将棋イベント「第14回[将棋対局]女流棋士の知と美」(主催:紀伊國屋書店、後援:日本将棋連盟)は、6月11日(木)に東京都新宿区の「紀伊國屋ホール」で行われました。加藤桃子女流四段と佐々木海法女流初段の間で行われた対局は134手で佐々木女流初段が勝利。得意の中飛車を駆使して苦戦の中盤を跳ねのけ逆転勝利を収めています。
タイトル戦さながらの公開対局
トークショーと公開対局からなる本イベント。あでやかな和服に身を包んだ女流棋士が公式戦さながらの環境で熱戦を繰り広げます。振り駒が行われた対局は後手となった佐々木女流初段が得意のゴキゲン中飛車を選択。早い段階で5筋の歩を交換したのが実戦的な打開策で、居飛車側の一直線穴熊を牽制しながら積極的に主導権を握る狙いが見て取れます。
先にリードを奪ったのは先手の加藤女流四段でした。銀で桂を食いちぎった後手の攻めを無理と見てジッと角を引いたのが「良さそうな手」(解説の森内俊之九段)。振り飛車からの挑発に丁寧に対処し、駒得を頼りに指しやすさを手にします。佐々木女流初段としては飛車をさばいたものの角が抑え込まれてしまっており、限られた駒で暴れていくよりありません。
随所に光った逆転術
丁寧な受けで優位に立った加藤女流四段ですが、秒読みのなかで後悔の一手が出ます。自陣二段目に歩を謝ったのがそれで、それまで調子よく続けていた端攻めの勢いが止まってしまい盤上に不穏な空気が流れてきました。安全に勝とうという気持ちが裏目に出た格好で、加藤女流四段は局後「何度もチャンスを逃してしまった」と悔しさをのぞかせました。
九死に一生を得た佐々木女流初段の指し手に力が戻ります。玉頭の歩を突いて詰み筋を消したのが「盤上この一手」(森内九段)の受けで、このあとも好手連発で待望の手番を入手。攻めては先手玉に迫る急所の垂れ歩と敵の飛車道を止める落ち着いた歩打ちが決め手となりました。勝ちを急がない一連の好手順に森内九段も「指し慣れている」と舌を巻きます。
終局時刻は21時12分(対局開始20時0分)、最後は攻防ともに見込みなしと認めた加藤女流四段が投了。双方にチャンスのあるスリル満点の一局に詰めかけたファンも「大熱戦!」「二人の対局姿もかっこよかった」と盛り上がりを見せました。勝った佐々木女流初段は「和服での対局を楽しむことができた。(月末に行われる)トーヨーカネツ杯第2回関西女流新鋭戦も注目していただけたら」と笑顔で会場を後にしました。
水留啓(将棋情報局)
