歓迎ぶりを象徴する出来事が、カーボベルデ唯一の地上波テレビ局で、国民のほとんどが視聴するという生番組への出演。街で多くの人に声をかけられ、日本人への強い関心を実感していた蜜谷氏だったが、現地メディアからも「なぜカーボベルデに来たのか?」と興味を持たれたという。
そんな流れからオファーを受けてスタジオに行ってみると、「『徹子の部屋』みたいな、がっつり話すゲストみたいな感じでした(笑)」と、予想外の展開が待ち受けていた。
この生放送には、『ジャンクSPORTS』を象徴するMC・浜田雅功をモデルにした黄金のマスコットキャラクター「浜田大明神」を抱えて出演。20分もあるトークコーナーだったが、現地のクレオール語から英語、英語から日本語へと訳すため、通訳は非常に遠回りで進行し、「画としてはめちゃくちゃコントみたいでした(笑)」と振り返る。
今回のロケで大きな存在感を放ったのが、この「浜田大明神」だった。年季が入って塗装が剥がれながらも、金色に輝く大明神を見た人々は、「ジャパニーズ仏か?」「ワールドカップのトロフィーじゃないか?」と興味津々。
これまで日本のアスリートたちに勝利をもたらしてきたご利益を紹介すると、スペイン戦のパブリックビューイング会場では、勝利を願う「ハマチャン」コールが響き渡り、引き分けに持ち込むと、「ハマチャンのおかげだ!」という空気感も生まれた。
また、浜田大明神に「お金がもらえますように」といった個人的なお願いをする人は見当たらず、「カーボベルデが勝ちますように」「カーボベルデが世界中に知られますように」と国のために祈る人ばかりだったことに、国民性を感じたという。
スペイン戦後は国中が優勝したかのような大騒ぎ
スペイン戦当日の首都・プライアは、ユニフォーム姿のサポーターであふれていた。蜜谷氏が強く印象に残っているのは、ワールドカップの大舞台で、初めてカーボベルデの国歌が流れた瞬間のこと。直前まで陽気に絡んできた男性が、涙を流していた。
「日本でサッカーを応援するのは、自分の趣味だったり、楽しみだったりする感じがありますが、カーボベルデという国を世の中の人に知ってほしいという気持ちがあるんです。国歌斉唱の時に泣いている人を見て、“そっか、ワールドカップってそういう気持ちになるんだな”と思いました」
試合が始まると、守護神ヴォジーニャのスーパーセーブに会場のボルテージは最高潮に。スペインの猛攻を耐え抜き、スコアレスドローで試合が終わると、街はまるで優勝したかのような大騒ぎになった。
車は結婚式のようにクラクションを鳴らし続け、人々は窓から身を乗り出して叫び、音楽が鳴ればすぐに踊り始める。蜜谷氏の乗っていたハイエースも人波に囲まれ、3時間ほど動けなくなったという。
そんな光景に、「日本人ももっと恥ずかしがらずに、楽しいことは楽しいとみんなで言えるようになるといいなと思いました。最近はSNSでも批判するところばかりを探すじゃないですか。そうではなく、もっとまっすぐシンプルに生きようよという気持ちになりました」と人生観が変わるほどの衝撃を受けた。
当初は、このスペイン戦のパブリックビューイングを終えて計3日程度で帰国する予定だったが、国中が大騒ぎとなるのを目の当たりにして、「いま帰ってくるのはアカン! スクープ5つ撮ってきて」と浜田からの指示があり、その熱狂を取材し続けることになった。




