宮城県気仙沼市の街を歩いていると、街のあちこちで出会うキャラクターがいる。ホヤの頭にホタテのベルト、サメの皮のマント、手にはサンマの剣。気仙沼市観光キャラクター「海の子 ホヤぼーや」だ。近年は市外にもファンを広げているという、ホヤぼーや。そのファンイベント「あったげホヤぼーや2026」が10月4日、気仙沼内湾の複合施設「ないわん」で開催された。

  • 冒険家のようなコスチュームを着たホヤぼーや

    冒険家のようなコスチュームを着たホヤぼーや

「あったげ」とは、気仙沼の方言で「たくさんの」「ものすごく」といった意味。その名のとおり、会場にはホヤぼーやグッズを身につけたファンが続々と集まり、物販やステージ、グリーティングを楽しんでいた。ホヤぼーやの一体何が、こんなにも人を惹きつけるのだろうか。

  • 大勢の来場者がホヤぼーやの姿に釘付けに

    大勢の来場者がホヤぼーやの姿に釘付けに

公募から誕生したキャラが気仙沼市民のアイドルに

ホヤぼーやは、JR東日本と宮城県内の自治体による2008年「仙台・宮城デスティネーションキャンペーン」に向けて、2007年に一般公募を経て誕生した。

  • ホヤぼーやの立像。右手に掲げているのがサンマの剣だ

    ホヤぼーやの立像。右手に掲げているのがサンマの剣だ

気仙沼市産業部観光課の担当者によると、ホヤぼーやは“ぼーや”なので、まだまだ子供。「ちょっとシャイなので、みなさんとの交流を少し恥ずかしがることもあるのですが、みなさんが優しくしてくれることを知っているので、すぐに打ち解けていきます」とのこと。ファンからの温かい言葉が、彼の原動力になるのだ。

物販もステージも大盛況!

  • あったげホヤぼーや2026の入口ゲート

    あったげホヤぼーや2026の入口ゲート

  • 会場となった複合施設「ないわん」

    会場となった複合施設「ないわん」

  • 10時前後の会場の様子。すでにかなりの客入り

    10時前後の会場の様子。すでにかなりの客入り

「あったげホヤぼーや」の会場では、港の海辺空間に数多くの店舗が並び、その中央にはイベント用のステージが置かれた。イベントが始まる10時手前頃には、ホヤぼーやの帽子を被っている人、服装のあちこちにホヤぼーやグッズを装備した人など、多くの来場客で大盛況。客層も家族連れから若いカップル、若年層グループ、年配の方々まで様々だ。

  • 至るところでホヤぼーやのグッズが販売されている

    至るところでホヤぼーやのグッズが販売されている

  • 本格的な「推し活」用グッズも

    本格的な「推し活」用グッズも

  • 普段使いしやすそうなシャツやエコバッグ

    普段使いしやすそうなシャツやエコバッグ

  • ファンアート展も同時開催。力作が並ぶ

    ファンアート展も同時開催。力作が並ぶ

物販コーナーではホヤぼーやのぬいぐるみや推し活グッズ、ホヤぼーやを使った文具・小物・スイーツ・アパレルなども販売されていた。これらは気仙沼市内事業者が企画・開発・販売をしており、市では商品申請の受付を行っているという。製造業から飲食まで、多彩な企業や店舗が、自社の強みを活かしてホヤぼーや商品を開発しているのだ。

  • 入口で配布されていたカチューシャ

    入口で配布されていたカチューシャ

会場入り口ではホヤぼーやの「耳」をかたどったカチューシャを先着順で無料配布しており、それを着用した人々が場内を往来するので、さながらホヤぼーやが大量発生したかのようだ。

10時を迎え、中央ステージにホヤぼーや本人が現れると、割れんばかりの大喝采! その後もステージ上ではアイドルのようなグリーティングやチェキ会のほか、ダンスや音楽ライブなど様々なイベントが開催された。

  • イベント進行に従い、姿を現すホヤぼーや

    イベント進行に従い、姿を現すホヤぼーや

  • 大量発生した“なりきりホヤぼーや”たちが、本家ホヤぼーやを囲んだグリーティングの時間

    大量発生した“なりきりホヤぼーや”たちが、本家ホヤぼーやを囲んだグリーティングの時間

世代もきっかけも、ホヤぼーやを「推す理由」は多種多様

それにしても、なぜホヤぼーやは、こうも多くの人々の心を惹きつけるのか。実際に会場を訪れていた「ホヤぼーや推し」の皆様に、ホヤぼーやへの想いを尋ねた。

  • 気仙沼「海の市」内にある、ホヤぼーやのキャラクターショップ

    気仙沼「海の市」内にある、ホヤぼーやのキャラクターショップ

まずは宮城県のお隣、山形県から三世代で訪れたというご家族。ホヤぼーや誕生間もない頃から、実にファン歴16年という筋金入りのファンだ。関連イベントには毎回参加とのことで、家族全員で数々のグッズを着用。ホヤぼーやの優しい所や、子供っぽさが愛おしいのだという。

