マイナビニュースのテレビ担当記者が、5月にあったテレビ界の出来事を独断と偏見でピックアップする【5月テレビ界五大ニュース】。今月は、バラエティ番組の終了、スポーツ中継のあり方をめぐる国の検討会、フジテレビの企業理念刷新、国民的グループの幕引き、そして長寿番組の節目と、テレビの現在地を考えさせられるニュースが並んだ。
『あのちゃんねる』終了 暴露ネタのリスク浮き彫りに
テレビ朝日は28日、あのの冠バラエティ番組『あのちゃんねる』を、6月15日の放送をもって終了すると発表した。18日の放送で「嫌いな芸能人」を問う企画が放送され、番組側が謝罪。あのも自身のX(Twitter)で、以前から番組内容の改善を求めていたことを明かし、降板の意向を示していた。
古くはタモリが「曲が暗い」と名指ししていた小田和正が、『笑っていいとも!』の「テレフォンショッキング」にゲスト出演するなど、“ネタ”の一つとして扱われたこの手の暴露だが、今回の終了は、タレントの個性を生かす番組作りと、制作側のコミュニケーション、コンプライアンスのバランスを改めて問う出来事となった。
スポーツを観る機会をどう確保するか…スポーツ庁と総務省が検討会
スポーツ庁と総務省は20日、「スポーツを観る機会の確保及びスポーツ放映に関する検討会」の第1回会合を開催した。スポーツを観る機会やスポーツ放映をめぐる現状について事務局が説明し、日本オリンピック委員会、日本サッカー協会、日本野球機構からの意見聴取も行われた。
背景にあるのは、放映権料の高騰や有料配信サービスによる独占配信の広がりだ。WBCのNetflix独占配信をめぐっても、「国民がスポーツを観る機会」をどう確保するのかが議論になった。スポーツ中継は、地上波テレビの同時性や公共性を象徴するコンテンツでもあるだけに、今後の議論はテレビ界にも大きく関わってくる。
フジテレビ新企業理念、「楽しさ」を問い直す
フジテレビは12日、新たな企業理念を発表した。かつて同局を象徴した「楽しくなければテレビじゃない」について、これに代わるものではなく「私たちが自らに掲げる誓い」と位置づけ、新たな問いとして「その楽しさは、何のためにある?」を掲げた。
また、行動規範には、「楽しさを、はき違えるな」「楽しさに、驕るな」「楽しさを、隠れ蓑にするな」「楽しさで、誰かを傷つけるな」といった言葉が並ぶ。フジテレビにとって“楽しい”は最大のブランドだった。その言葉を自ら問い直したことは、単なるスローガン変更ではなく、番組作りや組織風土をどう変えるのかという宣言でもある。
嵐ラストライブ、テレビで育った国民的グループの幕引きは配信へ
31日、嵐が東京ドームでラストツアー『ARASHI LIVE TOUR 2026「We are ARASHI」』最終公演を開催し、グループとしての活動を終了する。同公演は有料生配信で届けられ、ファンクラブ会員だけでなく一般向けにも視聴チケットが販売されている。
平成から令和にかけてテレビとともに国民的存在となった嵐だが、そのクライマックスはテレビの音楽番組に出演することなく、ライブや配信というメディアを選んだ。一方で、ラストライブの生配信を告知するテレビCMが民放キー局5局で同時放送されるという異例の展開も。テレビは最後の舞台そのものではなく、配信へ人々を導く巨大な告知装置として機能することになった。
『笑点』60周年 変わらない番組の強さ
日本テレビ系演芸番組『笑点』が、5月で放送60周年。この1カ月は、若き日の立川談志が大喜利の司会をする現存最古の映像公開、同じ60周年のウルトラマンとのコラボ、こちらも60周年の『週刊プレイボーイ』登場、そして31日には生放送スペシャルと、特別企画を次々に展開した。
出演者の交代を重ねながらも、座布団、テーマ曲、司会者と回答者の掛け合いという基本形は大きく変わらない。テレビ番組の視聴スタイルが多様化し、新番組の短命化も珍しくない中で、60年続くフォーマットの強さが際立った。5月のテレビ界は、変わるべきものと、変わらずに残るものの両方を見せた1カ月だった。
