東京2020はさまざまなスポーツをお子さんとともに楽しめるまたとないチャンスです。そこで、子どもの運動能力向上に詳しいスポーツトレーナー・遠山健太が各競技に精通した専門家とともにナビゲート! 全33競技の特徴や魅力を知って、今から東京2020を楽しみましょう。今回は「トランポリン」! 競技解説は子どもの運動指導者として活動する田上翔太さんです。

  • トランポリンの魅力とは?

トランポリンの特徴

トランポリンは、縦4.28m(±6㎝)×横2.14m(±5㎝)の跳躍器具上で演技を行う採点競技で、約20秒で異なる10種類の技を連続して披露します。トランポリンの語源は中世ヨーロッパのサーカス芸人の名前が由来とされ、第2次世界大戦期、アメリカで、パイロットが空中感覚を養うためのトレーニングとして採用されたのち、レクリェーション・スポーツとして爆発的なブームを巻き起こしました。競技スポーツとして確立されたのは、ヨーロッパに渡ってから。五輪に正式に採用されたのは2000年のシドニー大会と、比較的に新しい種目になります。五輪では個人競技(男女)が行われます。

採点は演技の美しさ(E得点)、技の難しさ(D得点)に併せ、高さ(滞空時間)の跳躍時間点(T得点)、およびどれだけ平行に移動しないかを評価する移動点(H得点)すべてを合計した得点―ペナルティーで算出されます。ペナルティーとは合計得点からの減点です。たとえば、服装の違反による減点、決められた時間内で演技を開始しなかった減点、コーチが演技中に声を掛けた減点などがあります。

トランポリンの特徴といえば、空中での回転やひねりですね。跳躍や宙返りの空中姿勢には、タック(抱え型)、パイク(屈伸型)、レイアウトあるいはストレート(伸身型)の3種類があり、ここに回転やひねりを加えることでD得点が高くなります。卓抜したバランス感覚と運動能力が求められる競技になります。

トラポリンを観戦するときのポイント

トランポリンは一回の競技が約20秒と短い中で10種目も行うため、片時も目が離せません。特に観ていただきたいのは、安定した高さ、フォームの美しさ、移動しない安定性、技の演技構成です。トランポリンの醍醐味である高さを上げていくと、バランスを失いフォームの乱れや着地位置のズレが生じやすくなります。逆もまた然りです。

自由演技では難度が加算されるため、さらに高難度の技に挑戦することになりますが、その分、技は不安定になり、高い演技点が得られにくくなります。したがって、選手はこの両方の得点バランスを考慮した演技を行います。

五輪の予選では、第1自由演技と第2自由演技の合計点が高い上位8名が決勝へと進みます。第1自由演技には、特別要求(難度点を計上する4つの種目)を含む10種目を行います。第2自由演技は自身の構成で10種目を行います。

決勝は予選の得点は加味されず0点からのスタートになります。決勝は予選と異なり、一回勝負でやり直しがきかないため、予選を8位で通過した選手でも一発逆転優勝の可能性があります。最後まで順位がどうなるか分からず、目が離せません!

東京2020でのチームジャパンの展望

2020年の3月11日時点で、堺 亮介選手と森 ひかる選手の内定が決定しています。堺選手は、2019年世界選手権の男子個人で日本選手最高位の5位に入り、東京2020の代表に内定しました。世界選手権直前の全日本線選手権で初優勝し、積極的な演技で飛躍した注目の選手です。

一方、森選手は、2019年世界選手権の女子個人で金メダルを獲得し、東京2020の代表に内定しました。森選手は、安定感のある演技を繰り出し、2013年の全日本選手権で史上最年少の14歳で初優勝を果たした選手です。

まだ、内定は出ていませんが、宇山芽紅(うやま めぐ)選手にも注目が集まっています。宇山選手は、五輪種目でないものの、2018年世界選手権で森選手とともにシンクロナイズドに出場し、日本女子初の金メダルを獲得した注目の選手です。

過去の五輪では、男女とも特に中国の活躍が目まぐるしく、そのほか、ロシア、カナダ、ベラルーシが上位を占めています。東京2020では、どの選手も大舞台のプレッシャーにのまれることなく華麗な演技を披露できるか、そして、日本人選手の活躍も楽しみにしましょう。

遠山健太からの運動子育てアドバイス

トランポリンを跳んでいれば跳躍力が向上すると思っている人は多いかもしれません。実際、その効果もあるかもしれませんが、もっと重要なポイントが2つあります。1つは体の軸づくりです。姿勢をまっすぐにしていないと、真上に跳ぶことができません。しっかり跳べるようになれば姿勢もよくなるでしょう。もう1つは地面をしっかり踏む力がつくことです。これは跳躍力にもつながりますが、走る力に直結します。また跳躍の際に自然と両腕をまわして反動を使うことができるようになります。これがいずれ跳躍につながるのです。私が主催する都内の教室(ウィンゲートキッズ)でもトランポリンをやっておりますので、ぜひ一度体験にきてみてください。

競技解説:田上翔太

ウィンゲート所属。子どもの運動教室「リトルアスリートクラブ」トレーナー。健康運動実践指導者を保有。幼児期から器械体操、水泳、ラグビー、陸上競技と多様なスポーツ経験を得てきた自身の経験から、幼児期の運動経験の大切さを考え、子どもへの指導を行っている

ナビゲーター:遠山 健太

リトルアスリートクラブ代表。トップアスリートのトレーニングに携わる一方で、ジュニアアスリートの発掘・育成や、子どもの運動教室「リトルアスリートクラブ」のプログラム開発・運営など、子どもの運動能力を育むことに熱心に取り組む。自身、2児の父であり、子どもとともにめぐった公園での運動や子育て経験を生かし、パークマイスター(公園遊びに詳しく、子どもの発育を考えて指導ができるスポーツトレーナー)としても活動している。著書は『スポーツ子育て論』(アスキー新書)、『運動できる子、できない子は6歳までに決まる!』(PHP研究所)、『ママだからできる運動神経がどんどんよくなる子育ての本』(学研プラス)など多数