第85期B級1組順位戦(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)は、2回戦全6局のうち5局の一斉対局が7月9日(木)に各地の対局場で行われました。このうち東京・将棋会館で指された渡辺明九段―久保利明九段の一戦は216手で渡辺九段が勝利。終盤の大逆転で2連勝とし、A級復帰に向け好スタートを切っています。
久保流のさばきが光る
昨期は9勝1敗の圧倒的な成績でB級2組を駆け抜けた久保九段。対して休場に伴う降級となった渡辺九段は第77期以来8年ぶりにB級1組を戦います。久保九段の先手番で始まった対局は向かい飛車対居飛車舟囲いの急戦形へと進展。自陣が不安定なままで振り飛車穴熊に組みに行ったのが久保九段の誘いで、これに応じる形で渡辺九段が仕掛けます。
早々に飛車角総交換が行われて本格的な中盤戦へ。先にリードしたのは久保九段で、手筋を絡めた緩急ある指し回しで敵陣をかき乱すことに成功。一方でいつの間にか自陣は金銀の連結した好形についており、攻めに専念できる有利な終盤戦を迎えた久保九段が勝ち切るのは時間の問題と思われました。しかし日付をまたいだ最終盤にドラマが待っていました。
粘りが実を結び逆転
両者一分将棋のなか、王手を受けた久保九段が対応を誤ります。玉をまっすぐ立って守り駒を見捨てたのはその後の反撃に期待したものですが、渡辺玉に有効な詰めろが続かなかったことを思うと結果的に敗着に。攻めが途切れて絶望的だった渡辺九段としては、頻繁に攻守を入れ替えて目先を変えたことが相手の方針に迷いを生じさせ好結果につながりました。
終局時刻は0時40分、最後は自玉の詰みを認めた久保九段の投了で200手越えの熱戦に幕が引かれました。双方の玉が五段目まで飛び出し相入玉に近づいた終局図が死闘を物語っており、観戦したファンも「二人の粘りがすごかった」「渡辺九段の執念が実を結んだ」と盛り上がりを見せました。勝った渡辺九段は開幕2連勝で暫定首位に立っています。
水留啓(将棋情報局)
