7月11日、東京都渋谷区のMIYASHITA PARK内「or (オア)」で開催中の「三井不動産SAMURAI BLUE 3D EXPERIENCE Presented by SAISON」にて、松木安太郎氏の特別トークショーが開催された。松木氏はFIFAワールドカップにおける日本代表の死闘をどのように見ていたのだろうか。
日本代表選手が見る景色を体験できる特別イベント
東京都渋谷区のMIYASHITA PARK内にある複合型エンターテインメント施設「or (オア)」にて、5月29日から7月20日まで開催されている同イベントは、サッカー日本代表が見る「最高の景色」を3D体感できるイベントだ。
会場には横9.6m×縦3.6mの超大型3D LEDモニターが設置されるとともに、360度音響システムを配備。3Dメガネを利用した立体映像とともに、日本代表の近年の実績を紹介するコンテンツを大迫力で楽しむことができる。
視界いっぱいに広がり、奥行きまで感じられるサッカーフィールドは、メディアによる映像はおろか、観客としてスタジアムで観戦する光景とも異なる新たな体験だ。施設や映像については、過去のレポート記事を参照してほしい。
7月11日、そんな同イベントで、松木安太郎氏の特別トークショーが開催された。いまもFIFAワールドカップ2026を追い続けているであろう松木氏が、日本代表のプレーを振り返る。
「選手と一緒に動いている感じ」松木氏も興奮した立体映像
サッカーファンであれば松木安太郎氏を知らない人はいないだろう。16歳で読売サッカークラブのトップチームに最年少で選手登録され、右サイドバックとして活躍。その後、日本代表として、ロサンゼルス/ソウル五輪予選、FIFAワールドカップ1986 メキシコ大会のアジア予選などに出場、そしてキャプテンも務めている。
1990年に現役を引退した後は、指導者としても活躍。1993年にヴェルディ川崎のヘッドコーチ、1994年にはJリーグ最年少で監督に就任。その後もセレッソ大阪の監督などを務めてきた。
近年はサッカー解説やサッカー教室など、多方面で活動を行っており、日本サッカー界にとって欠かせないレジェンドだ。松木氏が会場に姿を現すと、FIFAワールドカップの熱が覚めやらぬサッカーファンから大きな歓声が上がる。そして松木氏は、3D LEDモニターによる映像について「いや~、迫力がありますね! 選手と一緒に動いている感じでね」と感想を語った。
松木氏が熱量たっぷりに日本代表の試合を語る
だがサッカーファンがここで聞きたいのは、日本代表の熱戦についてだろう。
松木氏はグループリーグ第1戦のオランダ戦について、「僕はね、終わったあと『勝った』と勘違いしてるぐらいで、非常に良い試合だったと思っています。あのグループではオランダがトップで抜けるだろうと言われておりましたので」と振り返る。
「1戦目っていうのはいろんな気持ちがね、選手の中で行き来すると思うんですけど、そのプレッシャーを乗り越えていて、素晴らしいゲームだった。あのオランダを本気にさせたと言いますか、中村敬斗選手、かっこいいねぇ!! 本当に、あのシュートは見事でした!!」(松木氏)
続く第2戦のチュニジア戦については、「2戦目は会場が変わりました。暑いだけでなく、雨もすごい降ったらしいです。近くのホテルで断水があったり、停電があったりと、そういった部分でも大変な中でのゲームだった」と背景を語った。
「あとで考えますと、日本の選手もチュニジアの選手も疲労度も高かったと思いますが、いや~、上田綺世選手、強いね!! 体の強さというものを感じましたし、自分の持っているコースできちんと決められたということで、日本の新たな強さが示されましたね」(松木氏)
その後の第3戦 スウェーデン戦については、「僕はスウェーデン戦から会場で試合を見ていたんですけど、ダラスのドーム内は20度くらいのすごく涼しい環境で、ハイドレーションブレイクがいらないくらい。選手たちはすごく良い環境でプレーできたのでは」と環境の良さに言及。一方で試合結果に対して悔しさもにじませた。
