FPが家計のさまざまなお悩みに答えていく本連載。今回は貯金に力を入れるか、投資を始めるか悩んでいる、専業主婦のまみさん(41)からのご相談に1級FP技能士の資格を持つ早乙女美幸さんが応じます。
◆相談者さんのプロフィール
相談者
相談者 まみさん(仮名)
女性/専業主婦/41歳
愛知県/戸建て・持ち家在住
家族構成
夫(会社員/43歳)、子ども(小学2年生、4歳)
◆お悩み
昨年住宅を購入し、頭金や引っ越しなどで貯金額がだいぶ減ってしまいました。頑張って貯金していますが、貯金でいいのか、iDeCoやつみたてNISAの方がいいのかわかりません。子どもの教育費や住宅ローンの繰り上げ返済も気になりますが、お得な貯金方法が知りたいです。
◆家計収支
収入
支出
現在の貯蓄額
月間平均収入が33万円、支出が29.6万円、毎月の貯蓄額が3.4万円、現在の貯蓄額が120万円となっています。
ボーナスが年間110万円、税金や保険料、特別支出などで67万円、貯蓄が43万円です。
◆FPからのアドバイス
アドバイス1: 貯蓄可能額と、今後の支出予定をチェックしましょう。
住宅購入の際に貯蓄が減るのは、ある程度仕方ないですよね。現在の貯蓄額120万円を、これ以上減らさないようにしていきましょう。
毎月の支出は、食費、水道光熱費、通信費などを中心にしっかり絞られています。全体の収支もプラスで毎月3万円以上貯蓄できています。現状でいくと、年間の貯蓄可能額は約84万円になりますね。教育費貯金と、もしも・まさかのとき用の予備生活費貯金とに振り分けましょう。
教育費については、こども保険に加入していて準備済みとお考えですね。ところが、お子さんが2人とも私立大学に進学すると、こども保険の満期金額180万円だけでは不足する可能性が高いです。子ども保険に加え、児童手当分は教育費貯金にあてるなど、準備額をアップさせましょう。
また、住宅ローンについては、10年後くらいに繰り上げ返済をしたいとのことですが、10年後のお子さんの年齢は18歳と14歳で、教育費のピークに当たるころになります。教育費の確保を優先して、繰り上げ返済は急がない方が得策です。
アドバイス2: しばらくは貯蓄優先でいきましょう。
今後は貯金でいいのか、iDeCoやつみたてNISAの方がいいのか迷っていらっしゃるそうですね。
確かに、投資を取り入れお金にも働いてもらわないといけない時代です。けれども、投資を安定的に成功させるには、10年以上は見込んで長期に構える必要があります。
一方、予備生活費は最低でも生活費の半年分ほどを預貯金で確保したいもの。まみさんのご家庭の場合、生活費の半年分で250万円ほどになります。私立大学・自宅通学を想定した教育費準備は、1人300万円ほどが目安です。
これらを考えると、まだしばらくは預貯金だけで増やしていく方が安全です。予備生活費を確保して、教育費の目標準備額が無理なくつみ立てできる目途が立ったら、残りの余力の一部からつみたてNISAで投資スタートしていきましょう。
アドバイス3: iDeCoはママの再就職後にスタートしては?
節約に大変努力されている様子がうかがえますが、まみさんがお仕事をして収入を上げるという道もあります。お子さんの成長と共に、節約だけでは厳しくなるかと思いますので、じっくり考えてみてくださいね。
収入が見込めるようになったら、つみたてNISAのつみ立て額を増やすほかにiDeCoに加入してもいいですね。ご主人のiDeCo口座だけでなく、まみさん自身のiDeCo口座を作ることができれば、まみさんの収入が増えて税金を払うようになったときでも節税になります。 iDeCoの他、確定拠出年金には企業型もあります。会社によっては正社員だけでなく、パート社員も加入できるところがあります。企業型は手数料などが企業負担で、iDeCoより有利に加入できる場合が多いです。再就職の際には、そんなところも調べてみてくださいね。
相談者さんの感想
相談したことで、貯金を考える順番などがわかってとてもよかったです。教育費貯金も、もっと増やした方がいいと今の時点でわかってよかったです。ありがとうございました!