ブームは去ったかのようにも感じる「仮想通貨」ですが、その普及は世界中で着実に進んでおり、今後もさまざまなシーンでの活用が期待されています。本連載では、「仮想通貨に興味はあるけれど、なにからどう手を付ければいいかわからない」というような方向けに、仮想通貨に関連するさまざまな話題をご紹介。仮想通貨を2014年より保有してきた筆者の経験から、なかなか人には聞きにくい仮想通貨の基礎知識や歴史、未来像などもわかりやすくお伝えします。

  • 仮想通貨に関するポジティブニュース

ポジティブなニュースや発言は意外と多い?

仮想通貨の価値上昇という観点でいえば、一番の盛り上がりを見せたのは、やはり2017年だったでしょう。2017年12月には、ビットコインが1BTC=220万円を超えました。しかしその後は下落を続け、2019年2月時点では1BTC=40万円台ほどになっています。

ビットコインだけでなく、仮想通貨全体で見ても下落しているコインのほうが多いのではないでしょうか。そんな下火といえる状況ですが、世界では多くのポジティブなニュースや発言が見られます。今回は、その一部をご紹介します。

スイスの証券取引所に仮想通貨インデックスファンド(ETP)が上場

スイスにあるSIXという証券取引所が、世界で初めて仮想通貨の取り扱いを始めました。SIXの市場規模は180兆円とされており、大手証券取引所での取り扱い開始は今後世界の証券取引所や投資家に影響を与えると考えられます。

株式投資しかしていなかった層が仮想通貨投資を始める可能性は高まるかもしれません。インデックスファンドは投資信託の一種で、インデックスファンドを1つ持っていれば、分散して投資できるメリットがあります。インデックスファンドの構成は、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)、ビットコインキャッシュ(BCH)、ライトコイン(LTC)の5つです。

2019年は楽観的見通し?

イギリスの大手コンサルティング企業であるプライスウォーターハウスクーパース(PwC)が、2019年における仮想通貨相場の見通しを発表しました。「仮想通貨はすでに終わっている」と主張するアナリストも多いなか、PwCは「2019年には回復する」という見通しを示しています。

PwCで仮想通貨コンサルタントを務めるアンリ・アースレニアン氏は、「世界規模で大きな変革が起きている。例えば、2018年は世界中で仮想通貨に関する規制整備が進んだ。だが2019年はさらにこの動きが加速するだろう。機関投資家などにとってはいい流れだ」と主張しています。

マカフィー創業者の予想は?

ウィルス対策ソフトで有名なマカフィーの創業者であるジョン・マカフィー氏は、Twitterで「2020年の終わりまでに、ビットコインは50万ドル(約5,580万円)になる」と予想していました。2017年11月になると、予想価格を100万ドル(約1億1,100万円)に引き上げています。仮想通貨高騰の時期の発言ですので、より強気になった可能性はありますが、思い切った予想ですよね。

ペイパルCEOと取締役も強気の予想

決済サービスで有名なペイパルのダン・シュルマンCEOと取締役であるウェンセス・カサレス氏は、ブロックチェーン技術の誕生をインターネットの誕生となぞらえ、「ビットコインの価格は最終的に100万ドル(約1億1,000万円)に達するだろう」という予測を示しました。

カサレスCEOは、「仮想通貨の未来は、単一の頑丈なブロックチェーンの実現にかかっている」という考えを述べ、単一のブロックチェーンにはビットコインが選ばれる可能性がもっとも高いと言っています。かなり野心的な発言ですね。

元フェイスブック幹部の見通しは?

元フェイスブック幹部で投資家でもあるチャマス・パリハピティヤ氏は、草創期からビットコインに投資しており、2013年には友人と一緒にビットコインの供給量の5%を所有していたとも言われています。「ビットコインは、ゴールドの価値に匹敵するようになる潜在力がある」とし、「今後3~4年で1BTC=10万ドル、20年後には100万ドルになっているだろう。投資家は、資産の1%をビットコインへ配分すべき」と発言しました。

パンテラキャピタルCEOは野球に例えて成長を予測

投資ファンド・パンテラキャピタル(サンフランシスコ)のダン・モアヘッドCEOは、1BTC=72ドルだったときからビットコインに投資していた人物です。ブロックチェーンに特化したファンドを運営するなど、仮想通貨業界に詳しい人物として知られています。

「ビットコイン、イーサリアム、リップルのような大きなブロックチェーンは、これから何十年もかけて発展するもので、現在は野球でいう1イニング目のようなものだ。そして上げたり下げたりしながら進んでいくが、まだまだ初期段階だ」と今後の仮想通貨の成長を表現しています。

堀江貴文氏は友人間の送金で仮想通貨を使用

Youtube上の「ホリエモンチャンネル」にて配信された仮想通貨の将来性に関するQ&A動画のなかで、堀江貴文氏は「例えば現金しかダメなお店とかあるじゃないですか。それで、現金持ってなくて友達に払っといて、っていうじゃない。割り勘の代金をどうやって送ろうかってときに、銀行口座ってめちゃくちゃめんどくさいのよ。銀行の支店名を全部カタカナで検索しないと(中略)そう考えると、ビットコインなんてウォレットのQRコードを読み込めば終わりなのよ。もちろん2段階認証とかしないといけない手間もあるけど、その辺は銀行も一緒だしね」と話し、友人間送金に仮想通貨を使用していることを伝えました。速くて手数料の安い送金手段なので、仮想通貨は便利なんですよね。

気を付けないといけないのは、ポジティブな発言をする人はほぼ確実に仮想通貨ホルダーだということです。仮想通貨の価値を上げる方法は実はシンプルで、広めること(普及させること)なんです。これから仮想通貨を保有しようという人は、ポジティブな情報とネガティブな情報、両方を知ったうえで自己判断することが大切だと思います。反対に、仮想通貨に対してネガティブな発言をする人の多くは、既存の金融システムが維持されるほうがメリットがあると考える人たちかもしれません。

次回は、「仮想通貨に関するネガティブニュース&発言」についてご紹介します。

執筆者プロフィール : 中島 宏明(なかじま ひろあき)

1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、SAKURA United Solutions Group(ベンチャー企業や中小企業の支援家・士業集団)、しごとのプロ出版株式会社で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
オフィシャルブログも運営中。