東京・有明にあるアジア最大級のミニチュアミュージアム「スモールワールズTOKYO」に、新エリアとなる「渋谷エリア」が6月11日に開業した。
「スモールワールズTOKYO」を運営する「SMALL WORLDS」と、鉄道模型のリアルな都市ジオラマで人気の「Cityscape Studio」が約半年かけて共同制作。東京・渋谷の街の魅力を80分の1のHOスケールに凝縮し、ジオラマ内を列車が走る。開業日に報道公開が行われ、あわせてオープニングセレモニーも開催された。
細かく再現された「渋谷エリア」に「鉄道BIG4」も驚きの連続
新エリア「渋谷エリア」のオープニングセレモニーに、「SMALL WORLDS」渋谷エリアプロジェクトリーダーの岡林貴志氏、制作・監督を務めた「Cityscape Studio」都市モデラーのMAJIRI氏(入交優氏)、ジオラマ内の忠犬ハチ公銅像の制作に協力した秋田犬保存会副会長の川北晃右氏が登壇。テレビ番組等で「鉄道BIG4」としても知られるホリプロ / ステラキャスティングの南田裕介氏、鉄道好き芸人の吉川正洋さん(ダーリンハニー)も登場した。
大部分が完成していた「渋谷エリア」のジオラマだが、オープニングセレモニーが行われた時点で最後のパーツだけまだ設置されていなかった。南田氏と吉川さんは銀座線1000系の先頭車両、川北氏はハチ公像をそれぞれMAJIRI氏から受け取り、ジオラマに配置。晴れて「渋谷ジオラマ」が完成を迎えた。ミニチュアミュージアムにちなみ、完成記念のくす玉割りとテープカットもミニチュアで行われた。
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岡林氏(写真左)とMAJIRI氏(同右)がミニチュアのくす玉を割った
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テープカットもミニチュア。「忘れられない思い出になりました」と吉川さん
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(写真左から)岡林氏、MAJIRI氏、吉川さん、南田氏、川北副会長。秋田犬も登場
続いて、ジオラマの見どころと制作エピソード、渋谷の思い出などを語るトークセッションへ。ジオラマを見た感想として、吉川さんは東横線ホームが地上にあったことや、埼京線・湘南新宿ラインのホーム移設前、番組のロケで訪れた思い出などを挙げ、「ジオラマを見ているだけで思い出が蘇ってきますね」と懐かしんだ。ジオラマのハチ公広場で表現されている街頭インタビューにも注目していた。
南田氏は銀座線のサードレールまで再現していることを高く評価し、「注目度が高い」とコメント。2020年に秋田県大館市へ移設された「青ガエル」(東急旧5000系)や、今後、QRコード中心の新機に置換え予定の自動改札機などに触れつつ、「現在と過去を良い感じにミックスできるところが模型の世界の良いところだと感じます」と語った。
最初こそ座席を用意して対談していたものの、途中から座席を撤去。スクランブル交差点だけでなく、渋谷センター街や、西武百貨店と線路沿いの駐輪場など、場所を移動しながら各々の制作エピソードと思い出話が弾んでいった。徹底的に再現された渋谷ジオラマの各シーンに、「鉄道BIG4」の2人も驚きの連続だった。
制作にあたり、苦労した点として「再現は細かくしていますが、ジオラマに落とし込むためにサイズがちょっと変わっています。それを違和感なく綺麗に作るのが大変でした」と岡林氏は言う。MAJIRI氏も、地下空間を再現したことについて「(渋谷の)地下の断面構造が見えるのはここしかないんじゃないかなって思います。世界でここでしか見られない、渋谷の地下構造を見ていただけたら」とコメントした。
吉川さんと南田氏は、ゲスト視点でとくに見てほしい部分にも言及。吉川さんは「やっぱり入線シーンですよね。渋谷に電車が入ってくる、迫力のある入線シーンはぜひ目線を下げて。とくに地下の入線シーンはなかなか模型では見られないですよ」と話し、南田氏も「自分がまるでドローンになったみたいに、たとえばスマホを持って、列車を追いかけたり、引いてみたり、近寄ってみたり。実際の渋谷ではできないことができますので、ぜひチャレンジしていただきたい」。2人とも「渋谷エリア」のジオラマを楽しんでいた。
ジオラマ内のJR渋谷駅で使用する音声の公開収録も行われた。南田氏が自動放送、吉川さんが駅員アナウンスをそれぞれ担当し、つねに混み合う渋谷駅でのスムーズな乗降を促す。これらの音声は後日、渋谷ジオラマ内に実装予定。ビルのサイネージにも企業広告やクリエイターの作品映像、IPコラボ映像を展開していくという。
地下空間まで作り込まれた渋谷ジオラマ、見どころは?
