テレビプロデューサーの佐久間宣行氏が、「第70回岸田國士戯曲賞」(白水社主催・公益財団法人一ツ橋綜合財団後援)を受賞したダウ90000の蓮見翔に祝福の言葉を送った。テレビとお笑いに「愛と絶望」を抱えながら進んできた自身と、演劇とお笑いの両方を愛する蓮見の姿を重ねた佐久間氏。「面白いものは本当に面白くて、届くべき」と語った祝辞には、ジャンルを越えた表現者への深い共感がにじんでいた。
10日、都内で開催された授賞式に祝辞として登壇した佐久間氏は、まず蓮見に目を向け、「ちょっとだけ気になっているのが、令和ロマンが(『M-1グランプリ』を)2連覇した時の(高比良)くるま君と同じボリュームのいかり肩のスーツなんです」と指摘。「だからこの後何かやらかすと思うんです(笑)」と笑わせた。
佐久間氏が蓮見、そしてダウ90000と初めて出会ったのは2021年。旗揚げ公演『フローリングならでは』を配信で見たのがきっかけだったという。「即座に面白くて感動して、Twitterにつぶやいたのを覚えています」と振り返った。
当時は、新型コロナウイルスの影響でエンタメ業界全体が厳しい状況にあった時期。佐久間氏は「本当にいろんなエンタメにとってつらい時期で、お笑いも番組収録も全部できず、演劇もできない時期に、配信で公演をやった新星たちが楽しそうにやっていた」と目を細め、「演劇とお笑い、その間のことをやっている感じがして、すごく希望に感じていたのを覚えています」という。
自身が長年向き合ってきたお笑いとテレビについて、「好きでやっていればいるほど、愛と絶望と両方を振り子に持ちながらやってきた」と表現。この2つには「楽しさと暴力性、明るさと底の浅さ、分かりやすさと単純化の罠みたいなものが常にあるんですけど、ずっと育ててもらったテレビは今、不便、届かない、予算がないという状況があって、YouTubeをやってたりするんですけど、これにも愛と絶望があります」と捉える。
そこで蓮見に強いシンパシーを感じるのは、「蓮見くんも、常に愛と絶望と両方を持ちながらやっている人だなと思っているんです。そして、お笑いも演劇も、どっちも愛している」からだという佐久間氏。「演劇を愛すれば愛するほど、“なんでこんな面白いものが届かないんだ”と思ったりしながら戦っている」と、その姿勢にテレビでも戦う自身を重ねた。
その上で、「テレビも演劇も、面白いものは届くべきだと思っている。だから、演劇もお笑いも同時に愛しながら、傷だらけで、“流行らせましょう”という気持ちで戦っている、いかり肩のスーツを着た青年を見て、今日も頑張ってほしいなと思いました。そしてこれからが楽しみです」とエールを送った。
授賞式ではほかにも、松岡茉優が祝辞を述べ、お笑いコンビの爆笑問題がビデオメッセージを寄せた。また、ダウ90000によるコントも披露され、会場を盛り上げた。




