東京2020はさまざまなスポーツをお子さんとともに楽しめるまたとないチャンス! そこで、子どもの運動能力向上に詳しいスポーツトレーナー・遠山健太が各競技に精通した専門家とともにナビゲート! 全33競技の特徴や魅力を知って、今から東京2020を楽しみましょう。今回は「ボクシング」。競技解説は長澤誠浩さんです。

  • 「ボクシング」の魅力とは?

ボクシングの特徴

6.1×6.1mの正方形のリング上で、2人の選手が自身の頭脳と左右の拳を駆使し、ときに打ち合い、ときに相手のパンチを外しながらパンチを当て(カウンター)、勝敗を付ける競技です。攻撃手段はグローブを着用した左右の拳のみで、攻撃対象は相手の上半身前面と側面のみ(後面は反則)という、格闘技の中でも最もシンプルかつ限定的なルールで行うのがボクシングの特徴。攻撃手段がパンチのみということもあり、その技術およびパンチに対する防御はほかの格闘技の追随を許しません。

ボクシングを観戦するときのポイント

ロンドン2012の金メダリスト、村田諒太選手の世界ミドル級タイトル奪取やモンスター井上尚哉選手(元高校7冠)の活躍でわく(プロ)ボクシングですが、オリンピックはアマチュアルールで行われます。試合は1ラウンド(R)3分を3R行い、ラウンド間のインターバルは1分。その決着はダウン後10秒以内に試合続行ができないノックアウト(KO)、セコンドからのタオル投入やレフェリーが試合続行不能と判断するプロのテクニカルノックアウト(TKO)に相当するレフェリーストップコンテスト(RSC)、判定、そして3回の警告による失格となります。判定基準は、5人のジャッジによる10ポイント・マスト・システム(各ラウンド必ず優劣をつける採点方法)を採用しています。

プロの12R(世界タイトルマッチ)とは違い、3Rで決着がつくので展開が速く、よりスピーディかつアグレッシブな攻防になります。最大の目的はKOとなりますが、アマチュアではナックルパート(※)を正確に当てることが求められるので、プロ以上のテクニックを堪能することができます。またプロとの違いとして、ランニングシャツの装着が義務づけられています。

ボクサーには、手数を重視し攻撃的な近距離主体のファイタータイプ、フットワークやボディワークを駆使し、ディフェンスにも長けた中遠距離主体のボクサータイプ、その両方のスタイルを兼ね備えたボクサーファイタータイプの三つのスタイルがあります。また、左腕を前に構えるオーソドックススタイルと右腕を前にするサウスポースタイルなどを知っておくと、戦術が見えてきてよりおもしろくなると思います。

男子はフライ52kg級、フェザー57kg級、ライト63kg級、ウェルター69kg級、ミドル75kg級、ライトヘビー81kg級、ヘビー91kg級、スーパーヘビー91kg超級の8階級。女子は、フライ51㎏級、フェザー57kg級、ライト60kg級、ウェルター69kg級。ミドル75kg級の5階級で行われる予定です。軽量級はスピードと技術、重量級はパンチ力や圧力が見どころになります。

※ナックルパートとは、ボクシングで、十分に握ったこぶしの第二関節と第三関節の間の平らな部分。 この部分以外で相手を打つと反則になる。

東京2020でのチームジャパンの展望

2016年のリオデジャネイロ大会よりプロの参加が解禁となりましたが、日本がプロの参加を認めることにしたのが東京2020。すでに参加表明をしている元東洋太平洋王者で世界タイトルマッチ経験者でもある佐藤幸治選手(元アマチュア13冠で、アマチュア時代に村田選手にも勝っている)や、元プロ主要4団体世界ミニマム王者の高山勝成選手の活躍が期待されます。

また、先の日本選手権予選で高山選手を破ったフライ級の宇津輝選手(日本大学)や全日本選手権ライトフライ級4連覇の坪井智也選手(自衛隊体育学校)も注目株です。女子では、昨年の世界選手権銅メダリストの二人、和田まどか選手(福島県職)と並木月海選手(自衛隊)に期待したいものです。

※参考・引用/一般社団法人日本ボクシング連盟HP

遠山健太からの運動子育てアドバイス

プロボクサーの試合を見たことがある方は「ボクシングを子どものうちから習わせて大丈夫なの?」と不安に感じるかもしれません。実際、教室をいくつか見学させてもらいましたが、体力作りや礼儀作法を学ぶ目的のものが多く、柔・剣道に代表される格闘技系の種目と、その目的はさほど変わりはありません。近所にボクシングジムがあれば、まずは体験してみるのもいいかもしれません。また2009年頃から「エアボクシング」というパンチを当てないボクシングも誕生しています。打ち合いがないので、子どもでも十分楽しめます。親子で大会に出場するのも楽しいかもしれませんね。

競技解説:長澤誠浩

フィジックスコンディショニングジム代表。川崎新田ボクシングジムや早稲田大学水泳部のストレングス&コンディショニングコーチをすると共にフィジックストレーナーアカデミーを主催し、パーソナルトレーナーの初期教育に力を入れている。元プロボクシング全日本新人王(日本ランキング9位)。CSCS, NSCA-CPT。ホームページは[こちら](http://physicss-nagasawa.com/)。

ナビゲーター:遠山 健太

リトルアスリートクラブ代表。トップアスリートのトレーニングに携わる一方で、ジュニアアスリートの発掘・育成や、子どもの運動教室[「リトルアスリートクラブ」](http://little-athlete.com/)のプログラム開発・運営など、子どもの運動能力を育むことに熱心に取り組む。自身、2児の父であり、子どもとともにめぐった公園での運動や子育て経験を生かし、パークマイスター(公園遊びに詳しく、子どもの発育を考えて指導ができるスポーツトレーナー)としても活動している。著書は『スポーツ子育て論』(アスキー新書)、『運動できる子、できない子は6歳までに決まる!』(PHP研究所)、『ママだからできる運動神経がどんどんよくなる子育ての本』(学研プラス)など多数