個人で出展可能なモジュールが集った「T-TRAKジオラマSHOW」

ここからは、個人で出展する「T-TRAKジオラマSHOW」および「ミニジオラマサーカス」を見ていく。まずは「T-TRAKジオラマSHOW」について。直線シングル・直線ダブル・曲線コーナーのいずれかの規格のジオラマボードを使用し、その上に各々の情景を制作する。作品全体の高さは500mmまでとし、机上から70~100mmで調整するアジャスターも必要となる。ボードは自作も可能だが、必ずT-TRAK規格の寸法に合わせる必要がある。

部門は中学生・高校生・一般の3部門に分かれている。会場では、出展者がそれぞれ制作したモジュールが2ブロックに分かれて1周つながり、その上を列車が走行した。一般部門の出展者が多数を占めたが、中学生・高校生の出展も見られた。

  • <!-- Original start --></picture></span>「T-TRAKジオラマボード」で制作されたモジュールが、今年も新宿に集まった<!-- Original end -->

    「T-TRAKジオラマボード」で制作されたモジュールが、今年も新宿に集まった

  • <!-- Original start --></picture></span>昭和の懐かしい京急車両が並ぶ久里浜工場付近<!-- Original end -->

    昭和の懐かしい京急車両が並ぶ久里浜工場付近

  • <!-- Original start --></picture></span>水戸偕楽園で満開の梅の横目に名鉄3400系「いもむし」が走った<!-- Original end -->

    水戸偕楽園で満開の梅の横目に名鉄3400系「いもむし」が走った

  • 幕張車両センターと幕張本郷駅のモジュール作品。房総エリアにゆかりある車両が並び、静かだが迫力のある1シーンに

その中から、幕張車両センターの情景を展開した作品について取材した。作者が千葉県在住とのことで、地元の車両がかっこよく写るジオラマをめざして制作したという。ボードに収めるため、既製品のホームや線路をカットし、ホームの足場にはパワーポイントで作ったデザインを紙に印刷して配置。線路・ホーム・車庫と道路の高架が交差するため、下から順に制作するように注意したという。

出展段階でも十分見応えのある作品だが、これはまだ制作途中とのこと。「車両基地の雰囲気は出たので、これからは汚し(ウェザリング)や、作業員・乗客の人形、その他小物を配置してもっとにぎやかにしていきたい」とのことで、高い目標がうかがえた。

中学生部門からは、小田急線の新宿2号踏切を題材にした「眩しい闇(ダンジョン)の玄関口」という作品を取材した。鉄道撮影スポットとしても知られる小田急線の踏切手前に配置し、中央の2線が走行用線路となっている。高層ビルで高さを出しつつ、左奥にJR線、地下に都営地下鉄大江戸線の線路も設置している。

  • <!-- Original start --></picture></span>小田急線の新宿2号踏切付近を再現<!-- Original end -->

    小田急線の新宿2号踏切付近を再現

  • <!-- Original start --></picture></span>内側線を走行用とし、外側線はディスプレイに。ロマンスカーがよく似合う<!-- Original end -->

    内側線を走行用とし、外側線はディスプレイに。ロマンスカーがよく似合う

  • <!-- Original start --></picture></span>ビルの裏手にJR線も。これらの線路はすべて通電する<!-- Original end -->

    ビルの裏手にJR線も。これらの線路はすべて通電する

この作品では、走行用線路だけでなく、ディスプレイ用の線路もすべて通電するという。新宿2号踏切の警報機が点灯し、遮断機も作動する。取材中は稼働の様子を見ることができなかったが、イベントが終わり、自宅に持ち帰った後も楽しく飾れるのではないかと感じた。

「ミニジオラマ」は小学生から大人まで、多くの作品を展示

最後に「ミニジオラマサーカス」の作品を紹介する。この企画では、「KATOミニジオラマベース 直線線路S124(または曲線線路R183)」「KATOジオラマくん ミニジオラマキット」「ミニジオラマプラス」のいずれかを使用し、手のひらサイズのジオラマ作品を制作する。ベースを自作する場合もいずれかの規格に合わせる必要がある。

  • <!-- Original start --></picture></span>会場持込みも含め、全国から多くのミニジオラマが集まり、テーブルごとにつながった<!-- Original end -->

