次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた? 」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載では、ビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第40回は「フムス」。
「フムス」って何?
近ごろ、レストランやカフェのメニューに「フムス」の文字を見かけることが増えてきた。フムスとは、シリアやレバノンなど中東の国々で広く食べられているアラブ料理。ひよこ豆をペーストにし、ごまやレモン汁、塩コショウなどで味付けをしたもので、バター感覚でパンに塗ったり、野菜につけたりして食べるのが一般的だ。
数年前からベジタリアンやヘルシー志向が高い人から注目を集め、世界的にもブーム。豆はタンパク質や食物繊維など栄養豊富でヘルシー感があり、動物由来の原料を控えたい人にも向いている。日本では、2020年5月に日本エスニック協会が発表した「日本エスニック協会が予測する“この夏絶対流行する!エスニック食“ランキング」において、バインミーに次いで2位にランクイン。最近はスーパーの加工食品売場などに置いてあることもあり、自宅でも気軽に楽しめるようになりつつあるので、今後さらに人気が広がりそうだ。
フムスはどこで食べられる?
もともと中東料理のフムスだが、日本では中東料理専門店のみならず、カフェやレストランなど幅広いジャンルの店で提供されている。
東京・吉祥寺にある創作イタリアンを中心としたオステリア(居酒屋的なイタリア料理店)「NERORI(ネロリ)」もそのひとつ。「薫りを楽しむオステリア」をコンセプトに、ハーブやスパイスを使った地中海沿岸など各国料理を多く取り入れているのが特徴。メニューのひとつとして、季節のフムスも提供している。
「当店は季節の豆や根菜、ハーブ類を使用してフムスを作っています。一般的なフムスより薫り高く、複雑な味わいです」と同店を運営するSOCIAの前澤邦夫さん。
同店は今年5月にデリカテッセンのあるオステリアとしてリニューアルオープン。店頭のショーケースには、フムスをはじめとするハーブや柑橘類を使った薫りにこだわった惣菜が並んでおり、フムスはテイクアウトでも楽しめる。
次に、スーパーで買えるフムスを紹介しよう。業務スーパーでは、2019年12月からヨルダン直輸入の「クラシックフムス(ひよこ豆のディップ)」を販売している。
ひよこ豆とごまをベースに、塩で味付けしたシンプルな味わいで、ひよこ豆本来の素朴な風味を楽しめる。
客からの反響も大きいそうで、「SNSやブログに感想をアップしてくださっている主婦の方もいます。出荷量も増えており、5月は過去最大の出荷数を記録しました。業務スーパーではハラール食品に力を入れており、このフムスもハラール商品です」と業務スーパーを運営する神戸物産 経営企画部 IR・広報の花房篤史さん。
食べ方としてはパンやクラッカーにつける以外に、フムスを塗ったトルティーヤで野菜や肉を巻いて食べるのもおすすめとのこと。また、フムスがシンプルな味なので、トマトサルサやワカモレ(アボカドディップ)、アンチョビなどと併せてオリジナルのディップソースを作るのにも向いているそうだ。
「フムス」を食べてみた
今回は5月から全国のイオン、イオンスタイル、ダイエー等、イオングループ約1,000店舗で販売されている「トップバリュ フムス」を食べてみた。「プレーン」と唐辛子を加えて少し辛めに仕上げた「スパイシー」の2種類のラインナップだ。
まずは「プレーン」から。スプーンですくうと、ごま豆腐くらいの固さ。食べてみると、食感はなめからでクリーミーながら、豆のほくほく感もある。豆の素朴な風味に、ニンニクやクミンのエスニックな風味がほのかに効いていて、つい手がのびるおいしさだ。1パック80gをパンにつけながら試食していたら、ペロリと食べきってしまった。食べきりサイズなので、初めてでも気軽にトライできるのがうれしい。
一方「スパイシー」は、ほんのりオレンジがかったきれいな色味で、唐辛子のピリッとした刺激が心地よい。ドレッシングがわりに野菜につけるのもよさそうだ。
「初めてフムスを召し上がる方にも馴染めるように、日本人に好まれやすい味付けやスパイスの工夫をしました。そのままでもおいしく召し上がっていただけますが、オリーブオイルやスパイスを加えることで一層おいしく召し上がれます。お肉やお魚料理に付け合わせたり、ミルクと合わせてポタージュスープのように楽しんだりできますので、パン以外の用途にもぜひご活用ください」(イオンリテール広報部 関本彩佳さん)
イオンでは、「トルティーヤチップス&フムスディップ」や「フムスでごま坦々風スープ」など、フムスを利用したアレンジメニュー20種類をパッケージやウェブサイトで紹介しているのでチェックしてみるとよいだろう。常温で持ち運びができるので、自宅でもアウトドアでも気軽に楽しむことができる。
そのまま食べてもおいしく、アレンジも多彩なフムス。毎日の食事にちょっとヘルシーな要素を加えたいと思ったときに試してみてはいかがだろうか。
※価格は特記がない限り税別