江口洋介と松嶋菜々子がW主演を務めるフジテレビ系ドラマ『救命病棟24時』(毎週月曜21:00~ ※FOD・TVerで見逃し配信)の第3話が、26日に放送された。

孤高の天才救命医・進藤一生(江口)と、かつて彼の下で学んだ小島楓(松嶋)が、救命救急の最前線で命と向き合う姿を描く同ドラマ。第6シリーズとなる今作では、働き方改革や世代間の価値観の違いなど、時代とともに変化する医療現場の課題に切り込みながら、医師として失ってはいけないものを、令和の今だからこそ問いかけていく。

第3話では、責任の重さから逃げてきた若手医師・天野(萩原利久)に、27年前から変わらない進藤が向き合う。その言動が何を引き起こすのかという予測不能なスリルは、やがて爽快さと感動へ。主人公が変わらないからこそ、時代や周囲の人物の変化が際立つという、長寿シリーズならではの面白さが浮かび上がった。

  • (左から)萩原利久、江口洋介 (C)フジテレビ

    (左から)萩原利久、江口洋介 (C)フジテレビ

進藤が何を言ってしまうのか…予測不能なスリル

長寿シリーズの第6弾ともなれば、どこか「おなじみの展開」を期待し、安心感を得るのが醍醐味かもしれない。しかし、今回の第3話が見せてくれたのは、そうした予想を心地よく裏切るような新鮮なスリルだった。

その魅力の中心にあるのは、言うまでもなく、主人公・進藤一生の“変わらなさ”だ。

進藤は、目の前の患者を救うことしか考えていない。だからこそ、患者と真剣に向き合わない人間や、救う力を持ちながら救おうとしない人間に対して、臆することなく言葉をぶつける。そして、自らも圧倒的な技術を持ち、その言葉を行動で裏付けてしまう。

27年前の第1シリーズが始まった当時、そんな進藤の姿は、何事にも臆せずズバズバと物を言う、圧倒的にカッコいい存在として映っていたはずだ。だからこそ、小島楓が進藤から手荒い指導を受けていた頃も、彼女の立場に思いを巡らせるというより、容赦なく言葉を浴びせる進藤のカッコよさと、その隣でジタバタする小島の姿を、どこか微笑ましく眺めることができた。

では、今回の第3話ではどうだっただろうか。

判断力もあり、技術も身につけているはずなのに、人の命を救う責任の重さに向き合いきれず、逃げてきた天野。そんな天野に対して、“あの進藤”が何を言うのか?いや、何を言ってしまうのか?その顛末の予測のつかなさが、今回の物語にとんでもないスリルを生み出していた。

第1シリーズの小島であれば、進藤からどんな言葉を浴びせられるのかという緊張感の中にも、彼女の反応を含めたおかしみがあった。しかし、今回の天野には、それとは異なる切実さがある。天野は、単に気力がないわけでも、能力が足りないわけでもない。むしろ、一定の技術を持ち合わせているからこそ、命を預かることの重さを意識しすぎてしまう。繊細さゆえに一歩を踏み出せず、責任を負うことから逃げてしまう人物なのだ。

そんな天野に対して、何も変わらない“あの頃の進藤”が向き合う。いったい何を言い、どこまで彼を追い込んでしまうのか。その構図が、これまでのシリーズとは異なる緊張感を生み出したのだった。

  • (C)フジテレビ

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変わらない進藤が浮かび上がらせる時代の変化

進藤はちっとも変わっていない。にもかかわらず、彼を取り巻く人物が変わったことで、その言動の受け止められ方が変わっているのだ。長く続くシリーズにとって、変わらないことは、ときにマンネリや変化の乏しさという足かせになる。しかし、今作は周囲の人物や時代を変化させることで、その問題を乗り越えたのだ。

また進藤という圧倒的な存在が周囲との不和を生む構図は、第4シリーズにも通じるものがある。だが、第6シリーズでは、進藤が何を言い出すのか、そして、それを受け止める若い医師たちが何を感じ、どう反応するのかという点に、新たな面白さが生まれている。

かつてであれば、進藤の言葉は、厳しくとも正しいものとして受け止められやすかった。しかし、価値観も働き方も変わった令和の時代において、その言葉は必ずしも素直に受け入れられるとは限らない。進藤の信念が揺らいだわけではないからこそ、周囲との間に生じる摩擦が、より鮮明に浮かび上がるのである。

そして何より、前半ではスリリングに響いていた進藤の言動が、後半、天野を一喝する場面では、爽快さと感動、そして進藤という人物の最大の魅力であるカッコよさへと転じていく。「ああ、この変わらない進藤が見たくて、私はこの第6シリーズを見ているのだ!」そう思わずにはいられなかった。

一方、かつて進藤の下で学んでいた小島は、今や若い医師たちを育てる立場にある。彼女自身は、時代の変化を受け止めながら、若手に経験を積ませるためにはどうすればいいのかと悩んでいる。だからこそ、変わらない進藤の存在が、小島の変化をより際立たせている。

進藤が変わらずにいるからこそ、時代が変わったことも、小島の立場が変わったことも、そして、かつての自分たちとは異なる価値観を持つ若い医師たちがいることも、よりはっきりと見えてくる。圧倒的に変わらないものを軸に置くことで、変わってしまったものを浮かび上がらせる。その構図が見事に成立しているのだ。

  • (C)フジテレビ

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手さばきを見せずとも伝わる進藤の圧倒的存在感

そして、もう一つ印象的だったのが、進藤の天才的な技術を披露する医療シーンの新たな見せ方である。

今作の大きな魅力の一つは、進藤が鮮やかな手さばきで命を救う姿にある。しかし今回は、救急車にいる天野に処置を任せ、進藤が遠隔で指導するという展開が用意された。進藤自身が手術を行い、その圧倒的な技術を見せつけるわけではない。それでも、言葉一つで現場を動かし、天野を導いていく姿からは、進藤の存在の大きさが十分に伝わってくる。

手さばきを見せずとも、そこに進藤がいる。言葉だけで、その存在感を成立させてしまう。これは、長いシリーズの歴史の中で進藤という人物が積み重ねてきたものがあるからこそ、可能になる見せ方なのだろう。

変わらない進藤と、変わっていく時代。進藤の言葉を受け止める若い医師たちと、彼らを育てる立場になった小島。その対比によって、シリーズが長年描いてきた進藤の魅力が、これまでとは違う角度から浮かび上がってきた。

27年という時間を経ても、進藤は進藤のままだ。だからこそ、その周囲にあるものの変化が物語になる。第3話は、長く続いてきたシリーズだからこそ描ける、新たな面白さを見せてくれた回だった。

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