札幌市内を走る市電(路面電車)のループ化が実現した。2015年12月20日、西4丁目~すすきの間約400mの路線が開業。電車が歩道のすぐ横を走る「サイドリザベーション方式」を採用し、狸小路のアーケード街付近に新たな停留場も設置された。

12月20日に開業したばかりの区間を走る新型低床車両「ポラリス」

昨年夏にも札幌市内を訪れたが、西4丁目停留場・すすきの停留場は仮設の停留場になっていたものの、狸小路付近は線路も敷設されておらず、開業はまだまだ先と思っていた。それからわずか4カ月で線路が敷かれ、試運転が行われ、開業を迎えたことに驚く。開業後、改めて訪ねてみたが、それまでバイクや自転車が走っていたような場所から急に電車が現れる光景にも驚いた。本当に事故の心配はないのだろうか?

札幌市交通局は「市電のループ化開業に関するお知らせ」の中で、サイドリザベーション化にあたってのお願いとして、自転車運転時は「軌道内を走行してはいけません」「歩道での押し歩きをお願いします」、車運転時は「軌道の中で駐停車はできません」「右折、左折の際は、電車の走行を妨げないよう軌道の外で待機願います」などと呼びかけている。開業後も当面、警備員を配置して安全啓発を行うという。市電ループ化は画期的な試みと思えるだけに、大きな事故がなく、安全に運行され続けることを心から願う。

市電のループ化開業にともない、電車の行先表示も変更されていた。山手線や大阪環状線のような「内回り(反時計回り)」「外回り(時計回り)」が導入されるとともに、周回運行では「循環」と表示され、行先が決まっているときは停留場名が表示されるようになった。地下鉄との乗継指定駅も変更され、西4丁目・狸小路・すすきのの3停留場はいずれも地下鉄大通駅・すすきの駅・豊水すすきの駅へ乗継ぎが可能になったという。

新設の狸小路停留場。アーケード街のすぐそばに設置された

「ポラリス」が西4丁目停留場(外回り)に停車中

すすきの停留場付近を走る電車。新規開業区間では警備員の姿も目立った

今季で6回目となる「雪ミク電車」。市電ループ化開業に合わせて運行ダイヤも変更された

札幌市電といえば、毎年冬に運行される「雪ミク電車」もおなじみとなった。今季は3300形3302号車を使用し、「ウィンタースポーツ」をテーマとしたデザインのフルラッピングが施されている。車内広告に雪ミクのイラストやポスターなどを掲出し、初音ミクの声優・藤田咲さんによる車内放送も流れるそう(車内での撮影などは不可)。3月27日まで、おおむね7~18時の間で運行される予定となっている。