堺雅人が主演するTBS系日曜劇場『VIVANT』第2シーズン(毎週日曜21:00~)が、民放公式テレビ配信サービス・TVerで記録的な再生数を生み出している。その背景には、本編の見逃し配信だけでなく、メイキング番組やラジオ、SNSでの考察を通じて、次の放送まで視聴者の熱量を維持する仕掛けがあった。

27日に都内ホテルで開催された「TV×TVer Conference 2026」では、TBSテレビの宇野顯則営業局新規事業開発担当部長が『VIVANT』におけるコンテンツ展開を紹介。スピンオフを視聴したユーザーは、視聴していないユーザーに比べ、次回の本編視聴継続率が約10ポイント高かったというデータも明らかにした。

  • 『VIVANT』主演の堺雅人 (C)TBS

    『VIVANT』主演の堺雅人 (C)TBS

『VIVANT』887万再生の背景にSNSでの考察と繰り返し視聴

2023年に放送された第1シーズンから3年ぶりに復活した『VIVANT』。第2シーズン初回は、TVerでの配信開始から8日間で887万再生を突破し、全番組における単一エピソードの8日間再生数で歴代最高記録を更新した。

宇野氏は「本当に多くの皆様からご支持、ご愛顧をいただいていると思っております」と感謝。かつてはドラマの見逃し配信が100万再生に達すれば大きな成果だったことを振り返り、「ここ1年で、300万、400万、200万を超えてくるドラマがすごく増えてきました。5年前にやっていて『100万いけばいいよね』という時代からすると、本当に大きく成長してきていると思います」と、TVerにおけるドラマ視聴の変化を語った。

その背景の一つに挙げたのが、SNSでの考察を起点とした視聴サイクルだ。

「SNSで考察が拡散されて、『あそこのシーンが気になるよね』というところから、また見逃し配信で見ていただいている方が増えていると思います。これは繰り返し視聴だけではなくて、オンエアの時間に見られなかったけれど、SNSで盛り上がっているので『じゃあ見てみよう』という新規の方も増えています」

さらに、「細部にこだわるドラマが増えてきているので、もう一回配信でゆっくり見ようという動きがあるのかなと思います」と分析。考察を楽しめる作品の作り込みと、それを繰り返し確認できる配信環境が相乗効果を生んでいるとした。

スピンオフ視聴者は次回視聴継続率が約10ポイント高く

『VIVANT』では、こうした視聴サイクルを意識した複数の取り組みを展開している。

まず、第2シーズンの放送開始前には、2023年の第1シーズンを再放送・再配信。前作から3年が経過していることを踏まえ、物語を振り返る機会を設けることで、続編への期待感を高めた。

さらに、本編の放送期間中にも視聴者との接点を維持するため、スピンオフコンテンツを充実させている。

TVerでは、約1年間にわたる撮影現場に密着したオリジナル番組『VIVANT-Adventure Log-』を独占配信。宇野氏は「一般的に言うとメイキングのようなものになると思いますが、非常に作り込んだものです。出演者の裏側だけではなく、撮っているカメラマンの生活ぶりにもフォーカスして、非常に見応えがある内容になっていると思います」と、その特徴を説明した。

また、TBSラジオでは、第1シーズンに登場した悪役たちが第2シーズンの展開を考察する『VIVANT 悪役会議室』を放送している。

宇野氏は「ファンが集まるラジオだからこそできる取り組みもあります」とした上で、「スピンオフがあることで、本編視聴との間でコンテンツとの接点が増える。可処分時間が奪われる時代の中で、うまくコンテンツIPが皆さんとの接点をキープできているのではないかと考えています」と、その狙いを明かした。

さらに、スピンオフ自体がニュースとして取り上げられたり、情報番組で紹介されたりすることで、本編とは別のところからも作品の話題が広がっていくといい、「スピンオフが火種となって皆さんとの接点につながっているというところも含めて、コンテンツIPの広い拡張展開として、有効な施策なのではないかと考えています」と述べた。

その効果を示すデータとして、宇野氏は次回の本編視聴継続率を紹介。スピンオフを視聴しなかったユーザーの次回視聴継続率は74.7%だったのに対し、いずれかのスピンオフを視聴したユーザーでは約10ポイント高い結果となったという。

TVerの再生バーにも仕掛け 広告価値にも波及

『VIVANT』では、TVerのプラットフォーム自体を活用した仕掛けも導入している。

ドラマの配信画面では、通常の再生バーを作品専用のデザインに変更。再生位置を示すアイコンがラクダになるなど、作品の世界観を楽しめる特別演出を実施した。

また、本編や『VIVANT-Adventure Log-』の対象エピソードを最後まで視聴するとデジタルバッジを獲得できる「VIVANTバッジコレクション」も展開。バッジの獲得数に応じたプレゼントキャンペーンと組み合わせ、視聴すること自体の楽しみも生み出している。

こうした取り組みによって高まった作品への熱量は、広告価値にもつながると強調。「熱量があることで、見ているときのマインドがすごく前向きになっている。体勢はリラックスしているかもしれませんが、マインドは前向きに見てもらえているところもあると思います」と説明した。

SNSでの考察をきっかけに見逃し配信を視聴し、メイキングやラジオで作品への関心を深め、再び次の本編へと戻っていく――『VIVANT』の取り組みは、テレビドラマを1週間ごとの放送で完結させず、様々なコンテンツを通じて視聴者との接点を持続させる一つのモデルとなっている。

  • TBSテレビ宇野顯則営業局新規事業開発担当部長

    TBSテレビ宇野顯則営業局新規事業開発担当部長