「渋谷エリア」のジオラマは、JR渋谷駅新南口付近から、渋谷スクランブルスクエア(110分の1スケール)、宮益坂口を経て、西口のスクランブル交差点周辺まで再現した、幅約5m・奥行約3mで、L型のジオラマとなっている。地上をJR線、地下を東京メトロ・東急線の列車が走行する。山手線外回りと埼京線・湘南新宿ライン南行方面の列車は線路から給電し、他の列車はバッテリー駆動で走る。
東口・新南口側は、首都高速道路渋谷3号線や銀座線渋谷駅といったJR線ホームを跨ぐ構造物が目を引く。JR線のホームは屋根に覆われているので、しゃがんで眺めると見やすいだろう。床面から人の流れ、走っている列車の乗客まで細かく再現されている。銀座線の車両は走行しないが、ライトは点灯する。引上線に設置されたサードレールはグリーンマックス製品を使用したという。Nゲージ向けのアイテムながら、HOスケールにマッチしている。
スクランブル交差点から「SHIBUYA109」、渋谷センター街にかけて、多くの人々が行き交う様子を再現している。これらの人形は、ジオラマ全体で約1,000種類・約5,000体を配置したという。観光案内所として2020年までハチ公広場に設置されていた「青ガエル」も懐かしい。街頭インタビューや交通整理など、至るところに渋谷ならではのストーリー要素を散りばめているので、探してみるとより楽しめるだろう。その他にも、ビルのサイネージに映像が流れ、外から見て目立つところを中心に店舗内装も再現されている。TSUTAYAの2階にあるスターバックスや、センター街のABCマートはとくに細かく再現されていた。
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「MAGNET by SHIBUYA109」の後方から山手線内回りの列車が入線
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ハチ公広場前の青ガエル(写真中央奥)。写真右奥にハチ公像も
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渋谷センター街は狭く入り組んでいる。目線を下げると一層リアルに見える
地下空間も東横線・副都心線のホーム階まで再現。ところどころ吹き抜けのように作られているので、階層構造がわかりやすい。制作の都合上、道玄坂(田園都市線・半蔵門線)と明治通り(東横線・副都心線)からホームがずれている代わりに、地下ホームが外側から見やすくなっており、ジオラマならではの楽しみ方を地下空間でも味わえる。
10分おきに昼夜が入れ替わるように時間を設定しており、夜になると列車・建物・街灯などの電飾がより際立つ。作中に設置している自動車も、走行しない代わりにライトが点灯する。遠景は都市夜景として楽しめ、近づくと、室内が明るくなることで店舗内装が見やすくなる。とくに「渋谷スクランブルスクエア」は、それだけでLEDが3,000個も組み込まれ、いずれも光り方を調整可能とのこと。季節にあわせたライトアップも可能だろう。
通常、「Cityscape Studio」のジオラマ作品は公式YouTubeチャンネルで制作風景を公開し、鉄道模型イベントなどで展示することが多い。そうした中で、この渋谷ジオラマは常設展示される。他のエリアよりも多くの鉄道車両が走行することから、「鉄道好きの人にも来ていただきたい」とMAJIRI氏。今後も細かい調整やメンテナンスを行うとのことだった。精巧な作品を長く楽しむためにも、見学の際は展示物に触れないよう注意したい。
「スモールワールズTOKYO」は、ゆりかもめ有明テニスの森駅から徒歩3分、りんかい線の国際展示場駅から徒歩9分。「渋谷エリア」以外にも、「関西国際空港」「宇宙センター」「エヴァンゲリオン第3新東京市エリア」など、エリアごとに幅広いミニチュア世界を展開している。入場の際に入場パスポートが必要で、料金は大人3,200円、12~17歳2,100円、こども1,700円(いずれも通常料金、3歳以下無料)となる。
渋谷ジオラマも、今回紹介した以上に多くの見どころが詰め込まれている。圧倒的な作り込みの中に散りばめられた、渋谷ならではの鉄道や街並みを現地で楽しんでほしい。


















