最近、クレジットカードや電子マネーの他に、お店のレジ付近で目にすることが増えた「スマホ決済」対応の表示。キャッシュレス決済の方法が増えすぎて混乱している方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、サービスを利用するメリットや選び方など、スマホ決済の基本について解説します。

  • 改めて……スマホ決済っていったい何?

    改めて……スマホ決済っていったい何?(画像はイメージ)

スマホ決済には2種類ある

「前からおサイフケータイがあったのに、なぜ今さらスマホでの決済が注目されるの?」と疑問に思われている方もいるかもしれません。実はスマホ決済には、「スマホをかざす決済」と「コード決済」の2種類があります。

(1)スマホをかざす決済

日本で主に使われている技術「FeliCa」(フェリカ)に対応したスマホが必要です。代表的なものでは、おサイフケータイ、Apple Payなど。スマホで初期登録をすると、利用できます。

(2)コード決済

アプリを使うため、基本的にどのスマホでも利用可能です。自分のスマホにアプリでQRコードまたはバーコードを表示させ、店側に読み取ってもらいます。また、お店が提示するコードを自分のスマホで読み取る方法もあります。

コード決済は、ポイント還元のキャンペーンが話題になっていますね。サービスとしては、例えばPayPayやLINEPay、楽天ペイやOrigami Pay、ゆうちょペイなどが挙げられます。チャージ残高が使えたり、クレジットカードやデビットカードで支払えたりと、支払い方法もサービスによってさまざまです。

  • 話題のコード決済をチェック!(執筆者作成)※還元率は支払い方法や利用金額などによって異なります

    話題のコード決済をチェック!(執筆者作成)※2019年7月時点の情報。還元率は支払い方法や利用金額などによって異なります

スマホ決済を利用するメリット

スマホ決済の利用にはたくさんのメリットがあります。

(1)スマホ1つで複数の決済サービスが利用できる

カードを利用する他のキャッシュレス決済では、1つのカードで、1つの決済サービスしか利用できません。一方でスマホ決済では、スマホ1つにアプリを複数入れることで、さまざまな決済サービスが利用できます。

(2)スムーズな支払いが可能

スマホは一番取り出しやすいところに入れて持ち歩いているという方が多いのではないでしょうか。支払いのために取り出すのもスムーズですし、クレジットカード払いなどで必要なサインや暗証番号も不要です。

(3)誰でもすぐに始められる

例えばクレジットカードは、過去の支払い履歴や職業・収入などをもとにした審査を通過しなければ発行されません。そのため、人によっては利用できなかったり、利用できるまでに時間がかかったりするというデメリットがあります。これに対してスマホ決済は、利用開始にあたって審査が不要です。

またコード決済については、どのタイプのスマホでも、アプリをインストールすればすぐに始められます。

(4)購入以外の用途にも使える

コード決済の中には、決済だけでなく、家族・知人間の送金といったサービスが付いているものがあります。これは、クレジットカードなど従来のキャッシュレス決済にはない機能です。無料で送金・受け取りができるため、銀行口座間の送金でかかる手数料を節約できる場合もあります。

スマホ決済を選ぶときには「支払い方法」に注目しよう

ここまでスマホ決済の種類や利用メリットについて解説してきましたが、どの決済サービスを選んだらいいか迷っている方は、「支払い方法」に注目してほしいと思います。

スマホ決済には、他のキャッシュレス決済と同様に、「前払い」「即時払い」「後払い」の3つの支払い方法があります。代表例は、「電子マネー」「デビッドカード」「クレジットカード」です。

例えば、予算をしっかり立てて守りたい方であれば「前払い」タイプがオススメです。支払いの際には残高に注意する必要があることから、使い過ぎを防ぐことができます。また「即時払い」タイプは、支出をしっかり把握したい方にとって便利でしょう。利用金額が通帳に記帳されるので、管理が簡単です。

支出管理に自信のある方は、購入時に現金・預金がなくても利用できる、支払いを分割できるなどといった利点のある「後払い」を選んでも良いでしょう。

  • キャッシュレス決済における支払い方法の違い

    キャッシュレス決済における支払い方法の違い(執筆者作成)

スマホ決済と従来の他のキャッシュレス決済との間に、大きな違いはありません。ではなぜ今注目を集めているかというと、コード決済サービスの事業者が、たくさんの方に使ってもらうため、それぞれポイント還元キャンペーンを打ち出しているからです。

普段からよく利用している店舗がコード決済に対応しているようなら、キャンペーンをきっかけに利用してみても良いですし、普段集めているポイントと連動している決済サービスを使うのも、賢い利用方法かもしれません。

国のキャッシュレス・消費者還元事業では、2019年10月の消費税率引き上げに合わせて、キャッシュレス決済だけにポイント還元が予定されています。他のキャッシュレス決済でも事業の対象になりますので、まずは慣れた方法から始めて、ぜひ家計の節約に役立てましょう。

ライター: 渋谷ひかり

大学卒業後、ITサービス業の会社に就職。クライアントに保険会社が多かったため生命保険・損害保険について学んだことをきっかけに、マネープランに興味を持つ。退職後、シングルマザーとして自立するために、宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナーの資格を取得し、ライターとして執筆・監修を中心に活動中。2級FP技能士/宅地建物取引士/マイライフエフピー認定ライター

監修: (株)マイライフエフピー代表 加藤葉子

子どもを授かったことをきっかけに、教育費や投資、学資保険の仕組みなどに興味を持ち勉強を始め、3年で子どもの教育資金を貯める。NHKのコラム執筆がきっかけでFPとして起業。現在は、全国の女性からのお金の相談を中心に執筆・マネー講師として年間700件の活動をしながら、ファイナンシャルプランナー向けの実務講座も運営。自身のホームページ「女性とシングルマザーのお金の専門家」