「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第59回のテーマは「我慢させるより解決したい」です。

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子育てしていると、いや子育てじゃなくてもですね、ついつい「A or Bのどちらかだっ!!」って判断しちゃうときがありますよね。私はあります。

うちの息子は食に意欲が薄く、偏食タイプです。ほっといたり、強制したりすると……食べません。

「おなかが空いたら、なんでも食べるよ」とか「ワガママを聞くから偏食が直らない」とか、そんなことを思っていた時期が、我々にだってありました。でも、食べないんですよね~~~。これが! で、朝起きたらもう動けないとか、幼児なのに痩せるとか、数々の「これはヤバイ」という経験を踏まえて、「食べてくれるなら、なんでもいい!」ということになっています。

とはいえ、そろそろうちの子も5歳……。保育園ではなんでも食べていて、うちで偏食なのは甘えているというのもわかっている。じゃあ、こっちの言うコトもそろそろ聞かせなければならないのでは……? という葛藤にいつも揺れます。無理矢理食べさせて「食事が苦痛」になるのはイヤだし、そのうち成長に合わせてもっと食べるようになるかもしれないのに、今苦痛を与えてもいいことないんじゃないか、とか思ってしまうんですよね。

とはいえ、とはいえですよ! お気に入りのふりかけが今ないと、ダメ! ご飯食べない! っていう状況ではどうするべきか……!? となります。こういうときは「ふりかけナシで泣かせてもいいから食べさせる」か「親が妥協して徒歩15分のスーパーに走る」かという「できればどっちもやりたくない」という二択しかない……!? となってしまいます。

元々、子育ての方針は私のほうが「大きくなればなんとでもなるよ」的な、甘めの設定なのですが、このときは私のほうが「そろそろ親に負担をかければ、なんでも希望が通るという状況はいかがなものか」「いくらなんでも『今すぐ買ってこい』というのは横暴では」と思っていて、説得して諦めさせたかった。

いつもは厳しい方針にしたがるパートナーも、この日は疲れていて「説得させる労力」がなく、オレが買ってくれば場がおさまる……みたいになってました。でも、徒歩5分のコンビニにはなくて、徒歩15分のスーパーにしかない「ふりかけ」を、パートナーに買いに行かせるのもヒドイような気が……。ああ、どうする!? どうするの!?

……というわけで、無理矢理ひねり出したのが「本人が食べたいふりかけを今、家にあるもので再現する」だったんですよね。どっちの選択肢もイヤ、じゃあ、3つめの選択肢だあっ! みたいな……。

……このときは、たまたまうまくいっただけで、全然ダメなときもあると思うのですが、子どもも3つめの選択肢が出てくると、なんとなく「気持ちは受け取ってもらえた」みたいな感じになって、納得してくれることもあります。にっちもさっちもいかないときもありますが……。

私は「親と子」という関係なら、どうしても親のほうが強いので、強制したり我慢させたりはできちゃうと思っています。でも、できたら夫婦だけでなく、親と子でも「話し合って、お互いの着地点を見つけて納得しあう」という状況に持っていきたい。それは、子どもに「話を聞いてもらえる」「だからちゃんと意見が言える」という経験を積んでもらいたい、というのもありつつ、私自身、親が「相手が子どもであっても、ちゃんと話をしてお互い納得しあう」というスキルを積みたい。という気持ちもあってやっています。

これ、たぶん……「意識が高い」というよりは空手脳っていうか「修行脳」だと思います。ドラゴンボール的な世界観で「より難易度の高い鍛錬を積む」的な……。より強く、よりうまく「オラもっと強い敵と戦いてえ」的な、「オラもっとコミュニケーションがうまく取れるようになりてえ」という気持ちでやっています。

「我慢」をしたり、させたりするのって、一見すごく「修行」してるっぽいんですけど、「問題解決」とか「より熟練する」という視点からみると、「何もしてない」ということじゃないか……と思っていて、とにかく創意工夫、トライ&エラーで「誰もイヤな気持ちにならないようにするには、どうしたらいいのか」ということをやっている……つもりです。

息子も大好きな絵本作家のヨシタケシンスケさんの絵本に『それしか ないわけ ないでしょう』という本があるのですが、こちらの本も「世界は二択ではない」ということが描かれていて、我が家では家族みんなが大好きな一冊です。子どもか親が我慢するしかないとか、妻と夫のとちらかが我慢するしかないとか、そんな選択肢しかないわけないでしょう。ほかにも方法や選択肢があるでしょうと、いつも心に留めておきたいです。

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バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉めごとあるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。くわしくはコチラ

著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。