第85期A級順位戦(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)は2回戦がスタート。7月13日(月)には豊島将之九段―佐々木勇気八段の一戦が関西将棋会館で行われました。対局の結果、相掛かり空中戦のねじり合いから抜け出した豊島九段が117手で勝利。1勝0敗同士の対決を制して連勝スタートを飾っています。

意表の相掛かり空中戦

ともに開幕戦を勝利して迎えた2戦目。先手となった豊島九段は相掛かりの作戦を打ち出します。順位戦における両者の対局では3戦すべてで角換わりとなっていただけにやや意表で、この日の豊島九段は横歩取り狙いの合わせの歩で局面を打開。双方の主張がぶつかり合った盤上は早くも定跡を外れ、順位戦らしいコッテリとした中盤戦が幕を開けました。

「豊島九段の攻め、佐々木八段の受け」という展開のまま戦いは夜に突入。軽い玉さばきで先手の攻めをいなしていた佐々木八段ですが、自陣に作られたと金に手を焼いており苦戦の感は否めません。8筋からの飛車先突破に手段を求めたのはこれしかない攻めですが、9筋に王手で角を打たれてみると玉飛接近の愚形が祟って飛車を成り込むことはできません。

詰めろ逃れの詰めろが決め手

受けていてもキリがないと見た佐々木八段は先手玉に詰めろをかけて開き直りますが、最終盤の急所で7分の持ち時間を残していた豊島九段は冷静な手つきで正解を導き出します。空き王手の手筋を駆使して後手玉を攻めたのは王手の連続で寄せの要である後手の竜を抜く狙い。この手が詰めろ逃れの詰めろとなるようでは先手の優勢は疑いようがありません。

終局時刻は0時28分、最後は逆転の見込みなしと認めた佐々木八段が投了。双方の玉が接近した終局図ですが佐々木玉には受けがなく、一方の豊島玉には有効な王手が続かない形でした。一局を振り返ると、序盤から積極的な攻めでペースをつかんだ豊島九段が押し切った快勝譜に。勝った豊島九段は第82期以来となる連勝発進で名人挑戦に向け視界良好です。

水留啓(将棋情報局)

  • 2勝0敗の豊島九段、3回戦では同世代のライバル・糸谷哲郎九段と顔を合わせる(写真は第84期A級順位戦最終局のもの。撮影:田名後健吾)

    2勝0敗の豊島九段、3回戦では同世代のライバル・糸谷哲郎九段と顔を合わせる(写真は第84期A級順位戦最終局のもの。撮影:田名後健吾)