すっかり秋も深まってきた。今年は例年より若干温かい気もするが、それでも朝晩はやはり冷え込む。先日、今シーズン初めての「鍋」を頂いたところだ。さて、今回は本郷三丁目からお届けする。数回前に「トウキョウライトブルー ホンゴウスリー」で訪れたばかりだ。今日の「そば処 はるな」もこの近くで、本郷通り沿い、東京メトロ丸ノ内線「本郷三丁目」駅2番出口から徒歩3分ほどになる。

  • 本郷三丁目「そば処 はるな」の容姿端麗な「かき揚げ天そば」に感激

    「かき揚げ天そば」(420円)

無音の静かな店内で、そばを待つ

訪れたのは午前10時前。開けられたままの店内には先客が1名。地下鉄や街はちょうど出勤ラッシュの終わりに差し掛かっており、足早に通り過ぎる人が多かった。左右両脇にカウンター(ハイチェア付き)。正面奥が厨房で、店員3名体制。プリントされた短冊がぶら下がっており、口頭注文代金引換式の店になっている。テレビやラジオ、BGM等はなく、極めて静かな店内。メニューに写真もついておらず、ストイックな雰囲気を醸し出してもいる。唯一、壁にフィギュアスケート選手のサイン色紙が1点だけ貼られていた。メニューも渋く、月見、たぬき、きつね、わかめから山菜、いか天、カレーなど。ご飯物として天丼やカレー、おにぎりがあるほか、変わり種としては「鳥なんばん」や「なめこおろし」か。バットからの単品注文で「ハゼ天」(110円)というのもあった。注文したのは久しぶりの「かき揚げ天そば」(420円)。立ち食いそばの王様、やはりこれが一番食べたくなる。

注文してからの麺茹でのため、2~3分ではあるがしばし時間はかかる。その間に客がまた一人。サラリーマン風の男性だ。「トウキョウライトブルー ホンゴウスリー」の方では大学生風の若者が4~5人入っていた。一見するだけでも客の住み分けが興味深い。

職人の誇りが伝わってくる、美しい一杯

実に美しく整ったそば。かき揚げの大きさ、ネギの位置、ワカメとのバランスなど、一目で丁寧な一杯だと確信できる。「立ち食いそば」のレンタルフォトとして販売したいくらいだ。麺を一口すすれば、さすがのこだわり。中細でしっとり絡む歯ざわり。香りも申し分ない。かき揚げ天は玉ねぎとにんじんベースで、思ったより薄めだが、その分蕎麦の味わいを邪魔しない。分量に不満はなく、あっという間にツユを吸い込む。ダシはやや濃い目。奇をてらわないベーシックな関東の味だ。ほとんどのメニューがワンコインでお釣りがくるが、当然のごとく手抜きは一杯もないと思われる。職人の誇りが伝わる一杯だった。

  • 東京メトロ丸ノ内線「本郷三丁目」駅2番出口から徒歩3分の「そば処 はるな」

食べ終わった後は、返却口はなく厨房に手渡しでお盆を返した。目を合わせて伝える「ごちそうさまでした」と「ありがとうございます」。そばだけではない人の温かみも感じる一店である。

著者:高山洋介

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作