    会場持込みも含め、全国から多くのミニジオラマが集まり、テーブルごとにつながった

  • <!-- Original start --></picture></span>桜が満開のローカル駅を路面電車が通過。明かりも灯っている<!-- Original end -->

    桜が満開のローカル駅を路面電車が通過。明かりも灯っている

  • <!-- Original start --></picture></span>球磨川第四橋梁と球磨川下り<!-- Original end -->

    球磨川第四橋梁と球磨川下り

会場では、全国から集まったミニジオラマが、登録模型店ごとのブロックに分かれて1周つながり、「チビロコ」「マイトラム」などの小型車両が周回していた。

この部門は小学生・中高生・大人の3部門に分かれ、年齢制限はない。エントリーの際、「鉄コンアプリ」で必要事項を記入後、そのときに選択した登録模型店に参加費の支払いや、作品の提出などを行う。8作品以上を出展できる場合、学校・団体単位の参加も可能。コンテスト会期中に持参し、閉会時の引取りが可能であれば、登録模型店を介さずに直接持ち込める。

  • 木造のホームに蜜柑が香りそうな小さな駅。作者の旅の経験も生きている

今回は3点ほど作品を取材した。1点目は、大人部門から「みかんの樹が見えるローカル線ホーム」。駅を取り入れつつ、情景が寂しくならないように、自身が旅行して良かった要素を足して作り上げたという。ベースに収めるため、既製品のホームを曲線でカットしているところに加工の難しさが垣間見える。「全体的に満足はしているが、もっと手を入れられるところはあった。模型好き同士で集まったからこそできたのもある」と感想を話していた。

2・3点目は、今回初めてジオラマ制作に挑戦したという親子に話を聴いた。小学生の男子は、「清流せせらぎ鐵道(架空)の一部」というタイトルで制作。ホビーセンターカトー東京店でジオラマ教室の広告を見て、ジオラマ教室に参加したという。

制作においては、木にプランツ素材を接着する作業が大変だったとのことだが、少しずつ貼り付け、緑の生い茂った木を作り上げた。1本1本立っている芝生や、カラフルな花畑も見どころに。制作中、芝生がレールに干渉したことに気づき、芝生の向きを修正し、列車の走行性能を確保した。総じて、初めてのジオラマ制作はとても楽しかったとのことだった。

  • <!-- Original start --></picture></span>初めてのジオラマ制作で、緑の豊かさと芝生の立体感が目を引く立派な作品を作り上げた<!-- Original end -->

    初めてのジオラマ制作で、緑の豊かさと芝生の立体感が目を引く立派な作品を作り上げた

  • <!-- Original start --></picture></span>西武の「エコパートナー」がいた当時の元加治駅をミニジオラマに<!-- Original end -->

    西武の「エコパートナー」がいた当時の元加治駅をミニジオラマに

息子に触発され、一緒にジオラマを作ったという母親は、西武鉄道が武蔵横手駅で取り組んでいた「エコパートナー」を再現した「保線係は…ヤギ!?」という作品を出展した。

当時、除草を兼ねて草を食べることでCO2を削減する「エコパートナー」として、西武鉄道がヤギを飼育していた。2010年頃、1週間ほど元加治駅に来ていた時期があり、その景色を気に入っていたという。制作においては、ヤギ小屋や駅名看板を3Dプリンターで制作し、バケツは熱収縮チューブと配線ケーブルの組み合わせ。ヤギの立っている周りだけ草を少なくすることで、除草が進んでいる様子を表現。ヤギ小屋は足をベースに差して固定するようにした。親子で話し合いつつ、それぞれのジオラマ制作に励み、2人とも楽しんでいた様子だった。

今回の記事で紹介できなかった作品も多いが、どの作品も生徒らがジオラマ制作に真剣に向き合い、作り上げたことがうかがえた。個人的な話で恐縮だが、筆者もこの半年間、自宅のレイアウトを修理するため、久しぶりにプラ板・プラ棒で工作を行っていた。それゆえに、出展者の話は共感することばかりだった。また彼らの力作を見られる機会を楽しみにしている。

当記事で紹介した以外の作品や、各企画の募集要項などは、公式アプリ「鉄コンアプリ」(Web版も閲覧可能)や「T-TRAKジオラマSHOW」「ミニジオラマサーカス」公式サイトなどでも確認できるので、あわせて参照してほしい。