芦田の演技を見て「度肝を抜かれた」

――これまで撮影されてきた中で、特に印象的だったシーンや出来事はありますか?

  • (左から)高橋文哉、芦田愛菜 (C)カンテレ

    (左から)高橋文哉、芦田愛菜 (C)カンテレ

角田: 初めて撮ったシーンが、会社に初出勤する南を僕が見送る場面だったんです。撮影順的にもストーリーの流れ通りで、すごく助かったなと。最初に芦田愛菜さんの南の演技を見て度肝を抜かれたので、「このドラマは勝ったな」と思いました(笑)。

芦田: 実はまだ2日しか撮影していないのですが(取材時)…(笑)。初日は、みなさんと一緒にドラマのキーになる出会いのシーンを撮影して。湊人さんとスタッフさんたちと話し合いを重ね、いいシーンにできたらと思って臨みました。お父さんとも1シーンだけ撮影したのですが、現場の雰囲気も相まって、ほのぼのとした素敵な親子なんだろうなというのをいろんな面から感じていて。皆さんとのお芝居がこれから楽しみです。

高橋: 原作の中でも印象に残っていたシーンを、日本を舞台に撮影するにあたり、一筋縄ではいかない点がたくさんありました。撮影前からみなさんで何度も話し合い、現場でも「こっちのほうがいいかな」と提案し合いながら、一緒に作っていけています。シーンごと、カット一つ一つに、それぞれのスタッフさんやキャストのこだわりを、余すことなく詰め込むことができたので、初日からすごくいい現場だなと思いましたし、この組で日本版のドラマを作り上げていけるのがますます楽しみになりました。

――南というキャラクターを演じるにあたり、どのように役づくりに取り組まれていますか?

芦田: 実際にASD(自閉スペクトラム症)の方にお会いしたり、監修の先生といろいろお話させていただいたり、自分でも本を読んだり…と、日々探しながら演じています。その中で、心の感情の部分を大事にお芝居できればいいなと思っていて。例えば反響言語という、質問されたことに対して同じ言葉を繰り返してしまう特徴があるのですが、その時々によって南なりの理由があって。そういったところをうまく出せるように、バランスを考えながら役を作っている気がします。日本版の台本では、「口調を統一した方が混乱しない」という理由から、南はずっと敬語で喋っているのですが、それをただそのままなぞると平坦な感じになってしまうんです。そうなると、きっと南らしくはないので、南らしい感情が乗るように演じるにはどうしたらいいか。台本を何度も読み込む必要があるなと感じています。

――お2人は、芦田さんが演じられる南をご覧になっていかがですか?

角田: 一緒にお芝居をやらせてもらう中で、芦田さんがすごく苦労しながら役作りをされているのが手に取るように伝わってくるので。そういうシーンでこちらがセリフを間違えるわけにはいかないなと。それだけはしないようにしたいと思っています。

高橋: 事前に本読みをさせていただいた際に、芦田さんの、台本や作品に対する並々ならぬ決意を勝手に受け取らせていただいたので、僕自身も、湊人が南のことを思っているように、少しでも芦田さんと同じ気持ちで臨めるように…と思いながら、クランクインを迎えました。引き続き南に頼ってもらえるような人間であろうと思っています。

法廷シーンならではの“長台詞”の覚え方を高橋が芦田にアドバイス!?

――物語の設定上、法廷シーンを中心に、長台詞も多いのではないかと思われます。南役の芦田さんのみならず、それぞれに長台詞を覚える際の“コツ”がありましたら、ぜひ教えていただけますか?

角田: 僕はもう本当に、ただひたすら覚えるだけなんですよ。台本に書かれた自分の役のセリフをスマホのカメラで撮って、いつでも見られる状態にしてから、空いた時間に見たり。動きながら頭の中でひたすら繰り返したりというシンプルな方法です。

芦田: 私も、紙の台本をひたすら口に出して何度も何度も繰り返し読むだけですね。それこそ口が覚えて勝手にスラスラ出てくるくらい、頑張って読み込みます。基本的には座って読みますが、今回は南の特徴として、気持ちが乗ってくると身振り手振りが大きくなるので。家で覚える時も実際にひとりでやりながら覚えている感じです。

高橋: 僕は以前、『フェルマーの料理』というドラマで天才数学者の役を演じた際に、円周率を覚える必要があったんです。もともと長台詞は得意で、その時も最初は怖いもの知らずで臨んだのですが、いざやってみたらさすがに数字は無理で…。そこで編み出したのが、A4サイズ位の紙を用意して、同じ場所にセリフを1文字ずつ重ねて書いて覚えるというやり方で。最初は見ながら書いて、次は見ないで書いて…というのを繰り返しやっていったら、セリフが頭に入りました。

芦田: え~っ! すごい!

