ブームは去ったかのようにも感じる「仮想通貨」ですが、その普及は世界中で着実に進んでおり、今後もさまざまなシーンでの活用が期待されています。本稿では、「仮想通貨に興味はあるけれど、なにからどう手を付ければいいかわからない」というような方向けに、仮想通貨に関連するさまざまな話題をご紹介。仮想通貨を2014年より保有してきた筆者の経験から、なかなか人には聞きにくい仮想通貨の基礎知識や歴史、未来像などもわかりやすくお伝えします。

今回のテーマは、「仮想通貨投資でやってはいけない投資方法」。

価値が上がったら買って、下がったら売るのはダメ

「安いときに買い、高くなったら売る」。極めてシンプルですが、仮想通貨投資で利益を出す方法はこれに尽きます。もっとも、これは仮想通貨投資に限らず、株式投資や不動産投資でも同じことです。

投資だけでなく、ビジネスでも同じですよね。安く仕入れて、仕入れ値よりも高く売らなければ利益を出すことはできません。当たり前のことなのですが、投資となると実際にこれをできる人は限られてきます。人の心理がとても影響してしまうからです。

多くの人は、価値が上昇し始めると「なんだか盛り上がってきている! 今投資しないと、儲け損なってしまう」と焦って購入し、価値が下降し始めると「もう仮想通貨は終わった……。損切りだ! 」と言って利益ではなく損を確定させてしまいます。これでは、永遠に利益を出すことはできないでしょう。

価値が下落して安くなったら買い、あるいは買い足して放置し、価値が上昇したら納税額を考慮のうえ使う分だけ利確(利益を確定)するか、そのまま保有しておくか。それだけのことです。私は、安いと感じなければ買うことも買い足すこともありません。

SNSの情報に踊らされるのはダメ

フェイスブックなどのSNSでは、高級車や超一流ホテルのラウンジ、高級レストランでの食事などの写真とともにお金持ちアピールをしている人がいます。よくわかりませんが「パワーランチ」という謎の言葉を使って集まっているような人たちもいます。中には、札束を露骨に写して投稿している人もいますよね。そんな品のない人たちが、仮想通貨やICOを広めてしまっている節もあり、誤った情報が広まってしまうのはとても残念なことです。

「元本保証」「利益保証」「高利回り配当型」などの言葉を使っているケースもありますが、「元本保証」という言葉を使っている時点で違法ですし、話になりません。

富裕層と呼ばれるような人たちは、SNSでわざわざお金持ちアピールをしないでしょうし、見た目やライフスタイルも意外に控えめな印象だったりします。だいたい、お金持ちアピールをしても何の得もありませんよね。SNSの情報には何か裏があると常に思った方が賢明でしょう。

「著名人が言っているから安心」は幻想

「世界的に有名な投資家が言っているから信用できる」「本をたくさん出している人が投資しているらしいから、自分も投資しよう」というのは、あまりにも安直です。

著名な人でも、自分のメリットになるようなポジショントークをしている可能性がありますし、その発言の影響力を利用しようとする人も周囲には多いでしょう。

もちろん、著名人の一言でプロジェクトが大きく動き、ホワイトペーパー(事業計画)やロードマップが実現してしまうということもあります。著名人の言葉には、良くも悪くも影響力がありますから、著名人本人がどんな意志や意図を持って言葉を発しているのか、見極めが必要ですね。

また、著名人ではなくても「自分は仮想通貨投資で成功した。その成功ノウハウを教える」と謳って超高額なセミナー講師をする人がいます。そもそも、投資で成功しているなら講師なんて面倒なことをする必要もありませんし、超高額なお金を取る必要もありません。

投資で成功したこと自体が嘘か、儲けたお金を使ってしまったか、欲に目がくらんでさらに儲けようとしているかのいずれかでしょう。多くの場合、こういう人がSNSで怪しい投資話を広めているのだと思います。

調べてばかりで買わないのは永遠に儲からない

投資で失敗しない秘訣は投資しないことですが、それでは永遠に利益を得ることはできません。また、知識ばかりを得て投資をしないのも、永遠に利益を得ることはできません。

投資で利益を得たいと思ったら、どこかのタイミングで投資をすることです。リスクを取って行動しない限り、投資で利益を生み出すことはできませんから。

人によって、なくなってもいいと思える金額は違いますが、まずは貯金の1%など、少ない金額から試してみるのも良いでしょう。もしくは、「つもり投資」から始めてみても良いかもしれません。「外食したつもりになって4,000円投資」「映画を観に行ったつもりになって2,000円投資」「旅行に行ったつもりになって3万円投資」という風に投資をスタートさせてみるのも一考の価値があると思います。

次回は、「仮想通貨のPump&Dumpってなに? 」というテーマについてご紹介します。

執筆者プロフィール : 中島 宏明(なかじま ひろあき)

1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、SAKURA United Solutions Group(ベンチャー企業や中小企業の支援家・士業集団)、しごとのプロ出版株式会社で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
オフィシャルブログも運営中。