肩こりは“日本の国民病”とも呼ばれ、性別や年齢を問わず多くの人を悩ませている存在です。その症状を訴える人は年々増え続け、低年齢化も進んでいます。肩こりの原因はさまざまですが、崩れた姿勢がクセになってしまうことで特定の筋肉に負荷が偏ることから肩こりが発生するケースも。今回は、肩こりにならないため・肩こりを悪化させないための姿勢について学んでいきましょう。

  • 正しい姿勢で過ごせていますか?

    正しい姿勢で過ごせていますか?

普段の立ち姿勢は傾いていませんか?

猫背になると頭の重さが前方に傾くため、それを支えようとして首や肩には大きな負荷がかかります。同じ重さでも、支える角度が違うだけで実際の負担は変わってくるのです。また、姿勢を正そうとして背中を反りすぎたり胸を張りすぎたりしてしまうのも、かえって肩こりを起こりやすくしてしまうので注意してください。正しい姿勢で立つためのポイントは、以下の5点です。

・頭頂部を真上から引っ張られているイメージで背伸びをして背すじを伸ばし、そのままストンとかかとを落とす
・ひざを伸ばす
・へそを背骨に近付けるイメージで骨盤を立てる
・肩甲骨を後方へ軽く引き、胸を張る
・少しあごを引く

  • 横から見たときに、耳・肩・骨盤・ひざ・くるぶしが一直線になっていれば、それが正しい姿勢です。誰かにチェックしてもらいましょう

    横から見たときに、耳・肩・骨盤・ひざ・くるぶしが一直線になっていれば、それが正しい姿勢です。誰かにチェックしてもらいましょう

まずは、この感覚を身体に覚えさせることから始めてみるのがいいでしょう。同時に、鏡で正面から自分の姿勢を見ることで、身体のゆがみもチェックしておくことをオススメします。ベルトが斜めになっていないか、普段使用しているバッグを持ったときの姿勢はアンバランスになっていないかなど、左右の釣り合いを意識しましょう。

仕事中の姿勢は大丈夫ですか?

デスクワークが多い人や、パソコンを日常的に使用する人は、座っているときの姿勢にも気を配りましょう。立っているときと同様に座っているときも、猫背は首や肩に負担をかけてしまいます。集中しすぎて前傾姿勢になったり、反対に背もたれに寄りかかりすぎたりしないようにも気を付けてください。正しい座り姿勢のポイントは、以下の3点です。

・若干浅めに腰かけ、背もたれに体重をかけずに背すじを伸ばす
・へそを背骨に近付けるイメージで骨盤を立てる
・目線が20~30°下方に向くように、デスクや椅子、パソコン画面の角度を調節する

  • 正しい座り姿勢は、股関節とひざが同じ程度の高さになる状態が目安です

    正しい座り姿勢は、股関節とひざが同じ程度の高さになる状態が目安です

たとえ正しく座っていても、同じ姿勢を続けることは肩こりの原因となります。1時間おきに立ち上がって伸びをする、歩き回るなど、定期的に動いて筋肉をほぐしてあげてください。

  • 足の下に何かしら台を置いてみて、その方が快適だと感じる場合は、今の椅子の高さが合っていない可能性もあります

    足の下に何かしら台を置いてみて、その方が快適だと感じる場合は、今の椅子の高さが合っていない可能性もあります

前かがみや猫背の姿勢が原因で起こる「ストレートネック」にも要注意。本来ゆるやかなカーブを描いている首の骨(頸椎)が、前方へまっすぐ伸びた状態になってしまうストレートネックは、別名「スマホネック」とも呼ばれています。ストレートネックになると首や肩の筋肉が引っ張られ、これも肩こりや頭痛の引き金になります。

姿勢というのは、知らず知らずのうちにクセがついてしまうもの。こまめに意識し、常に正しい姿勢を保つように心がけましょう。
次回は、肩こりに効果がある「ストレッチ」を紹介します。

監修者

福田千晶 (ふくだちあき)

医学博士・健康アドバイザー
日本体力医学会健康科学アドバイザー・日本医師会健康スポーツ医・日本人間ドック健診情報管理指導士・日本リハビリテーション医学会専門医・日本人間ドック学会専門医。健康科学アドバイザーとして講演や執筆、テレビ・ラジオ番組への出演などで活躍。