角田: 理由がピンとこなさすぎてわからないんだけど(笑)。それでちゃんと覚えた?

高橋: 覚えられました!

角田: 上からどんどん文字を重ねて書くの?

高橋: そうです。もう真っ黒になるまで。

角田: きっと何かしらの法則があるんでしょうね。

高橋: たまたま数学だったからハマったのか、自分でもよくわからないのですが…。

――逆に言えば、数字以外の長台詞については、覚えるのに困ったことがないと。

高橋: はい。好きなんです。長台詞が。なので普段、台本を覚える時は口に出さずに、目だけで覚えて。実際現場でどれくらいの速さで言えるか試す感じなんです。

芦田: すごい…!

角田: 「頭の中にそのまま映像として浮かぶ」っていう話は割とよく聞きますけどね。

高橋: 写真みたいにカシャッて映像で残るという人もいらっしゃるらしいですね。それこそ、たまに10ページくらいにわたって繰り広げられる長台詞なんかもあったりするじゃないですか。もちろんずっと一人で喋っているわけではなくて、間にいろんな人のセリフが入りますが、そういう場面って、相手の言葉さえ、自分の長台詞の起爆剤になるような感じがあって。それが僕にとってはすごく心地よくて。すごく楽しくて、大好きなんです。きっと僕は長台詞が向いている人間なんだと思います。

角田: すごいな~。芦田さんも、「自分は長台詞に向いているかも」って思います?

芦田: いや、向いてはないと思いますけど、役のために頑張らないといけないので、今度、法廷のシーンで長台詞を覚える時に、私もその方法を試してみます(笑)。

高橋: ぜひ、やってみてください。

角田: 「全然頭に入らなかったよ」っていうことになるかもしれないけどね(笑)。

芦田、大きな決断は「しっかり最後まで悩み抜くことが大事」

――ぜひ、検証結果も改めて伺ってみたいです(笑)。ちなみに、本作においては、何かを選択したり、決断したりするような場面も登場します。皆さんのこれまでの人生における一番大きな選択や、決断する上で大切にされていることを教えてください。

角田: 僕は「東京03」を組む前、もともとやっていたコンビを解散して、1回お笑いを辞めていた時期があったんです。そんな時、たまたま近くに引っ越してきた飯塚さんから、「一緒にやらないか」と声をかけてもらったのがきっかけで、現在に至る…という感じなんですが。僕にとっては、あれが自分の人生の一番大きな選択でしたね。

芦田: 選択の大小に関わらず、何かを判断して決めなければいけないとなった時は、自分の頭でしっかり最後まで悩み抜くことが大事かなと思っています。結果はどうであれ、自分が納得いくまで悩んだら、「これが悩んだ結果なんだから、仕方がない」「こうして悩んだ時間も無駄じゃなかった」と思えたりするのかなと。誰かに言われたからではなく、自分自身でしっかり考えるということが大事かなと思いますね。

高橋: 僕は17歳の時、調理の専門学校に通っていて、当時はお芝居をやろうなんて思ったこともなく、就職先もすでに決まっていたのですが、ご縁があってオーディションを受けることになって。「もし選ばなかったらどちらの方が後悔するかな」って考えたんです。たとえ興味はなくともお芝居の可能性が無限大であるということは、小さい頃からテレビや映画で見て感じていましたし。料理をしながらお芝居はできないけど、お芝居をしながらでも料理はできるなと。いつか料理人の役をやったり、料理とお芝居を掛け合わせて誰かに夢を与えたりできる人になりたいなと思って、この道を選びました。当時はそこまで深く考えていたわけではないですが、あとから振り返ってみると、「あの時こっちの道を選んで良かったな」と思います。

  • 『南田南弁護士は天才肌』(C)カンテレ

    『南田南弁護士は天才肌』(C)カンテレ

――では最後に。本作を楽しみにしている読者に向けてメッセージをお願いします!

芦田: 南を見ていると、人にはそれぞれ得意なことも、不得意なこともあって。得意なことでは、一生懸命、「誰かのためになりたい」と奮闘して。苦手なことでは、「それが得意な誰かと一緒に歩んでいけばいいじゃないか…」といった柔らかい気持ちにさせられます。世界は、得意なことの役割分担で動いているんだなと感じさせてくれる、そんな優しい物語です。温かい夜を月曜にお届けできたらいいなと思っています。

ヘアメイク
芦田愛菜:板倉タクマ(ヌーデ)
高橋文哉:YURIA(CONTINUE)
角田晃広:樅野知子