連載『保険なう』では、保険の世界における旬のトピックスをとりあげて、読者の皆さんに知っていただきたい保険の知識を提供します。

地震保険の必要性とは? 見直し時期はマイホーム購入時と年末!?

金融庁と損害保険料算出機構は2017年1月から2021年までの間に、段階的に地震保険料を上げていく方針を発表しました。

大規模な地震や台風、そして火山の噴火など、今の日本はいつどんな災害が起きても不思議ではない状況です。

地震保険は地震の発生リスクに合わせて保険料が定められていくので、今回の方針発表は当たり前なのかもしれません。

しかし、保険料が高いと加入を躊躇することもあるかと思います。

今回はそんな方々のために、地震保険の仕組みや必要性についてまとめました。

そもそも地震保険とは?

地震保険は約50年前からありますが、知られてきたのは阪神淡路大震災のときからです。その後東日本大震災が起きて加入率は大きくアップしました。

また、地震保険とは火災保険に付帯するもので、単独では加入できないものです。

地震保険がカバーする具体的な補償範囲について

先ほど阪神淡路大震災のときに地震保険の認知度が上がったとお話しましたが、実はこのときに「火災が起きたが自分は火災保険に入っているから大丈夫」と思っている人が多数いたのです。

実はこれは火災保険の補償対象外で、地震保険に入っていないと補償されません。

火災保険とは、地震を起因とした火災や津波、また噴火による被害は補償されず、地震保険に加入する必要があるのです。

2017年に保険料がアップ! そもそも地震保険料はどのように定められているのか

地震保険は国が大きく関わっている保険になります。金融庁認可の保険に各保険会社が付帯しているのです。ここが通常の医療保険などと大きく違うポイントで、医療保険だと保険会社によって保険料も違えば保障内容も違います。

しかし、地震保険に関しては、政府が定めた地震の法律に左右される保険なので、どこの保険会社で加入しても保険料や補償内容は同じなのです。

また、保険料を決めるのも政府になります。具体的には、お住まいの「住所」と「建物の構造」によって保険料が大きく変わります。

人口が多く被害が甚大と予想されるエリアや、木造で火災が起きやすい住居は保険料が高くなり、これは都道府県ごとに保険料が決まっています。

具体的な補償内容とは

先ほど地震保険は火災保険とセットというお話をしましたが、地震保険の補償額は火災保険の補償額の最高50%になります。

つまり火災保険で2000万円の補償額だとしたら最高で1000万円です。

半損や一部損など損壊状況によってはもっと補償額が少なくなることもあります。

地震で家が全壊しても、その分を全額補償されるということはなかなかないというのが現状です。

保険料の値上げ、補償額に限りがある中で、地震保険に加入する必要性はあるのか

地震は非常に被害が甚大になる可能性があるということは、東日本大震災を見ていればおわかりだと思います。そのような被害に対して、しかも多くの人々が同時に必要となる補償であるため、補償額に限りがあり、保険料もアップしていくのは仕方のないこと。

しかし、だからといって加入しないというのは非常にリスクがあると思います。

「もし明日大きな地震が起きて、自分の家が全壊してしまったら…」

そんなことを考えたときに、それをまかなえるだけの貯蓄があれば別ですが、大抵の人はそんな余裕はないはず。

仮に1000万円の補償があるのとないのとでは、その後の生活に大きく違いが出てきますよね。

「保険」は文字通り、万が一のときにご自身を助けてくれるもの。

現在持ち家の方や住宅購入予定の方で「明日家がなくなったら困る」そう思うのであれば、加入することをおすすめします。

まとめ

地震保険はこれからも保険料が高くなる可能性がありますが、持ち家の方なら加入する必要性が多いにあるでしょう。

「地震保険にそもそも加入しているのかどうかわからない」そんな方は今年の年末控除で確認を。

来ていなければ地震保険には未加入なので、2017年の保険料アップ前にぜひ検討してみてください。

<著者プロフィール>

金沢孝俊

保険見直し本舗 損害保険課 課長。1986年東京生まれ。不動産会社、生命保険代理店にて営業・管理業務・新人育成を経験。保険見直し本舗入社後、生命保険の委託業務・コールセンタマネージャーを経て損害保険に携わり年間500件以上の新契約・見直しなどを行う。