こんにちは。マネックス・ユニバーシティ FX学長の吉田恒です。私は、1998年のFX、外国為替証拠金取引スタート直後から、為替相場分析の専門家として、投資家向けにセミナーやレポートを通じて情報発信を行ってきました。もう20年以上にもなるんですね。

そんな私が見てきたFXの大相場の数々について、じつは結構正しい理解のないままに過ぎているケースも少なくないと感じてきました。そこで今回から、「そうだったのか! FX大相場の真実」と題して、謎解きを行っていきたいと思います。少しでも多くの投資家の方々から、「なるほど!」「そうだったのか!」と感じていただけるように頑張りたいと思いますので、よろしくお付き合いください。

何を読み違えたか?

最初にとりあげるのは「トランプ・ラリー」です。これは、2016年11月の米大統領選挙で、共和党のトランプ候補が事前の下馬評を覆し、「まさか!?」の勝利となると、それまでの破天荒な言動から株式市場も米ドルも暴落、「トランプ・ショック」不可避との見方が大勢だったところ、それとは正反対に株価も米ドルも大暴騰に向かう、「トランプ・ラリー」という「まさか!? まさか!?」の結果になった現象です。

  • 米ドル/円の日足チャート(2016年9~12月)(出所:マネックストレーダーFX)

    米ドル/円の日足チャート(2016年9~12月)(出所:マネックストレーダーFX)

まだ4年前のことですから、覚えている人も少なくないでしょう。ただ改めて細かく確認してみると、結構凄い値動き、まさに「大相場」だったことがわかるでしょう。

まず、選挙の開票が進む中で、「まさかのトランプ勝利(まさトラ)」の可能性が出てくると、11月9日、日本などアジアの株式市場は軒並み暴落に向かいました。この日の日経平均はなんと900円以上の大暴落となりました。 その中で選挙の終了を105円で、まさに固唾を飲んで待っていた米ドル/円も、一気に101円まで急落に向かったのです。当時の感覚からすると、100円割れも通過点に過ぎず、何やら大変なことが起ころうとしている感じが満ち溢れていました。

ところが、そんなムードはこの日の日本時間午後に入った辺りから急変に向かいました。「トランプ勝利」の可能性が高まる中で、株価は下げ渋り、それどころか欧州市場が始まると逆に主な株価指数は上昇に向かい出したのです。それを見ながら、米ドル/円も100円割れの手前で踵を返すと、反発に転じました。

そして、そんな株高、米ドル高は、お膝元の米国市場がオープンするといよいよ本格化し、この日のNYダウは250ドル以上の大幅高、そして米ドル/円も急落が始まる前の水準、105円を回復しての引けとなったのです。

なぜ「トランプ・ショック」の下馬評を覆し、このような「トランプ・ラリー」となったのか。その統一的な答え、いわゆるコンセンサスは、あれから4年過ぎた今でもまだ出ていないでしょう。これを読んで初めて、まさにコンセンサス、「真実」に迫ることになるのです。ちょっと、力み過ぎかな?

それにしても、「暴落」すると思っていたところが、正反対の「暴騰」が起こったのですから、市場参加者が大きな読み違えをしていたということはあったでしょう。その意味では、読み違いは一つだけということはなく、複数重なっていたということではないでしょうか。では、市場参加者が読み違えた複数の要因とは何か。その一つは、景気が回復していることの読み違いだったのではないでしょうか。

吉田恒(よしだひさし)

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティ FX学長
大手の投資情報ベンダーの編集長、社長などを歴任するとともに、著名な国際金融アナリストとしても活躍。2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊、2016年トランプ・ラリーなどマーケットの大相場予測をことごとく的中させ、話題となる。

機関投資家に対するアナリストレポートを通じた情報発信はもとより、近年は一般投資家および金融機関行員向けに、金融リテラシーの向上を図るべく、「解りやすく役に立つ」事をコンセプトに精力的に講演、教育活動を行なう。2011年からマネースクエアが主催する投資教育プロジェクト「マネースクエア アカデミア」の学長を務める。2019年11月より現職。書籍執筆、テレビ出演、講演等の実績も多数。マネックス証券