  • ご家族に見せて頂いたグッズ類。右のポーチからも、長年大切に愛用してきたことが伝わる

    ご家族に見せて頂いたグッズ類。右のポーチからも、長年大切に愛用してきたことが伝わる

お次は、千葉県から来たご夫婦。ご主人が宮城県出身である縁で奥様もホヤぼーやに触れ、その動きの可愛さにハマったそうで、グリーティングの時間を楽しみにしていた。

  • ホヤぼーやをバックに笑顔のご夫婦

    ホヤぼーやをバックに笑顔のご夫婦

こちらの若い女性は埼玉県在住。宮城出身のご両親から、最近ホヤぼーやを教えてもらい、照れ屋さんな部分にときめいたとのこと。チェキ会の抽選を頑張りたいと語っていた。

  • 女性が持っていたぬいぐるみ

    女性が持っていたぬいぐるみ

無料の推し活応援サービス「ホヤぼーやプラス」を通じて知り合ったという「ガチ勢」のグループもいた。1組目の家族以上にホヤぼーやコーデで全身固めており、オリジナルグッズのタオルまで制作という力の入りよう。

ホヤぼーやの魅力については、グリーティングで積極的にコミュニケーションを取ってくれるなど、他のゆるキャラと一線を画する「ファンサ」の良さと分析。じゃんけん大会で勝ち残ったら、ホヤぼーやが自宅を訪問してくれることに期待を寄せていた。

  • 熱心なファンの方々で集合写真。中央が自作のタオル

    熱心なファンの方々で集合写真。中央が自作のタオル

このようにホヤぼーやと繋がるすべての人々を、気仙沼市は「ホヤフレンズ」と総称している。気仙沼では公共物以外でも、多くの人が看板にホヤぼーやを入れたり、マスコットや商品に活用したりするのが一般的。あらゆるところにホヤぼーやとホヤフレンズがおり、そうした地元での支持が、地元を超えて全国にファンを増やす礎になっている。

  • イベント運営スタッフの衣服にもホヤフレンズの字が見える

    イベント運営スタッフの衣服にもホヤフレンズの字が見える

気仙沼と全国との「架け橋」として活躍中

ホヤぼーやが広まった経緯には、2011年3月の東日本大震災が大きく関連している、と前述の担当者は説明する。震災後、気仙沼にはボランティアをはじめ復興支援の方々が数多く訪れた。彼らが地元へホヤぼーやのグッズや衣類などを持ち帰り、それが全国的に知名度を広めるきっかけとなったのだ。

  • 気仙沼市観光サービスセンターで展示されているホヤぼーや推しグッズ

    気仙沼市観光サービスセンターで展示されているホヤぼーや推しグッズ

気仙沼に平穏が戻った現在も他地域とのつながりは続いており、2025年から始まった「全国ステージキャラバン」では、東京・千葉・神奈川などへ行くたび駆けつける熱心なファンも少なくない。今後はさらに広範囲でホヤフレンズを増やしつつ、気仙沼全体を「ホヤぼーやランド」のようにすることで、ホヤぼーや目当てで気仙沼を訪れる人々に楽しい時間を過ごしてもらうことが目標だ。

  • 気仙沼市内の店舗・施設では、ホヤぼーやのグッズを販売している所が多い

    気仙沼市内の店舗・施設では、ホヤぼーやのグッズを販売している所が多い

「気仙沼は海を通じて世界と繋がる港町であり、様々な出身地や文化の方を迎え入れられる、心温まる風土があります。そんな気仙沼へ多くの人が足を運ぶきっかけとなるよう、ホヤぼーやは宣伝隊長として全国でPR活動を続けています。みなさんが生活の1コマで、ちょっと笑顔になれたり励みになったりできる存在として、気仙沼と全国を繋ぐ子に成長してくれたらいいですね」という担当者の言葉が印象的だった。

  • ホヤぼーやのミニぬいぐるみと、ホヤぼーやをかたどった抹茶あんバターもなか

    ホヤぼーやのミニぬいぐるみと、ホヤぼーやをかたどった抹茶あんバターもなか

2026年の夏には、気仙沼市内のホテル2軒で「ホヤぼーやルーム」が誕生し、ホヤぼーやに特化したクラフトビールブランドも立ち上がった。来年2027年には誕生20周年を迎え、記念グッズの展開も予定されている。気仙沼から全国へ広がった「ホヤフレンズ」の輪は、まだまだ大きくなりそうだ。