FPが家計のさまざまなお悩みに答えていく本連載。今回は、物価上昇でこれからの生活に不安を抱え働き方に悩む2児のシングルマザー・まなみさん(40歳)からの相談です。AFP資格を持つ女性のお金の専門家・矢野舞美さんがアドバイスします。

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◆相談者さんのプロフィール

相談者

まなみさん(仮名/女性/40歳/会社員/地方在住)

家族構成

子ども2人(小学2年生/7歳、年長/5歳)

◆お悩み

2児のシングルマザーです。これからの生活や老後のこと、子どもの教育費など心配事ばかりです。物価上昇でガソリン代も高くなり、家計を圧迫しはじめました。児童扶養手当はもらえなくなってもいいので、がんばって働いて収入を増やしていきたいと思っています。働き方を変えるか、副業を始めるかで悩んでいます。

◆まなみさんの家計収支

収入

支出

現在の貯蓄額

  • 月の収入は手取りが13万円、児童手当が2万円、児童扶養手当が5.3万円で、併せて計20.3万円。貯蓄額は普通預金が230万円。
  • 年間のボーナスは手取りで30万円。
  • 児童手当は、6月、10月、2月に支給される。
  • 児童扶養手当は、1月、3月、5月、7月、9月、11月に支給される。

家計の収支

児童手当と児童扶養手当はまとめて支給されるため、切り崩し支出に充てている。小学生のお子さんを対象としている就学援助制度を利用し、学用品の一部は償還払いされる。給食費は実質無料になる。

ボーナスの使い道

車検代約15万円、自動車税約4万円、美容(エステ)代約5万円

加入保険の内訳

  • ご相談者本人の医療保険 5,000円/月
  • 子どもの医療保険(2人分)合計3,000円/月 
  • 学資保険(18歳満期/200万円)1人分 10,000円/月

◆FPからのアドバイス

物価が上昇し、家計への影響は年間を通して出てくるでしょう。早めの対策で、生活費を安定させておきたいものです。また、お子さんの学資保険を1人分準備されていますが、やはりこれでは足りません。大切なお子さん2人分の教育費の計画を立てて早めに準備していきましょう。

アドバイス1:固定費を見直して削減しよう

母子家庭世帯なので、ひとり親家庭等医療費助成制度が適用されているかと思います。ひとり親家庭等医療費助成の対象は、母親とその児童です。そのため、加入されている医療保険がやや高めに感じます。医療保険は優先順位が低いと考えて、必要最低限の保障に見直すと良いでしょう。また、ご自身に万が一のことがあった場合に、遺された子どもたちのために死亡保障で備えましょう。

ネットで加入できる保険であれば価格も安く、毎月8,000円支払っているまなみさんとお子さんの医療保険を4,000~5,000円程度に抑えられますね。ただし、ひとり親家庭等医療費助成制度には、所得制限があります。 所得制限を超えるタイミングで再度、保険の見直しを検討しましょう。

また、光熱費については、古い家電の買い替えや使い方を見直すだけでも節約することができます。子どもたちに協力してもらうと水や電気の大切さをわかってもらえますし、楽しく節約もできますから一石二鳥です。

アドバイス2:先取り貯金で確実に貯める

子どもの教育費は、児童手当と児童扶養手当から貯金するようにしましょう。この2つの手当は支給時期が異なり、毎月安定して支給されるものではありません。通常の生活費で利用する口座と一緒にしてしまうと、「お金がある」と勘違いして、ついつい使ってしまいます。使いすぎを防止するためにも、通帳は分けておきましょう。

現状の家計収支をみると、手当の全額を貯金するのは厳しいかもしれません。しかし、まなみさんのおっしゃる通り、児童扶養手当は前年の所得に応じて支給額が変わり、所得が増えれば支給額が減っていきます。

そのため、手当に依存してしまうとその後の生活がさらに苦しくなってしまいます。生活費が足りない場合は、現在の貯蓄から使うようにしましょう。

アドバイス3:副業で収入を増やす

固定費の見直しで支出を削減し、お金を貯める体制が整ったら、収入を増やすことを考えましょう。現在の勤務先で、今後の収入アップが見込めるのであれば転職する必要はないでしょう。しかし、会社勤めの場合、急に月1万円給与が上がるということは考えにくいです。まずは月1万円、副業で収入を得ることから始めましょう。

今は、在宅で短い時間でできる仕事も増えてきています。例えば、事務職の経験を活かして、個人事業主向けに請求書などの各種書類作成業務やお客様との電話対応をする事務代行です。

まなみさんは美容関係のお仕事をされていたとのこと、Instagramで「40代シングルマザーの時短スキンケア術」という切り口で発信していくのはいかがでしょうか? フォロワーが増えればPR案件をもらい、忙しいママでもキレイになれる美容法を伝授するなど、ご自身の経験や強みを活かした仕事の可能性も広がっていきますね。

お子さんをひとりで育てていくとなると、学校行事や急な呼び出しなどもあり「残業が多い」や「休みがとりづらい」など、さまざまな悩みもあるでしょう。働き方については勤務先できちんと話し合うことも大切です。ご両親や公的機関の母子家庭に対する相談窓口を頼り、ひとりで抱え込まずに相談してくださいね。まなみさん自身と子どもたちの暮らしを守ることが最優先です。

◆相談者からの感想

ひとり親家庭等医療費助成制度や児童扶養手当の所得制限について漠然としか把握していなかったのですが、今回ご相談させていただき医療保険の保障が手厚くなっていることに気づきました。早速、見直しをしてみようと思います。

また、お金の使いすぎをどう解決すればいいかわからなかったのですが、口座を分けるお話は目から鱗でした。これなら、しっかり増えていくのもわかるし、使いすぎも防止できそうです。

そして、収入を増やすことは一番の目標です! 子どもたちに好きなものを買ってあげたいし、私がこれからがんばらないといけないという気持ちになりました。ありがとうございました。