「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第57回のテーマは「イライラ時の伝え方」です。

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前回に引き続きイライラしたり、怒ったりしないための思考シリーズです。色々なライフハックを考えてるってことは、元々はイライラしたり怒ったりするタイプってことだよなーと思い始めました。でも、怒ったりイライラしたりしていると「自分が嫌」になるんですよね……。だから、イライラしたくないし、怒ってコミュニケーションしたくない。さてじゃあどうするか。っていうのをずっと考えてる気がします。

最近はそれほどでもないのですが、私は結構PMS(月経前症候群)が重めのタイプ。若かりし頃はこれに結構振り回されました。明らかにイライラしがちだったので、早い段階から「あ、私は生理前はイライラするタイプ」とわかっていました。そういう「自分の感情が自分の思考や性格以外のものに振り回される」環境だったために「自覚してコントロールしようという」意識が高まったような気もします。

メンタルはフィジカルに影響するし、またフィジカルもメンタルに影響するんですよね。これに関してはやっぱり「生理」がある女性と、そういったものがない男性では意識が違うなーと思うことがあります。

私が経験してきた中では、男性は「お腹が空いてるからイライラする」とか「疲れてるから怒りっぽい」とか「具合が悪くて気が滅入る」とか、中々そういう考え方をしない人がいるんですよね。「お酒を飲んだら○○」は男女関係なく理解できるのに、そうじゃないことに関してフィジカルとメンタルの関係を考えられないタイプは男性に多いなあと思っています。

基本的に社会的な性差は個人の資質のほうが差が大きいし、男も女もないと思うタイプですが、フィジカルが関係してくると結構「差」ってあるよなーと思います。もちろん例外はあると思いますが。

私がフィジカルからメンタルに影響を受けるときは、まず自覚することと「親しい人には開示する」ようにしています。これはパートナーと付き合い始めからよく話し合ってそうしています。

生理前、体調不良など「あ、これはメンタルに影響している」と気が付いた時点で「今日はイライラデーです! 」と伝えるのです。これを子どもに言うときは「お母さんのやさしさタンク、今日足りないからごめんね」と言ってます。子どもは「いつもよりもダメって言うのが早い」とかの差を「ずっとそうなわけじゃなくて、今日はそうなんだ」と思えると少しは安心できるようです。

「なんかいつもより些細なことを気にするな」とか「ちょっとしたことでイライラしてるな」と相手が「なんで? 」と思うとき、そのときに理由がハッキリしていると安心できるんですよね。相手がイライラしていると「自分が何かしたせいかな? 」と、まず疑ってしまいます。そうでないなら「相手が今何か大きな問題があるとか……」と不安になったり。

それが「今日、体調的にそういう日なんだ」と理由を与えられると「そうなんだー。わかったよ」と「自分のせいじゃない」と安心できる。少なくとも我がパートナーはそれで安心してくれます。

そして、これをやっているうちに、こちらからパートナーに「今日不機嫌な理由を教えてほしい」と言っても「あ、そっか」と理解できるようになりました。パートナーが不機嫌な場合、まず不機嫌を自覚してもらうところからスタートでしたが……! 開示すると言ったほうも「あ、こういう理由で気が滅入ってたんだ」と再確認でき、スッキリ解放されるんですよね。

人間なので、いつだってコンディションばっちりではありません。でもそれはお互いさま。自分の気分のコンディションを「自覚して」「開示して」「コントロールする」。これも練習しないと、できるようにはならないことだと思います。

ちなみにパートナーは「健康な成人男性」なので、だいたいむっつり不機嫌なときは仕事の問題を抱えています。私のほうは、月に一度なので、最近はパートナーのほうが「ん? なんかいつもと違う……あ、時期がきた」とわかるくらいです……。

自分でも自覚できていると「このイライラや怒りは本物じゃない」と思えるんですよね。自分で実際に「あ、今日はイライラする日だ」とか口に出して言うと、怒ってるのがバカバカしくなります。

「やさしさタンク」にやさしさが足りないなら、増やせばいいんですよね。自分に余裕ができるように気をつける。好きな本を読んだり、いつもは食べないようなチョコレートのお菓子を食べたり、自堕落にひたすらインターネットを見ることを許したり(笑)。

「今日はオッケーだ、明日からまた頑張ろう。よしよし」と自分を甘やかすと、「ちゃんとしたいなあ」とか「ゆとりのある、素敵な大人になりたいなあ」とか思えるようになって、体調回復とともに穏やかな生活に戻れます。

なんて……軽く書いてますけど昔はもっとコントロールするのに七転八倒してました。あの頃の私が読んだら「おいおい、そんな簡単じゃないよ! 」と思いそう。でも……昔より、コントロールが上手になっている気がするので、やっぱり思考の訓練というか、練習は大事だな……と思ってます。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。