ブームは去ったかのようにも感じる「仮想通貨」ですが、その普及は世界中で着実に進んでおり、今後もさまざまなシーンでの活用が期待されています。本連載では、「仮想通貨に興味はあるけれど、なにからどう手を付ければいいかわからない」というような方向けに、仮想通貨に関連するさまざまな話題をご紹介。仮想通貨を2014年より保有してきた筆者の経験から、なかなか人には聞きにくい仮想通貨の基礎知識や歴史、未来像などもわかりやすくお伝えします。

未来は誰にもわからない

「仮想通貨の未来はどうなりますか? 」という質問を投げかけられることは非常に多いです。しかし、未来のことは誰にもわかりません。

ビットコインを草創期から保有しているほとんどの人は、ビットコインが今のように高騰するとは考えていなかったでしょうし、ビットコインが2017年の最高値に達する前後に購入した人は、2019年現在のように価格が暴落するとは考えなかったでしょう。

「自分はこうなるとわかっていた」と後から言うことはいくらでもできますが、未来を正しく予測できる人は、学者にもエコノミストにも著名な投資家にも予言者にもほとんどいません。

第19回の記事でご紹介したように、仮想通貨に関してポジティブな発言をする著名人は多く存在します。しかし、彼ら彼女らの発言のすべてを鵜呑みにすることはできません。

本当に1BTCの価値が100万ドルになる可能性はなくもないですが、その価値を持続できるかはわかりません。しかし、全世界の人々が資産の1%をビットコインに換えれば、それも実現するのかもしれませんね。考え方によっては、仮想通貨の価値上昇は青天井です。

ビットコインはすでに技術的には陳腐な存在

第20回の記事でご紹介したように、ビットコインの処理速度の遅さは以前から指摘されています。設定条件によって速度は変動しますが、1件の送金が完了するのに数日間かかることもありました。それでは銀行を介する海外送金と変わりませんし、全く便利ではないですよね。「処理が速くて手数料の安い送金手段」が、「処理が遅くて手数料の高い送金手段」になってしまっては、誰も利用しないでしょう。

ビットコインの問題点を解決するために、新しい仮想通貨(アルトコイン)がたくさん生まれました。世界初の仮想通貨であり、サトシ・ナカモト論文を具現化したビットコインは画期的な存在ではありますが、技術的に見ればビットコインはすでに陳腐な存在になっています。つまり、ビットコインよりも送金や決済に優れているであろう仮想通貨はすでに多く生まれています。

しかし、ビットコインが世界初の仮想通貨であることと、圧倒的な知名度の高さを持っており仮想通貨の世界で基軸通貨となっていること、決済インフラがある程度整っていることなどから、ビットコインの時価総額は仮想通貨の第1位を常にキープしています。

未来は誰にもわからないが自分事にすれば未来はつくれる

ビットコインの価値を上げたのは、ビットコインを保有しているホルダーたちです。ビットコイナー、ビットコインラバーとも呼ばれていますが、取引所をつくったり、ATMをつくったり、決済システムをつくったりしてきたのはホルダーたちでした。個人や法人など、ホルダーたちの立場はさまざまですが、それぞれの啓蒙活動が今の価値上昇につながっていると思います。

新しい仮想通貨のコミュニティでは、「まだ価値が上がらないのか! 」「どうなっているんだ! 」とプンプン・イライラを吐き出している方をときどき見かけます。そんなことをしている暇があるなら、その仮想通貨について啓蒙すれば良いだけのことです。

啓蒙活動にもさまざまな方法があり、仮想通貨の基本知識に関する勉強会をしても良いかもしれませんし、仮想通貨に関するブログを書いてみても良いかもしれません。より深く知るために、仮想通貨関連会社に転職してみるという手もありますね。仮想通貨について詳しい人が増えれば、また新しい発想が生まれ、仮想通貨の活用の場が増えるかもしれないわけですから。

次回は、「ブロックチェーンエンジニア」についてご紹介します。

執筆者プロフィール : 中島 宏明(なかじま ひろあき)

1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、SAKURA United Solutions Group(ベンチャー企業や中小企業の支援家・士業集団)、しごとのプロ出版株式会社で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
オフィシャルブログも運営中。