――パートナーシャッフルという設定には、「自分以外の人生を生きてみたい」という願望も重なっているように感じます。岡田さんは、どのくらい意識して脚本を書かれたのですか?

岡田:本当に違う人になりたいのか、違う人生を歩みたいのか、ということではなくて。なんとなく、自分の人生を肯定できるようになれたらいいなと思っていました。夫婦をシャッフルするというと、ものすごく突飛な印象を受けると思うんだけど、セリフの中では「席替え」という言葉を使っています。子どもの頃には席替えがあって、ある日突然、それまでの関係から「今日から違う人と隣です」ということが、実際に起こるじゃないですか。それこそ会社員の方なら、大人になっても人事異動という名の席替えがありますけど、僕のような仕事だと、もう本当に席替えがないので(笑)。外から変わることを経験してみたいという願望はあったのかもしれません。

石田:私も、部署が変わるとか、そういうことはないですからね。

――でも、石田さんの場合は、普段の自分とは違う人物を演じることを繰り返すお仕事でもありますよね。

石田:役者の仕事は、常にその繰り返しだと思います。毎回違う人物を自分に投影して、結局分かるのは自分のことなので。だって、その人になりきれるわけじゃないし、なりきっているつもりでも、最後に出てくるのは「自分はそうだった」ということなんですよね。毎回、そういうことをやっているような感じだと思います。

――なるほど。なんとなくこの作品のテーマともつながってきそうなお話ですね。

岡田:夫婦間では、ずっと一緒にいるから相手のことを分かっているつもりだし、「自分はこうなんだ」という話もあまりしなくなる。でも、シャッフルすることで、相手が思っている自分像とは違うところがあるんだ、という気持ちが芽生えてくる。そうすると、なんだか話したくなるんですよね。それができることで、すごくラクになるんじゃないかなと思って書いていました。

石田:確かに人間関係って、風穴を開けることが本当に大事ですよね。距離感をちょっと引いてみるとか、俯瞰で見てみるとか。そうすることで見えてくるものが、きっとたくさんあるんだろうなと、岡田さんの話を隣で聞きながら思いました。

岡田:現実では難しいですけどね。でも、想像するだけで何か変わるかもしれない。

竹内まりやとの縁が重なった主題歌「あなたでなければ」

――主題歌「あなたでなければ」を担当する竹内まりやさんとの縁も印象的です。

岡田:最初は、『家(うち)に帰ろう』をドラマの仮タイトルにしていたんです。その時点から、自分の頭のなかでは竹内さんに主題歌をお願いしたいと思っていました。そして、その曲のプロモーションビデオに出ていた石田さんが春花を演じてくださることになった。役とご本人が一つに溶け合うかのように、少しずつ重なっていき、石田さんとの組み合わせでしかできない役になった気がして、うれしかったです。

石田:最初に頂いた台本の最後のページに、岡田さんが「このドラマの世界観を、竹内まりやさんの曲が何とかしてくれる!」と書いていらして、「すごい、分かる!」と思いました(笑)

岡田:竹内さんの音楽は地に足がついている感じがあって、明るいし、根っ子の部分に「陽」がある。それが春花にも似ていると思いました。

石田:まりやさんの曲を聴くと、すごく幸せな気持ちになるんですよね。エバーグリーンというか、絶対に古くならない。今回の作品ともシンクロしていると思います。

「いい年をした大人たちのかわいいお話」

――では最後に、ドラマを楽しみにしている視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。

岡田:いい年をした大人たちのかわいいお話なので、あまり敷居を高く感じずに、「バカだね」と思いながら楽しんでいただけたら。その先に共感も生まれてくるんじゃないかなと思っています。

石田:大人たちのポップでかわいいファンタジーですが、その中にとても深いテーマが流れています。見終わったあとに、みんなで感想を言い合いたくなるような作品だと思うので、気楽に楽しんでいただけたらうれしいです。

<石田ゆり子>
ヘアメイク:岡野瑞恵