半袖で心地よい季節から、だんだんと蒸し暑い季節に。こんな時こそ銭湯でリフレッシュしたい。というわけで今回お邪魔したのは、世田谷区松原にある「松原湯」だ。京王線「明大前」駅、徒歩3分。ほぼ線路沿いにある。

  • 松原湯」へは、京王線「明大前」駅から徒歩3分

    「松原湯」へは、京王線「明大前」駅から徒歩3分

余談だが、この日は天気もよく、筆者自身も最近運動不足気味だったので、思い切って自宅から歩いて向かってみた。みっちり徒歩1時間半。じんわり汗ばんだ背中が、一層銭湯への思いを熱くする。

女湯と男湯、ともにペンキ絵を披露

到着は開店時刻に合わせた。開店は15時45分と、ちょっと半端な時間。近くには小学校や中学校などが多く(もちろん明治大学のキャンパスも)、下校時間の子どもたちでにぎやかだ。そんな中、70~80代と思しきお年寄り10人近くの集団が、シャッターが開くのを今か今かと待っていた。

玄関をくぐり、下足箱。横から挿すタイプの板鍵だ。自動ドアからフロントロビーへ。フロントと脱衣所入口は左手側。正面はソファとドリンクケースのある休憩コーナーになっている。男湯右、女湯左。ロッカーは壁側、中央、境目側にそれぞれある。

付帯設備としては、パックドリンクが8種類ほど並んでいるだけの小さな自販機や、ロッカーの側面に申し訳程度に設置されたコインドライヤーと鏡。中央に、プールサイドに置いてありそうな材質でできたベンチとローテーブル、デジタル体重計など。

額に入った写真が飾られていたので見てみると、「女湯から見たペンキ絵」とのこと。なるほど、反対側はどうなっているのか見せてくれているわけか。また、天井を見上げると立派な折上格天井。格子は正方形ではなく、長方形になっているところが少し特徴的。相客はすでに5~6人いた。

想像よりも骨太の伝統を思わす空間

男湯のイメージ(S=シャワー)

男湯のイメージ(S=シャワー)

浴室に向かう。正面には、ドーンと立派な富士山のペンキ絵がお出迎え。山頂が男女をまたぐように配された、絵師・中島盛夫氏による力作である。描かれたのは「29.10.20」とあって、半年ちょっとしか経っておらず、状態も申し分ない。

脱衣所の天井もそうだが、やや地味な玄関からは想像もできないほど、骨太の伝統的な銭湯だ。浴室内のタイルなども清潔感満点。隅々まで清掃が行き届いている。湯はシンプルに2層。入浴剤入りで、青く染まっている。温度も42度ちょうどくらいだろうか、心地よい温度である。

かけ湯したお年寄りの常連は一斉に湯に入っていく。日大アメフト部の問題など、話題のニュースについて激論を交わしていたりなどしていた。後からも1人、2人と次々に客がやってくる。地元で人気の憩いの場になっているようだ。と言っても特段入りづらいことはなく距離感は保たれているのでご安心を。おかげさまでさっぱりと汗を流させていただくことができた。

※イメージ図は筆者の調査に基づくもので正確なものではございません

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。