東日本大震災からの復興と震災の記憶を未来へつなぐ「ツール・ド・東北2026」が9月20日、雨の中で開催された。7年ぶりに復活した気仙沼発のコースでは、出走した139人全員が完走。沿道からの声援や温かなエイド食、前夜祭での出会いなど、ライダーと地域の人々が育んだ交流を紹介する。

  • 雨の中、ないわん広場から走り出す「ツール・ド・東北2026」のライダーたち

    雨の中、ないわん広場から走り出す「ツール・ド・東北2026」のライダーたち

雨の中1,690人が出走、1,645人が完走

石巻~気仙沼間を舞台に、順位やタイムを競わずに走るファンライド「ツール・ド・東北2026」。大会全体では1,939人がエントリーし、当日は1,690人が出走、1,645人が完走した。前年度や2019年大会とは定員が異なるため単純比較はできないものの、雨天にもかかわらず多くのライダーが東北を駆け抜けた。

雨の影響により、大谷海岸エイドステーションで予定されていた伝統芸能「大谷大漁唄込」は中止となった。一方、前日に行われたイベントは雨に見舞われず、ライダーと地域の人々の交流が広がった。

  • 雨天のスタート地点に集まったライダーたち。ホヤぼーやも出発を見守った

    雨天のスタート地点に集まったライダーたち。ホヤぼーやも出発を見守った

7年ぶりの気仙沼発コース、139人全員が完走

7年ぶりに復活した「気仙沼ワンウェイフォンド」には154人がエントリー。当日は139人が気仙沼市のないわん広場を出発し、出走者全員が石巻専修大学のゴールにたどり着いた。

スタート地点では、雨の中でも市民がライダーに声援を送り、走り出す背中を見送った。長距離を走るライダーと、それを支える地域の人々が一緒になって大会をつくる「ツール・ド・東北」らしい光景が見られた。

  • 雨の沿道から手を振り、走り抜けるライダーにエールを送る

    雨の沿道から手を振り、走り抜けるライダーにエールを送る

震災の記憶に向き合い、地域との交流も

コース途中の気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館では、予定より長く滞在するライダーの姿も。震災伝承に携わる語り部の言葉に、じっくりと耳を傾けていたという。

道の駅大谷海岸のエイドステーションでは、気仙沼市観光キャラクター「海の子 ホヤぼーや」やボランティア、海を背景に記念撮影を楽しむ姿が見られた。ライダーとボランティアが「また来年も来るね」「待ってます」と言葉を交わす場面もあり、雨の中でも温かな交流が生まれた。

  • ライダーに向けた応援メッセージ。地域からのエールが大会を盛り上げた

    ライダーに向けた応援メッセージ。地域からのエールが大会を盛り上げた

  • ホヤぼーやと記念撮影するライダー。会場では笑顔の交流が広がった

    ホヤぼーやと記念撮影するライダー。会場では笑顔の交流が広がった

かつお茶漬けが雨で冷えた身体を温める

大谷海岸エイドステーションでは、気仙沼かつお茶漬けを提供。温かいだしを注いだ一杯に、多くのライダーから「雨で冷えた身体が温まる」との声が寄せられた。

土地の味でライダーを支えるエイド食は、走ることとともに地域の魅力を体感できる大会の楽しみ。走行の合間にかつお茶漬けを味わい、ほっとひと息つく姿が見られた。

  • 温かいだしを注いで仕上げる、気仙沼かつお茶漬け

    温かいだしを注いで仕上げる、気仙沼かつお茶漬け

  • 気仙沼かつお茶漬けを手に笑顔を見せるライダーたち

    気仙沼かつお茶漬けを手に笑顔を見せるライダーたち

同じ七輪を囲んだ前夜のライダーズミーティング

前日のライダーズミーティングには、市外から訪れたライダーも多数参加した。当日初めて出会った人同士が自然に同じ七輪を囲むなど、大会本番を前に交流を深めていた。

会場では、近隣店舗が販売した海産物や気仙沼ホルモンが予想を上回る人気で売り切れに。地元産のカキを生で味わう人も多く、参加者は気仙沼の食とともに大会前夜を楽しんだ。

  • 大会前夜のライダーズミーティング。ないわんエリアに参加者が集まった

    大会前夜のライダーズミーティング。ないわんエリアに参加者が集まった

「また来年も」次回へつながる大会に

気仙沼市産業部観光課の勝間田大喜さんは、多くのライダーや大会を応援する人がライダーズミーティングに参加し、気仙沼の食とともに大会前夜を楽しんだことを喜ぶ一方、想定を超える来場を受け、来年はより多くの人を迎えられるよう取り組みたいとコメント。「ぜひ来年も、気仙沼ワンウェイフォンドにご参加いただき、前日から気仙沼を存分に満喫していただきたいです」と呼びかけた。

7年ぶりに復活した気仙沼発のコースで、出走した139人全員が完走した「ツール・ド・東北2026」。雨に負けず走るライダーと、声援や食で迎えた地域の人々の間に生まれた交流は、「また来年も」という言葉とともに次の大会へ受け継がれていく。

  • ホヤぼーやと一緒に記念撮影するライダーたち。交流の思い出を写真に残した

    ホヤぼーやと一緒に記念撮影するライダーたち。交流の思い出を写真に残した