サラリーマンが副収入を得る方法として、一度は興味を持ったことがあるかもしれない「不動産投資」。物件って本当に買えるの? リスクが大きいのでは?? そんなシンプルな疑問を持つ読者も多いかもしれません。
そこでこの特集では、サラリーマンをしながら、実際に物件を購入し、管理を始めている投資家の体験談をご紹介します。
今回ご紹介するのは、30代後半の会社員、区分マンション2部屋と、アパート2棟を保有する上原徹平さん。320万円で購入した空室・ボロ物件をリフォームするところから始めた不動産投資が、どのように進展していったのか、お話を聞きました。
上原徹平さん(30代後半)
奥様と保育園に通うお子さんとの3人暮らし。2015年1月から不動産投資のスクールで勉強を始め、その年の8月には神奈川県川崎市内、築40年の2K区分マンション1室を320万円で購入する。現在は、1件目の物件に加え、450万円で購入した区分マンション、いずれも5,000万円台で購入した新築アパート2棟を保有している。
マイホーム探しで気づいた「投資用物件」の存在
――不動産投資に取り組んでみようと思われたきっかけは何ですか?
マイホームを購入するため、初めて新築マンションのモデルルームを訪れた際、記入したアンケートシートに、「自宅用か投資用か」という回答項目があり、「新築マンションを投資用で購入する人がいるんだな」と気づいたのが最初です。
気になったので、営業の担当者さんに「投資用で買う人もいるんですか?」と聞くと、「賃貸で出すと20万円ぐらいで貸せるんですよ。ローンの返済額との差額が手元に残りますし、価値が上がれば売却時に利益を出すこともできます」と答えがあり、驚いたのをおぼえています。
その後もマイホーム探しの中でモデルルームを何件も回り、投資用で購入する話を各担当者さんから聞くようになって、興味が強くなっていきました。
もともと仕事でも、住宅支援にまつわる事業に関わっていたことがあり、「何もしていない(ように見える)のに、家賃というお金が毎月入ってくる」大家さんは、うらやましいなぁと思っていました。
それから振り返ってみると、大家さんへの憧れは小学生の頃から持っていて(笑)。
通学路に建っていた小さなアパートを見て「ここの大家さんはいくらもらっているんだろう」と考えていたんですよね。
仕事で感じた大家さんへのうらやましいという気持ちと、投資用で購入するマンションの話、そして小学生のころに抱いていた"大家さん"という人への憧れがリンクしていきました。
ボロボロのマンションをリフォーム、家賃1万円アップに成功
――スクールで勉強を始めてから約半年後、最初は320万円の物件を購入されたんですね
川崎市内で東横線沿線の駅から徒歩20分の立地にある区分マンション1室を購入しました。築40年の重量鉄骨造、35平方メートルの2Kという間取りです。空室で想定賃料は6万5,000円ほどでした。
この物件を購入するまでが、本当に大変でした。例えば物件の資料は、「今までに食べたパンの枚数は?」と聞かれても見当がつかない、というくらいの数を請求しましたし、価格交渉も20~30件くらいしていたと思います。
不動産投資のスクールでは「1日3件の資料請求、週に2件の現地調査」という宿題も課せられていて、このノルマも愚直にこなしていました。この頃苦労したことが、今の結果につながっていると感じます。
前年には5,000万円台のマイホームを契約していたので、物件購入としては2件目。加えて、320万円という価格だったにもかかわらず、売買契約書の押印時に手の震えと手汗が止まらなかったのをおぼえています。
――大変な苦労の末に購入された物件なのですね。最初の物件はボロボロでリフォームが必要だったとか?
リフォームについては、まずどんな間取りが好まれるかを現地の不動産会社さんにヒアリングして、2Kを1LDKに変えようと決めました。
スクールで学んでいたとはいえ、リフォームの知識はまだ乏しかったので、いろいろ親切に教えてくれそうという理由で、大手のリフォーム会社さんに見積もりに来てもらいました。
丁寧にリフォームの具体的プランまで考えてくれ、完成後のCG写真まで作ってくれたのですが、見積額は400万円超。大変申し訳なかったのですが資金が足りず、丁重にお断りをすることに。
ただそのリフォームプランはとても素敵だったので、物件の周辺にある工務店さんを12社ほどピックアップして、そのプランのイメージを説明し、「こういう部屋にしてほしい」と見積をもらいました。
その結果、一番安い160万円という金額を提示してくださったところにお願いすることになりました。
壁紙はもちろん、水回り、床、天井もすべて作り替えたので、当初6万5,000円の想定家賃でしたが、結果的に約7万5,000円で借りてもらうことに成功しました。
その後もリフォームの経験を積むために、空室で中がボロボロの物件を選ぶようにして、知識と経験を身に着けていきました。
また、融資の期間を長くとってキャッシュフローを得たかったので、アパートも2棟購入しました。
新築か築浅に絞って探していたのですが、いい利回りの新築や築浅のアパートは価格交渉がほとんどききません。たくさんの業者さんに会い、自分は物件を買えるんだというアピールをし、良い物件を紹介してもらいました。
「お金を使うことがストレス」から解放された
――大変なことも多かったと思うのですが、不動産投資を始めて、一番うれしかったことは何ですか?
初めて家賃を手にしたときは、本当にうれしかったですね。
管理会社さんから「最初の家賃は手渡ししたい」と言っていただいて、封筒に入った家賃を、現金・手渡しでいただいたんです。
初めて自分で価値を生み出し、そのサービスを提供することで得た対価……本当の意味で初めて自分で稼ぎ出したお金なんだと実感し、社会人になって初任給をもらったとき以上のうれしさでした。
――不動産投資を始めてから、生活は変わりましたか?
私は、これまではどちらかというとケチな部類で、小さいことでも節約しようとしたり、お金を多く使うことにストレスを感じたりしていました。
でも、不動産の勉強をする中で「お金」についても勉強していきましたので、外食を我慢したり、寒いのにエアコンをつけずに電気代を節約したり、といった効果の小さい節約はしなくなりました。
無駄遣いとならない範囲で外食や旅行など、使いたいことにお金を支出できるようになったのです。
これも家賃収入という、会社からの給料以外の収入が、心に余裕を生み出してくれた結果だと思います。
それから、これまで考えることすらなかった、"早期退職して自分の好きなことをして生活する"という可能性が、不動産投資を始めたことで考えられるようになりました。
と同時に、限りある人生の時間というものを強烈に意識するようになり、時間への意識が大きく変わったことを感じます。
――将来の展望は?
50歳までに年収と同等以上のキャッシュフローを得て、いつでもリタイアできる状態を作りたいですね。
一日中ゴロゴロしたり、好きなだけ漫画を読んだりゲームをしたり、それに飽きたら何か儲かりそうなことがないかと考えて試してみたり……そんな「自由な日々」を手に入れたいです。
それから、私自身、会社員の両親のもとで育ち、将来は会社員になる以外の選択肢が想像できなかったのですが、子どもには、会社員以外のさまざまな選択肢が未来にあること、いろんなことに挑戦できるのだということを、自分の背中を見せて考えてもらいたいなと思っています。
※画像はイメージ
取材協力: ファイナンシャルアカデミー
お金の教養を身につけるための「総合マネースクール」。2002年の創立以来18年間で延べ57万人が、東京校やオンライン校にて、貯蓄や家計管理といった生活に身近なお金から資産運用、キャリア形成、人生と社会を豊かにするお金の使い方までを学んでいる。現在、不動産投資スクールや株式投資スクールなどで無料体験セミナーを開催している。