ふるさと納税をした後、所得税・住民税から寄付額を控除するためには確定申告またはワンストップ特例申請の手続きを行う必要があります。本記事では、確定申告またはワンストップ特例申請の手続き方法についてできるだけ分かりやすく説明します。はじめてふるさと納税をする人や、会社員などでそもそも確定申告をしたことがない人はぜひ参考にしてください。

●ふるさと納税の「確定申告」手続き

ふるさと納税をすると、原則寄附した額から2,000円を引いた全額が所得税・住民税から控除されますが、ふるさと納税をした人自身が確定申告またはワンストップ特例申請の手続きをしなければなりません。どちらの手続きが必要になるかは、いくつかの条件によって変わります。まずは確定申告が必要となる人について説明します。

・確定申告が必要な人とは

自営業者やフリーランスの人、不動産所得がある人などはそもそも確定申告が必要ですが、会社員でも確定申告が必要になる人がいます。具体的には次のような人です。

1.年間の給与収入(年収)が2,000万円を超える人
2.副業などで、給与所得および退職所得以外に20万円を超える所得がある人
3.2カ所以上から給与をもらっている人で、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人
4.医療費控除を受けるなどで、還付のための確定申告が必要な人
5.年内に6カ所以上の自治体にふるさと納税をした人
6.本来は「ワンストップ特例制度」を利用できるけれども、ふるさと納税をした翌年1月10日までに「ワンストップ特例制度」の手続きができなかった人

上記1~4までに該当する人は、ふるさと納税をする・しないに関わらず、会社員であっても確定申告が必要です。5に該当する人は「ワンストップ特例制度」の条件に当てはまらなくなり、控除をうけるためには確定申告が必要になります。

また、6に該当する人のように、ワンストップ特例制度の手続き期限を忘れていたり、事情があって手続きできなかったりしても、確定申告することでふるさと納税(寄附金)控除を受けることができます。

・確定申告に必要な書類と準備

確定申告では国税庁所定の確定申告書に記入(入力)するほか、必要書類を添付して提出しなければなりません。

2022年に行う確定申告(2021年のふるさと納税)から、ふるさと納税(寄附金控除)のために必要となる書類は「寄付金控除に関する証明書」だけでよくなりましたが、申告期限ギリギリになって慌てることのないように余裕を持って準備しておきましょう。

「寄付金控除に関する証明書」は、ふるさと納税をする際に利用した特定事業者(ふるさと納税ポータルサイト運営者)から発行してもらう書類です。「2021年ふるさと納税変更点は? 手続きが簡素化するって本当? 注意点を徹底解説」の記事も参考にしてみましょう。

ちなみに、確定申告の期間は毎年2月16日~3月15日(休日の関係等で前後する場合あり)です。

申告書の作成方法

先に見た5・6に該当する「会社員で、ふるさと納税の理由だけで確定申告をする人」の場合、確定申告書(A様式)を作成します。

確定申告書を作成するには、次の3つの方法があります。

1.電子申告(e-Tax)で申告

スマートフォンまたはパソコンで確定申告書を作成し、オンラインで提出する方法です。この場合、マイナンバーカード読取対応スマートフォン等を準備しておく必要があります。もちろんマイナンバーカードも必要ですので、まだ持っていない人は早めに作成しておくことが必要です。

2.国税庁のホームページ「確定申告書等作成コーナー」で作成

スマートフォンまたはパソコンから「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、画面の案内に従い必要項目を入力していきます。給与収入や所得控除等の入力も必要ですので、会社からもらう源泉徴収票を用意しておきましょう。入力内容にもとづき税額等が自動計算されます。

作成した確定申告書を印刷し、「寄付金控除に関する証明書」とともに税務署に提出します。

3.手書きで作成

国税庁ホームページからダウンロード・印刷または税務署で入手した確定申告書に必要項目を手書きします。記入する内容は上記2の場合と同じです。計算は自分自身で行わなければなりません。

作成した確定申告書を「寄付金控除に関する証明書」とともに税務署に提出します。

●ふるさと納税の「ワンストップ特例申請」手続き

ワンストップ特例制度は2015年に導入された制度で、同年内にふるさと納税を行った自治体の数が5団体以内であれば確定申告が不要になる制度です。

自分で確定申告をしなくても、寄附を受けた自治体が居住地の自治体に連絡することで寄附金控除の計算をしてくれます。居住地の自治体は、ふるさと納税を行った翌年の6月以降に支払う住民税を減額して住民税額を決定します。

ただし前述したように、自営業者や副業所得が20万円以上ある会社員など、そもそも確定申告が必要な人はワンストップ特例制度を利用できません。

ワンストップ特例申請の手続き方法と期限

ワンストップ特例制度を利用する場合、ふるさと納税をした翌年1月10日までにワンストップ特例申請手続を行わなければなりません。この期限は自分が手続きをする期限ではなく、ふるさと納税をした各自治体に、不備なく書類が到着していることが必要です。

申請手続きは、「ワンストップ特例制度申請書(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)」に必要事項を記入し、マイナンバーおよび本人を確認できる書類の写しを添えて、ふるさと納税をしたすべての自治体へ送付すれば完了です。

「ワンストップ特例の適用に関する申請書」は、ふるさと納税申込み時に希望しておけばふるさと納税先の自治体から寄附金受領証明書と併せて送ってもらえます。希望するのを忘れた場合でも、各自治体のホームページやふるさと納税ポータルサイトからダウンロードして使用することもできます。

●ふるさと納税の控除申請は早めに準備しておこう

ふるさと納税額を所得税や住民税から控除してもらうためには、確定申告またはワンストップ特例手続きが必要です。案内に従って手続きすれば決して難しくはないですが、それぞれ必要書類と手続き期限が決められていますので、早めに準備しておくほど落ち着いて手続きに取り組めます。年末になって慌てなくてすむように、今から準備を始めておきましょう。