ラジオ業界に関わる様々な人を掘り下げる連載「ラジオの現場から」。今回登場するのは、『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)の金子司ディレクターだ。現在は『三四郎のANN』、『ファーストサマーウイカのANN0』、『Creepy NutsのANN0』を担当。この秋から『オールナイトニッポン』のチーフディレクターに就任。また、クリスマス恒例の『第46回ラジオ・チャリティ・ミュージックソン』も取り仕切ることになった。

地方FM局での5年間の勤務を経て、ニッポン放送の現場に関わるようになった金子氏。様々な番組のADを担当し、『オールナイトニッポンサタデースペシャル大倉くんと高橋くん』では、本人が「人生で1番追い詰められた」と振り返るほど大きな経験をする――。

■サウンドマンに中途入社

  • 金子司氏

――金子さんの思いが実を結び、サウンドマン(現ミックスゾーン)に中途入社したわけですが、すでにラジオ局で5年働いた経験がある状況だと、社内での立場はどういう位置づけになったんですか?

入社した順なので、年齢的には僕が上なんですけど、最初は舟崎(彩乃)さんについて教えてもらいました。石井(玄)さんや三浦(憲高)さんは年齢も職歴も僕より上にあたります。

――ADになった当初はどんな番組に携わっていたんでしょうか?

夜も昼も、生放送も収録も、ひと通りいろんな番組でADを経験しました。『大倉くんと高橋くん』や『金曜ブラボー』、森山良子さんの『ANN MUSIC10』のADにもついてました。あとは『テレフォン人生相談』という番組で1時間ぐらい電話での相談を録音して、それを15分程度に編集するという作業をひたすらやってました。

■「僕、“アチい”のが好きなんです」

――ディレクターとして最初に担当したのはどの番組ですか?

ディレクターとして最初についたのは渋谷龍太(SUPER BEAVER)さんの『ANN0』です。前から「音楽が好き」っていろいろなところでアピールしてたんですけど、ニッポン放送の番組に関わるようになって1年経ったタイミングで、たまたまいろんなご縁があって担当することになりました。

――金子さんのTwitterを掘り下げていたら、ニッポン放送に関わる前からSUPER BEAVERについてつぶやいていて、僕も勝手にエモくなってしまいました。いやあ、つながるもんだなあって。

ライブハウスに行くのが好きだったので、2度目のインディーズに戻ったときからSUPER BEAVERは見てたんです。

――『ANN0』の最終回には渋谷さんが検査入院したため参加できず、4カ月後に改めて最終回を放送したなんてこともありましたね。

木曜深夜の放送だったんですけど、火曜日の朝ぐらいに「すいません……」って電話がかかってきて、慌てましたよ。でも、他のメンバーが出てくれたので。バンドはそういうこともできるからいいですよね。僕、“アチい”のが好きなんです。熱いのがカッコ悪いと思う時期ってあるじゃないですか。でも、今は3~4周回って、心の底から「アチいのがいいな」って言えるようになりました。

“ハスってる”じゃないですけど、そういう時期も人並みにあって、「熱いよね」と言われるとすごい恥ずかしくなっていたんですけど、今はアチいほうがいいなって思います。渋谷さんの『ANN0』でもそういう思いになりました。