今回は久しぶりに渋谷区の銭湯を。というのも、先日から区内で初めての銭湯スタンプラリー「ゆっポくんのしぶせん湯めぐり」が開催中(7月末日まで)。渋谷区内11軒の銭湯のうち、5軒(同一銭湯不可)をまわると先着でオリジナルタオルがもらえるというイベントが始まっていたからだ。

  • 「八幡湯」へは、小田急線「代々木八幡」駅、東京メトロ千代田線「代々木公園」駅から徒歩1~2分

    「八幡湯」へは、小田急線「代々木八幡」駅、東京メトロ千代田線「代々木公園」駅から徒歩1~2分

というわけで、早速目指したのは「八幡湯」。小田急線「代々木八幡」駅、東京メトロ千代田線「代々木公園」駅から徒歩1~2分の至近距離。代々木公園の西門からもほど近い銭湯である。

銭湯はにぎやかな商店街の中に

駅からはずれた住宅街の広々とした銭湯も悪くないが、駅前のにぎやかな場所で商店と肩を並べているお風呂屋さんは格別だ。その昔は銭湯を中心に街が栄えていったという説もあるが、まさにそういう光景を目の当たりにしているようで、エネルギーをもらえる。小さな黄色い庇を持つこの銭湯は、特段主張することもなく街に溶け込んでいる。

下足箱(KING錠の板鍵)に靴を入れ、中へ。入ると左手にフロント、その両脇が脱衣所入口になっている。男湯左、女湯右だ。ロビーと呼べるほどのスペースはないが、フロント前にシャンプー類の販売棚、ドリンクケースや血圧計なども置かれている。

ロッカーは壁側と中央に、松竹錠のものがある。壁側ロッカーの上にはテレビが。また、縁起物だろうか、「開」「運」「勝」「利」と書かれた升が飾られている。

背側にマッサージチェア。浴室側に洗面台とコインドライヤー、TANITAのデジタル体重計。ほか、スツールが数脚と、小さなマンガ棚がひとつあった。すっきりと片付けられていて、清潔感も◎。平日、16時前。先客はふたりだった。

北陸と富士山の絶景を仰ぎ見ながら

男湯のイメージ(S=シャワー)

男湯のイメージ(S=シャワー)

浴室に入ろう。「先週リニューアルしたんじゃないの?」と思ってしまうほど、というのは言い過ぎか。シャワーヘッドやタイルなど、ピカピカで真新しい。

正面には「立山あおぐ特等席。富山市」のタイトルのある、立山連峰と北陸新幹線のペンキ絵。中島盛夫絵師と銭湯に関する著書を多く執筆している町田忍氏との合作だ。また、両壁面には富士山のペンキ絵ポスターが数枚ずつ貼られていて、さながら小さなペンキ絵ギャラリーのよう。

湯船は主浴槽がひとつ。温度は42度ちょうどくらいだろうか。カラン数も少なく、コンパクトな銭湯ではあるが、天井は十分高く、壁のペンキも曇りなく塗られている。

冒頭に書いた通り、代々木公園が近いのでランニングステーション代わりに利用する客も少なくないらしい。原宿や渋谷も遠くないので、様々なアクティビティと組み合わせて楽しむこともできそう。ぜひ覚えておきたいスポットのひとつだ。

※イメージ図は筆者の調査に基づくもので正確なものではございません

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。