「男の人が女の人に合わせれば、世の中の7割ぐらいはうまくいくんじゃないか」――。WOWOW『連続ドラマW マイ・スイート・ホーム』(31日スタート、毎週土曜22:00~ ※全6話・第1話無料)の脚本を手がける岡田惠和氏は、そんな独自の男女観を明かす。
石田ゆり子が主演する本作は、そろそろ還暦を迎える男女が、お互いのパートナーを交換して2週間暮らす“人生の試着”に挑む群像劇。女性たちの友情や夫婦の関係性を描くにあたり、岡田氏が込めた思いとは。出演する石田も交え、作品のテーマについて掘り下げた。
男性が女性化することは「ある種の進化」
――女性同士の関係性を描くうえでは、岡田さんご自身を取り巻く環境も、少なからず影響しているのでしょうか。
岡田:子どもの頃、僕の家には、母、姉、妹、それから祖母と、叔母もいました。父親はあまり家にいない人だったので、女性の中にほぼ男1人という環境で暮らしていたんです。女性同士の会話って、脈絡がないというか。男の人は言ったことに対して答えがないと次に進まないけれど、女性の場合は、言ったことと答えが違っていてもいい(笑)
石田:ああ、分かります(笑)。答えがないんですよね。
岡田:男同士でご飯に行くより、たとえば女性5人と僕1人のほうがラクなんです。向こうはどう思っているか分からないですが…。いわゆるホモソーシャルな部分があまり得意じゃなくて。男性同士が殴り合って、そのまま坂道をゴロゴロ転がって、最後に一緒に笑うようなシーンは、僕には一生書けないだろうなと思います。
――女性たちの関係が成り立つうえでは、パートナーたちの存在も大きいですね。
岡田:僕は、男の人が女の人に合わせれば、世の中の7割ぐらいはうまくいくんじゃないかと思っているんです。女性を尊敬しているところがあるんでしょうね。男性が女性化していくことは、ある種の進化なんじゃないかなと思っています。それも一つの解放として。女性が男性化するっていったら変ですけど、そういう流れがあるとすると、それに比例して男性が女性化することで一番バランスが取れていくんじゃないかなと思っているところがある。今回、そういう男性像を描けたのも新鮮でした。
石田:岡田さんが描く女性たちは、みんな強くて、面白くて、ユーモラスで、チャーミング。七転び八起きというか、応援したくなる姿を描いていらっしゃいますよね。一方で、男性はちょっと弱気で、「え~!」「そんな~!」みたいなキャラクターが多い(笑)。それが幸せの秘けつなのかもしれないですね。
経済的に恵まれた人々の「優しさや温かさ」を描く
――経済的に恵まれた人たちの暮らしを描くことも、本作の特徴のひとつですね。
岡田:ドラマで豊かな人たちを描くのは、実は難しいんです。見る側に「いい人のはずがない」という先入観があって、どうしても嫌な感じの人たちになってしまう。お金持ちの夫婦も、ドラマの中ではギスギスしていることが多いですよね。でも、そんなことばかりではないと思うんです。豊かだからこその優しさや温かさもあるはず。そこを日本のドラマではあまり描いてこなかったので、松濤とか葉山とか軽井沢のような、ひょっとすると反感を買うかもしれないエリアで暮らす、“自分たちが恵まれていることを自覚している人たちの生活”を描いてみたいと思いました。
石田:私自身は複数の友人と長く付き合うというのはあまりないですが、女性4人の関係には憧れます。こんなふうにずっと仲良くできたら、どんなに幸せだろうと思いますし、男性側の協力がちゃんとあることも大事です。そういう人間関係を描くうえで、経済的に恵まれた人たちをどう描くかというのも、作品の大きなテーマだと感じました。
――一方、武田真治さん演じる田口は、そうした人たちを批判的に見る人物でもあります。
岡田:それもひとつの真実ですよね。田口の言うことにも一理ある。だから、彼の批判に対してあの6人は簡単には言い返せない。そういった視点も同じドラマのなかに入れておきたかったんです。

