内田有紀と寺西拓人がW主演を務めるフジテレビ系ドラマ『ラストノート』(毎週木曜22:00~ ※FOD・TVerで見逃し配信)の第8話が、27日に放送された。

本作は20歳差という年齢はおろか、育った環境や経験にも大きな隔たりがある、“恋をするはずがない/恋するわけにはいかない”男女が惹かれ合う大人のラブストーリー。

「20歳も年下の男性との恋愛なんて」「彼の将来を考えたら」「そんな関係、うまくいくわけがない」――。これまで葵(内田有紀)と澄晴(寺西拓人)の恋に作品の外から向けられてきた“もっともらしい正論”を、第8話では登場人物たち自身が次々と口にした。恋愛に理屈はない。それでも、大人の恋愛にはなぜこれほど多くの理屈がついてくるのか。

  • (左から)寺西拓人、内田有紀 (C)フジテレビ

    (左から)寺西拓人、内田有紀 (C)フジテレビ

本人たちが望んでもいない心配を勝手にしてしまう

今作を批評・批判する声の中で特に多いのは、「20歳も年の離れた男性を恋愛対象として見るなんて信じられない」「大きく年の離れた男性に惹かれる理由がわからない」「現状フリーターである彼と、後先考えずに恋愛なんてできない」といった、50歳を目前にしたヒロイン・葵に向けられるものだ。

もちろん、今作はテレビドラマであり、エンターテインメントである。自分の琴線に触れなければつまらないと感じるだろうし、共感できなければ見たいとも思わない。それは当然のことだ。

ただ、本来、恋愛や「好きになること」に理屈は存在しない。相手が優しいから好きになるとは限らないし、冷たい人間に惹かれることだってある。既婚者を好きになってしまうこともあれば、同性、年齢差、格差、境遇、顔、身長、年収など、どんな関係性やスペックであっても、人は「好きになってしまう」。それが恋愛なのだ。そして、それは誰もが頭ではわかっていることでもある。

それでも他人の恋愛になると、どうしても口を出したくなる。ましてや、それが50歳を目前にした女性と30歳の男性の恋愛であれば、「騙されているんじゃないか」「将来はどうするのか」「結婚は?」「子どもは?」と、本人たちが望んでもいない心配を勝手にしてしまう。もっと言えば、そこには嫉妬だって混ざる。自分にはできないことをしている人を見て、「そんな恋愛はうまくいかない」と否定したくなる。自分と違う生き方をしている人に対して、「なぜそんな選択をするのか」と問いただしたくなる。

第8話が実に面白かったのは、これまで視聴者や作品の外側から向けられてきた、そんな“もっともらしい批判”を、ついに登場人物自身が口にしたことだ。

  • ((C)フジテレビ

    ((C)フジテレビ

嫉妬、心配、責任感…4人が葵と澄晴の恋に口を出す理由

莉奈(桜井日奈子)はもちろん、好きな人を奪われた女性の嫉妬だろう。しかし同時に、そこには「あなたは澄晴の未来を奪っている」という、いかにも正論らしい理屈がある。「若い彼の未来を考えたら、20歳も年上の女性との恋愛なんてやめたほうがいい」――今作に向けられてきた批判の多くも、突き詰めればここに行き着くのではないだろうか。

それは優子(坂井真紀)も同じなのだが、彼女の場合は、単純な澄晴への嫉妬だけではない。かつては自分が優位な立場だったにもかかわらず、いつの間にか葵が仕事でもプライベートでも充実していく。その姿を目の当たりにすることで、自分の人生との差を突きつけられてしまう。だからこそ、そこにある嫉妬は恋愛だけに限定されない。「なぜ自分ではなく葵なのか」という感情の中には、恋愛、友情、人生そのものへの嫉妬が入り混じっている。

葵の元夫である創(徳井義実)もまた、別の意味で正論を振りかざす。葵から澄晴と付き合っていること、そして澄晴が30歳であることを聞いた創は「そんな関係はうまくいくわけがない」と諭し、諦めるよう促す。もちろん、元夫という立場からすれば、そこには嫉妬もあるだろう。しかし、それだけではない。「元夫だからこそ彼女のことを心配している」という、本人にとっては至極真っ当な理由がある。だからこそ厄介なのだ。

そして、もう一人、澄晴の父・眞澄(佐々木蔵之介)もまた、別の形で2人の恋愛に立ちはだかる。こちらは恋愛への直接的な批判とは少し違う。むしろ描かれているのは、“子離れ”できない親の姿だ。

こうした作劇では、母親が息子の恋愛を心配し、恋を邪魔するという描写になりがちだが、今作では父親である眞澄がその役割を担っている。しかも、単純に「過保護な父親」として描いているわけではない。亡くなった妻から息子を“託された”という過去が、眞澄の中で、男として、父としての大きな責任感になっている。だからこそ、息子を一人の大人として手放すことができない。

第8話で描かれたそれぞれの“邪魔”は、決して単なる恋愛ドラマのお約束ではない。莉奈は嫉妬から、優子は自分の人生との差から、創は元夫としての立場と心配から、そして眞澄は親としての責任感から、2人の恋愛に口を出す。理由は違っても、やっていることは同じだ。自分たちの理屈によって、葵と澄晴の「好き」を測ろうとしている。ここが、第8話の非常に面白いところであった。