律神経が乱れやすく、冷えを感じやすくなる。また、男女問わずにストレスや睡眠不足などで生活リズムが乱れても、自律神経が乱れて冷えを感じやすくなる。

病気によって冷えが発生している可能性も

また、何らかの疾患が冷えを招いている可能性もゼロではないと大塚医師は警鐘を鳴らす。

「身体の熱を産生する機能、つまり『代謝』が下がり冷えとなる代表的な疾患には、『甲状腺機能低下症』や『栄養障害』などが挙げられます。末梢血液循環がよくないことで冷えとなる疾患には、『閉塞性動脈硬化症(ASO)』『バージャー病(閉塞性血栓性血管炎: TAO)』『糖尿病』『関節リウマチ』『強皮症』『結節性多発動脈炎』『レイノー症候群などの膠原病』などがあります」

そのほか、貧血も末梢への酸素の運搬能が下がるため冷えの症状が出やすいほか、高齢者は病的でなくとも、上記の機能が下がって冷えになりやすいという。これらの疾患に関しては、医療機関での詳しい検査・治療が必要になってくる。