東京2020はさまざまなスポーツをお子さんとともに楽しめるまたとないチャンスです。そこで、子どもの運動能力向上に詳しいスポーツトレーナー・遠山健太が各競技に精通した専門家とともにナビゲート! 全33競技の特徴や魅力を知って、今から東京2020を楽しみましょう。今回は「体操競技」! 競技解説は体操教室で指導している三戸裕昭さんです。

  • 体操競技の魅力とは?

体操競技の特徴

器械を用いて身体で演技を行い、技の難易度や美しさを基準に審判員が判定を行い、その得点を競う採点競技です。男子は「ゆか、あん馬、つり輪、跳馬、平行棒、鉄棒」の6種目、女子は「跳馬、段違い平行棒、平均台、ゆか」の4種目で行われます。なお、女子のゆかは音楽に合わせて演技が行われるのが特徴です。

以前は、10点満点による採点が実施されていましたが、現在は演技の難易度や構成を評価する「Dスコア」と、演技の完成度や美しさを評価する「Eスコア」の合計が得点となり、上限のない採点方式となっています。

<「Dスコア」とは>
一つひとつの技には難易度があります。技の難易度は、男子はA~I難度、女子はA~J難度まであり、A難度0.1点、B難度0.2点~J難度1.0点が配点されます。男子は10個の技の合計、女子は8個の技の点の合計が難度点Dスコアとなります。

<「Eスコア」とは>
技の完成度や美しさを評価するEスコアは10点満点からスタートです。空中での膝の曲がりや着地での乱れ、振動で行うべきところで力を使うなど、演技のできばえを主に減点し、10点から点数が引かれていきます。

競技は最初に予選が行われ、団体総合、個人総合、種目別のそれぞれの決勝進出をかけて演技していきます。団体総合は、各国1チーム4名で演技を行い、その合計得点でメダル獲得を目指します。個人総合は、すべての種目を1人の選手が演技しその合計得点で競います。種目別では、各種目の得点上位選手が決勝で競い合い、決勝での得点により順位が決められます。

体操競技を観戦するときのポイント

最大の見所は、体操競技ならではのアクロバティックな技や、つま先まで意識の行き届いた美しい動きです。演技時間は短いですが、気を抜ける動きは1つもなく、その中でも男子はそれぞれ6種目において力強さと豪快さ、女子は4種目で優雅さと美しさを見ることができます。

体操競技は、種目によって使う筋肉も違い、技のダイナミックさも違います。ただ、すべての種目に共通しているのは、演技の美しさと着地です。どの高難度の技を取り入れるか、様々な難度の技をどう組み合わせて、安定した演技にするかに選手の技量やメンタルの強さが試され、得点に反映されます。これまで積み重ねてきた練習の成果を発揮する選手の集中力、人並み外れた技と精神力も体操競技の魅力の1つかと思います。世界に誇る日本選手の演技の美しさと着地にぜひ注目してほしいです。

東京2020でのチームジャパンの展望

体操競技は、技の難しさを評価するDスコアと演技の完成度や美しさを評価するEスコアがあり、その合計で競われますが、4年に一度大きなルール変更が行われ、東京2020でも新ルールが適用されるとのことです。このルール変更の影響で以前に比べてEスコアの評価がより厳しくなると言われてます。Eスコアは着地の乱れや演技中のミスが減点対象です。現在は身体の少しのブレ、技の高さ不足、着地時の乱れも以前より厳しく評価されます。その一方で、高いDスコアを出すのに難しい技にも挑戦しなくてはいけません。そのため、選手は難しい技を取り入れながら、減点を少なくするよう完成度を上げていく必要があります。日本の選手は世界的に見ても減点が少なく、美しい演技をすると言われています。ですが、各国も対策をしてくるので、日本も一種目一種目気の抜けない戦いとなると思います。

東京2020では、日本ならではのしなやかでつま先まで意識の行き届いた美しい演技で世界中を魅了してほしいです。

遠山健太からの運動子育てアドバイス

今や体操教室はどの地域にもありますよね。体操競技を専門的にやっているところもありますが、多くは跳び箱に代表されるような小学校体育種目を中心に指導しているようです。将来お子さんを体操選手に育てたいと思っているなら、早い段階で選手コースがある教室を選ぶのがよいと思いますが、そうでない場合はまず「通常」の体操教室に通わせるのがよいでしょう。小学校にあがると体育でマット運動や跳び箱、鉄棒などが始まります。小学校低学年は体育が週に3日ありますので、体育が苦手にならないように、まずはこの3つの種目ができるようになれば、運動意欲も高まってくるでしょう。通常、小学校では体育の専任教員がいませんので、担任教員の指導力が重要になってきます。そこを見極めたうえで必要なら自治体がやっている短期教室に通わせるのもよいかもしれません。

競技解説:三戸裕昭

日本トレーニング指導者JATI-ATI。ウィンゲート所属。東急スポーツオアシス川口店で活動中。一般の方のトレーニング指導も行う。自身の体操競技経験を活かし、幼児体育指導員としても活動。子供の運動教室「リトルアスリートクラブ」「ウィンゲートキッズ」「スポーツひろば」にて一週間で約100名の発達障害児や未就学児~小学生の体操指導に携わる。

ナビゲーター:遠山 健太

リトルアスリートクラブ代表。トップアスリートのトレーニングに携わる一方で、ジュニアアスリートの発掘・育成や、子どもの運動教室「リトルアスリートクラブ」のプログラム開発・運営など、子どもの運動能力を育むことに熱心に取り組む。自身、2児の父であり、子どもとともにめぐった公園での運動や子育て経験を生かし、パークマイスター(公園遊びに詳しく、子どもの発育を考えて指導ができるスポーツトレーナー)としても活動している。著書は『スポーツ子育て論』(アスキー新書)、『運動できる子、できない子は6歳までに決まる!』(PHP研究所)、『ママだからできる運動神経がどんどんよくなる子育ての本』(学研プラス)など多数