「やっぱりヨーロッパから出てくるチームのレベルの高さというのは、今回のワールドカップでもわかりましたね。あのイタリアすら三大会連続で出場できないという厳しさ。オランダにもスウェーデンにも引き分けが精一杯と考えると、『もっともっと上を見ていかなきゃな』と思いました」(松木氏)
そして運命の決勝トーナメント1回戦 ブラジル戦については、「ヒューストンも室内。ブラジル戦は盛り上がりましたね。最初の一点目は本っ当~に良いシュートでしたよね。相手のボールをカットして、そのまま。素晴らしかった!!」と感嘆の声を上げる。
「日本と戦うまでのブラジルの得点源は左サイドのヴィニシウス・ジュニオール選手だけだったので、前田大然選手も堂安律選手も本当にディフェンスをしっかりがんばっていました。FIFAワールドカップ2010の南アフリカ大会の日本代表と同じような形で、前線の選手が献身的なディフェンスをしてチームを支えたというイメージがありましたね」(松木氏)
一方で、「前半戦、ブラジルはまったく良いところがないので、後半戦は立ち上がりから絶対やり方を変えてくると僕は思っていたんです」と語る。
「案の定、変えてきました。両サイドがクロスすることで、日本の固まったディフェンスを広げたんですね。広がったから中の選手を使ってきて、ブラジルの巧みさはやっぱり上だったなと。逆に言えば、そこまでさせた。これをひとつの教訓にして、日本が頂点を目指していくための通過点として考えられれば、前向きに捉えられるんじゃないかなと思います」(松木氏)
今後の日本代表に必要な強化ポイントは?
松木氏は「日本代表のディフェンスは今大会の中でも相当、評価されている」と言及。ただし「日本の選手のレベルも上がっていますけど、日本だけじゃないですね。各国、本当に特徴がありますね」と話し、リオネル・メッシ選手やキリアン・エムバペ選手、アーリング・ハーランド選手のプレーを挙げた。
「今回のワールドカップで感じるのは、すごく運動能力の高い選手が増えた。まあ、身長もありますし、パワーもそうです。あとスピードを持っている選手が強調されているチームが多いなと思いましたね」(松木氏)
だが、結果として日本はブラジル戦で敗北を喫した。松木氏は「やっぱり『ワールドカップは守っているだけじゃ上に進めない』ということが十分、分かりましたね」と指摘する。
「これは個人的な見解ですけれども、僕が理想としているのは『ボールを持っている選手がゲームメーカー』。つまり、どのポジションでボールを受けた選手もゲームメイクができるチーム。いまのフランスなんかはまさにそうで、ボール持った選手が色々なことを仕掛けられて、テクニックもスピードもある。上位に残っているチームのほとんどはそういう選手が揃っていますね」(松木氏)
そして「日本代表にもそういった選手が増えてきている」と述べ、それを目標にチーム作りをしていけば必ずもっと上を目指せると展望を語った。
選手を後押しできるのは、やっぱりサポーターの声
さらに松木氏は、「サポーターの力は選手に大きな力を与えている」と日本のサポーターを賞賛。「言霊のように、みんなの力になったんじゃないかなと。不安になりながらプレーしている選手もいますから、後押しできるのはやっぱりサポーターの声だと思いますね」と語りかける。
「しかも毎回、ゴミ拾いをしてごみを持ち帰る。チームの方針としてもちゃんと次のチームが使えるようにきれいにして帰る。これは日本のすばらしい文化だと思いますし、チームの力にもなっているんじゃないかと思います。他国のサポーターが真似して、一緒に掃除したりなんていうシーンもありますから、いいですね」(松木氏)
最後に松木氏は、今後のサッカー日本代表への期待を述べた。
「ワールドカップは終わりましたが、日本の選手たちにとってはまだ終わっていません。次のワールドカップ、次の試合に向けて準備をしている選手がいっぱいいますし、タレントもどんどん増えています。こういった選手が良いプレーをするためには、それを支えるみなさんの応援が大きな力になります。これからも、ぜひとも日本のチームを応援していただきたいと思います」(松木氏)







