ブームは去ったかのようにも感じる「仮想通貨」ですが、その普及は世界中で着実に進んでおり、今後もさまざまなシーンでの活用が期待されています。本稿では、「仮想通貨に興味はあるけれど、なにからどう手を付ければいいかわからない」というような方向けに、仮想通貨に関連するさまざまな話題をご紹介。仮想通貨を2014年より保有してきた筆者の経験から、なかなか人には聞きにくい仮想通貨の基礎知識や歴史、未来像などもわかりやすくお伝えします。

投資的な観点より「利便性」に着目

今回は「なぜ仮想通貨を持とうと思ったのか」についてお伝えします。私の場合、仮想通貨を持とうと考えたのは、ある実体験がきっかけでした。実体験というのは、インドネシアのバリ島へ移住するときのことです。

妻とバリ島移住の話が出始めたのは2013年のことで、その年末頃に現地で借りる戸建て賃貸の家賃を送金する必要がありました。それほど大きな金額ではなかったのですが、都銀については海外送金の手続きが面倒という話を聞いたことがあったので、当時使っていた信用金庫から送金しようと考えました。しかし、やはり手続きは面倒でした。結局、ネット系の銀行からインドネシアの口座へ送金したと思います。

そのとき感じたのが、「なんで自分のお金を送るだけなのに、送金目的や受取人との関係などを細かく書かないといけないんだろう?」という疑問と不便さでした。当時はあまり海外送金をしたこともなかったので、着金するまでの数日間は「ちゃんと届くのかな」と不安だったことを覚えています。

その後、ご縁あって仮想通貨を知ることになり、「速くて手数料の安い、送金代わりの手段として使えるもの」という意識で仮想通貨を持とうと思いました。当時は今ほど日々の価格変動が大きくなかったと思いますので、投資的な感覚というよりは、円をドルに換えるような感覚で購入したと思います。

「発行上限が決まっているから」投資した人も

私よりも早い時期の、2012年頃から仮想通貨を保有している友人がいます。その人は、「発行上限が決まっているから、知名度が上がって人気が出れば、必ず価値は上昇する」と考えて投資したそうです。

2012年当時ですから、カタカナで「ビットコイン」と検索しても、日本語の情報はほとんど入手できなかったと思います。情報が少ない中で投資を決められるのは、かなりのリスクテイカーか先見の明があったからなのだと思いますが、多くの情報を集めれば正しい判断ができるかというと、必ずしもそうではありませんよね。

2012年当時のビットコインは、1BTC=3ドルほどだったそうですから、財を成し経済的な成功を収めたことは言うまでもありません。物事の判断が正しかったのかそうでなかったのか、長期的に見なければわかりませんが、少なくとも大きな成功だと思います。

今では、「ビットコイン」「仮想通貨」とネットで検索すれば情報はいくらでも出てきます。しかし、どの情報が正しいのか判断に迷いますよね。自分の利益・メリットになるようなポジショントークをする人も多いですから、投資する側のリテラシーがますます求められています。

「ビジョンに惹かれて」投資した人も

別の友人は、「ビットコインやリップル、イーサリアムのビジョンに魅せられて投資している」といいます。仮想通貨には、それぞれに独自のビジョンや独自の機能がありますが、「お金(価値)のやり取りをもっと自由に」という点は多くの仮想通貨に共通したビジョンかもしれません。

「ルールがあるから安心」という面も確かにあるのですが、あまりにもルールが複雑で工程が多いと、どうしても不自由さを感じてしまいます。なにをするにも当然リスクはありますから、私は自由さがあることのほうが嬉しいですね。

私でさえ、海外に住むという経験をすることになりました。今後は、世代を問わず、海外に移住したりロングステイしたりする人が増えると思います。

ネット環境があれば多くの仕事は海外でもできますし、ますます世界はフラットになっていくはずです。人が移動すればお金も移動しますから、お金のやり取りはもっと自由になってほしいと願っています。もちろん、マネーロンダリングなどの犯罪行為は絶対にダメですが。

次回は、「大きな可能性を秘めた新しいフィンテックの仕組み」についてご紹介します。

執筆者プロフィール : 中島 宏明(なかじま ひろあき)

1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、SAKURA United Solutions Group(ベンチャー企業や中小企業の支援家・士業集団)、しごとのプロ出版株式会社で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
オフィシャルブログも運営中。